2010年06月27日

『アイアンマン2』レビュー

『アイアンマン2』
製作年 2010( アメリカ)124分
カテゴリー:SF、アクション
監督: ジョン・ファブロー
キャスト:ロバート・ダウニー・Jr.、グウィネス・パルトロウ、ドン・チードル、ミッキー・ローク、スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェル、サミュエル・L・ジャクソン
レビュー(★★☆☆☆)


アメリカンコミック原作の『アイアンマン2』は当然、突っ込みどころ満載な荒唐無稽な話で、能天気なところが楽しめる映画だが、ヒーローシリーズ物のジンクス(オイラが勝手に作ったジンクスだか(^_^ゞ)で、やはり、一作目に比べると、面白さの質が変わってしまうので、何かイマイチな感じだった。face06

では、一作目のどこが面白かったんだろか?と考えると、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)がテロリストに捕われて、何もない砂漠の牢屋の中で、アイアンマンの原型(プロトタイプ)を作った後に、自宅で対話型コンピューターを助手にアイアンマンを開発するプロセスと、その圧倒的な性能が、荒唐無稽な話ながら引きつけられ、一緒に空飛んでいる様なワクワクした感じがした。

その辺が、一作目の面白さの核だった様な気がする。

『スパーダーマン』も、『バットマン』も然りで、いずれも一作目は、主人公が、全く新しいスキルや経験を手に入れるプロセスが面白いのだ( ̄∀ ̄)。

しかし、ヒーローシリーズ物の続編には、ヒーローに内省的な試練が待ち構えていて、一作目みたいに能天気に大暴れできない状況になってしまう。

つまり、自分の中に何かの壁が出来て、それを乗り越えることにより、新たなヒーローの成長があるのだが、その辺が1作目と2作目の面白さの質の違いだと、オイラは思う。

それに、1作目の内容や脇役の登場人物との関係性をほとんど忘れてしまっていて、ドン・チードルや、サミュエル・L・ジャクソンとかが登場する度に『これ誰?』『こんな奴いたっけ??』みたいにチンプンカンプンだったのが、イマイチ乗り切れなかった理由かもしれない( ̄‥ ̄) = =3

シリーズ物の続編を観に行くときは、DVDで前作を要チェック!





  

Posted by アイスH at 12:45映画レビュー

2010年06月13日

『春との旅』レビュー

『春との旅』
製作年 2010( 日本)134分
カテゴリー:ドラマ
監督・原作・脚本: 小林政広
キャスト:仲代達矢、徳永えり、大滝秀治、菅井きん、小林薫、田中裕子、淡島千景、柄本明、美保純、戸田菜穂、香川照之
レビュー(★★★★☆)


監督の小林政広と言う人は、日本映画界では稀有な存在だ。

彼の映画は、小林監督自ら制作費を出して制作している自主制作映画で、

大抵は単館上映で低予算ゆえからか、キャストも主に無名な役者を起用していて、

ロカルノ国際映画祭でグランプリを獲得した『愛の予感』では、監督自ら主演をこなしている。


オイラは、小林政広作品は特に好きと言う訳ではないが、結構見ている。

自主制作で映画を作り続けている監督というのは、

日本映画界では異端で希有な存在なため気になるのだ。


しかし、『 愛の予感』を見た時には、小林監督演じる男が、

ただただ飯を食って、工場で働く映像が延々と繰り返されて

『こんなの映画じゃねー』とムカついて、

もう、この人の作品は見ないと思っていたが、

『春との旅』は仲代達矢主演で、脇役も豪華キャストだというので、

気になって、映画館に足を運んだ。



ストーリーは、仲代達矢演じる忠男とその孫の春が、

足の不自由な忠男の身を寄せ先を探して、

長年疎遠になっていた兄弟の元を訪ねるロードムービーだ。



映画の冒頭から数分間は、セリフがなく、

忠男が不自由な足を引きずりながら、怒ったようにズンズン歩き、

そのあとを不安そうな表情で春がついて行くといったシーンが続き、

セリフではなく映像で表現しようという意気込みを感じる。


しかし、冒頭の辺りは、あまり上手くもない長回しや、

春のワザとらしいガニ股歩きが気になった。


今時、あんなイモ姉ちゃんが、この日本にいる訳がない。

大体、春が来ているような服はどこで売っているんだ?

30年前の話なら別だが。。。

演出だと思うが、あんなガニ股歩きは、ちょっとやり過ぎだよヾ( ̄o ̄;)オイオイ



まあ、それはいいとして、脇役のキャスト陣の豪華さと言ったらスゴイものがある。

何せ、小林薫なんか、忠男と春が訪ねてきたアパートの前で

スルメだかをつまみに酒飲んでいる漁師の役で、

カット割りなしのロングショットのワンシーンという贅沢さ(笑)



主演の”春”役の徳永えりも、あのガニ股歩きは、ちょっとやり過ぎだが、

『こんなイモ姉ちゃん、どこから連れてきたんだ?』と言うくらい、

なんとも言えない味を出していて良い(・∀・)!!


特に、何年も会っていな父親と再会して、号泣するシーンは、

言葉などではなく、父と娘が長年抱き続けた固い氷のような

わだかまりが溶けていくような、切なくてジンワリくるシーンだった。
クスン…(/_<。).:゚+

それは、最近の日本映画界に蔓延する軽薄でバカみたいなキーワード

”泣ける”などとは、一線を画す本物の感情が表現されたシーンだ。



最近の日本映画は、マンガが原作でテレビ局制作の

毒にも薬にもならないどうでも良いアイドルタレント映画か(+_+)、

誰かが死んで悲しくて泣けるとか(;´д`)トホホ…、

オイラは本当に情けなくて涙が出るくらい

バカバカしい映画ばかりだが、それでも、

1年あるいは数年に1本くらいは、魂の籠った本物の映画がある。



小林政広監督は、無骨ながらも、コマーシャリズムに毒されていない

本物の映画を撮ろうとする情熱を持ち、バカみたいな映画しか作れない

ダメダメ日本映画界に、活を入れるような、本気の映像作家だと思う。


『春との旅』は、ここ数年で最もお奨めの日本映画だと断言できる。






  
タグ :春との旅


Posted by アイスH at 12:25Comments(0)☆☆☆☆レビュー

2010年06月11日

トラボルタが暴れまくりの『パリより愛をこめて』レビュー

『パリより愛をこめて』レビュー
製作年 2010( フランス) 95分
カテゴリー:アクション
原題: From Paris with Love
監督: ピエール・モレル
製作: リュック・ベッソン

キャスト:ジョン・トラボルタ、ジョナサン・リース=マイヤーズ、エリック・ゴードン、リチャード・ダーデン、カシア・スムトゥアニク
レビュー(★★★☆☆)

製作リュック・ベッソン&ピエール・モレル監督のコンビによる「96時間」は、昨年のオイラのBest10に入る渋いアクション映画だった。

『パリより愛をこめて』は、製作リュック・ベッソン&ピエール・モレル監督で、主演がジョン・トラボルタと『 シェルター』で、多重人格者の卓越した演技が記憶に新しいジョナサン・リース=マイヤーズのスパイアクションということもあって、かなり期待して観に行った。

「96時間」のリアルさとは違って、ジョン・トラボルタ演じる捜査官(?)ワックスは、『こんな奴いねーよヾ( ̄o ̄;)オイオイ』っていう位の荒唐無稽なキャラクターで、とにかく彼の視野の中に入った悪党は、一人残らず射殺される(;´Д`)

ストーリー展開も、ありきたりで、深みなどは全くないが、ここまで吹っ切れていると、かえって清々しくさえ感じられる(笑)

「96時間」の様な渋さを期待したが、脚本に深みがない分、ジョン・トラボルタのコッテリ感と、カシア・スムトゥアニクのカワイさで、
大味だがお腹一杯っていう感じのアクションムービーだった。



  

Posted by アイスH at 23:21映画レビュー

2010年06月02日

『 グリーン・ゾーン』レビュー

『グリーン・ゾーン』
製作年 2010( アメリカ)154分
カテゴリー:戦争、アクション、サスペンス
監督:ポール・グリーングラス

キャスト:マット・デイモン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソン、エイミー・ライアン、ジェイソン・アイザックレビュー
レビュー(★☆☆☆☆)

2003年のイラク。アメリカが、大量破壊兵器を探すという大義名分で始めたイラク戦争後、偽情報に踊れされていたブッシュ政権の茶番劇とその後の顛末は、オリバー・ストーン監督の『ブッシュ』でも、たちの悪い冗談の様に描かれていたが、開戦前に世界中の誰も(ブッシュを支持するアメリカ人以外は)が、”大量破壊兵器の有無は別として”、この戦争は”アメリカのイラクへの侵略戦争だ”と言う事は認識していた。

あるはずのない大量破壊兵器は当然見つかはずもなく、ブッシュは宿敵のフセイン大統領を捕まえ死刑にした後、『大量破壊兵器は見つからなかったけれど、民主主義を広めることができたから、いいんじゃね?』と鼻の穴を広げて、オトボケ猿顔で演説した。

オイラは、あまりの厚顔ぶりに絶句した。

結果論で言っているのではない。

開戦前に、国連も、”ブッシュを2回も大統領に選んだアメリカ人”以外の世界中の心ある人々も、『大量破壊兵器を探す』なんていうのは、ただの大義名分だと知っていたからface15

『グリーン・ゾーン』はマット・デイモン演じる米陸軍のミラー准尉のチームが、大量破壊兵器を探すアクション・ムービーなのだが、一向に見つからない兵器と、誤情報を不審に思ったミラー准尉が独自に調査を始めるという政府の陰謀を暴くプロットは、こう言っては元も功もないが、『あり得ない作り話』でしかなく、アメリカ政府がブッシュが残した世紀の汚点を払拭しようとイメージアップを狙ったプロパガンダ映画のような気さえする(-_-メ)

つまり、ハリウッド映画の力を借りてアメリカ政府が、『侵略戦争したけど、誤情報に踊らされていただけなんだよぉ。本当は、心あるアメリカ人もいたんだよぉ。』というイメージを植え付けたいから、政府が陰で金出して作らせたような映画だなと穿った見方さえしたくなる。(;´Д`)

監督のポール・グリーングラスは、「ボーンシリーズ」でリアリティのある新しいアクションムービーの形を構築したが、マット・デイモンを主演にして、形だけ「ボーンシリーズ」をそのままに、イラクを舞台に1人のヒーローの活躍を描こういう思惑があったとしたら、それは見事に外している。

たかが娯楽映画でも、戦争という背景は、そんなショービズ界の勝手な思惑を簡単にはね除けるほど重いのだ。

あまりにもリアリティーのかけらも無く、底の浅いストーリー展開に
『映画なんて所詮作り話だが、ミラー准尉みたいな男がいるわけないじゃん』と、ムカムカしながら観ていた。


『恥を知れ!!!!』

日本車の車のプログラムがちょっと間違っていただけで言いがかりを付けて、何億円も制裁金をボッタクってないで、ブライアン・デ・パルマ監督の『リラクデット』や『告発の時』の様な映画作って猛省しろよ。アメリカ!!







  

Posted by アイスH at 23:42☆レビュー

2010年05月27日

キャメロン・ディアス主演の『 運命のボタン』レビュー

『運命のボタン』
製作年 2009( アメリカ)155分
カテゴリー::スリラー/サスペンス
監督:リチャード・ケリー
原作 : リチャード・マシスン
キャスト:キャメロン・ディアス、ジェームズ・マースデン、フランク・ランジェラ
レビュー(★★★☆☆)

人が『金がない』と言うのと、美人の女の子が『彼氏がいませ〜ん』と言うのは、決して信用してはいけない!
オイラが、今までの人生で学んだ教訓(笑)

随分、昔の話だが若い頃『金がなくて、電気も止められて 家賃も払えなくて部屋を追い出されそうだ』とか、

『闇ポーカーゲームにハマって、店の支払い金に手を出してしまった。バレたら首になる。金を貸してくれ』と

必死に頼んできた奴らに金を貸した事がある。

『金ができたらすぐに返すから』と必死に縋り付かれたのもあって、若気の至りで金を貸してしまった。

数ヶ月経っても、当然、金は返ってこない。

しかも、噂では、毎晩酒を飲みに行ったり、結構高そうな服を買ったらり、パチンコやったりしてり、金回りはいいらしい。
そこで、借金の催促に行くと、今はああだから、こうだから、金がないと決まって言い訳する。

ラチが明かないので、『飲みに行く金は持ってるんじゃね?』と問いつめると、『ないものはないんだよ!!』と奴らは必ず逆切れする。

( ̄_J ̄)ん?つまり、女に酒をおごる金や、パチンコする金はあっても、オイラに返す金はないと・・・・・・・・プチン。

(#゚Д゚)凸ゴルァ!!当然、オイラも切れます。

友達を失いたくなかったら、友達には金をかしてはいけない。

オイラから金を借りて、逆切れした奴らがダメ人間だったかは別として、金は時に人の判断を狂わす。

『運命のボタン』は、目の前に大金を提示されて、キャメロン・ディアス扮する平凡で善良な教師も、人として間違った判断をしてしまう。

物語の舞台は、70年代のヴァージニア州の郊外。

NASAのエンジニアの夫と、子供と慎ましく暮らしている女教師(キャメロン・ディアス)の元に、ある日、奇妙な男が大きなボタンがついた箱を持って訪ねてくる。

その男は、『そのボタンを押せば、100万ドルを受け取れる。ただし代わりに見知らぬ誰かが死ぬ。期限は24時間。その間に押さない場合は装置を回収する。』と言って立ち去る。

なんだか「笑ゥせぇるすまん」みたいな話だが、彼女は、悩んだ挙げ句、そのボタンを押してしまう。

100万ドルは、当時1ドルが200円前後のだったはずだから、今の日本円に換算すると2億円なわけだ。

もし、2億の金が入ってくるなら、あなたはボタンを押すか?

正常な判断をすれば、押せないとオイラは思う。
例え、自分の知らない人間が死ぬとしてもだ。
たとえば、これをボタンではなくて、ライフルの引き金に置き換えたらどうだろう?
どこかのビルの屋上から、群衆に向けられたライフルの引き金を引いたら2億円あげます。死ぬのは子供かもしれないし、その母親かもしれない。ただし、それは自分の知らない誰かだ。

たとえ誰かが死ななくとも、 オイラはボタンを押さない。
なぜなら、そんな大金を見ず知らずの人がくれるっていうのには、絶対に何かのワナがあって、その大金以上の代償を払う羽目になるということを経験上知っているからだface15

映画もやはり、ボタンを押してしまった彼女や家族が、代償を払う羽目になる。

使い古されたような話だが、謎の男の正体などが徐々に明かされるあたりは、意外な展開で割と楽しめるが、その目的のあまりにも、勝手な言い草ぶりにヾ( ̄o ̄;)オイオイとツッコミを入れたくなった。

この世の中に、楽して大金が手に入るなんてことはないから、金が欲しかったら、一生懸命に働くか、頭を使って稼ぐしかない。
間違っても、訳のわからないボタンを押さないように(^_-)




  

Posted by アイスH at 18:35☆☆☆レビュー

2010年05月16日

3D日本語吹き替え版『アリス・イン・ワンダーランド』レビュー

『アリス・イン・ワンダーランド』
製作年 2010( アメリカ)109分
カテゴリー:ファンタジー
監督: ティム・バートン
キャスト:ミア・ワシコウスカ、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイ、他
レビュー( ★★★☆☆)

『アリス・イン・ワンダーランド』を3D日本語吹き替え版で観た。3Dは日本語吹き替え版で観た方が楽だとオイラは思う。

ティム・バートンが「不思議の国のアリス」続編を3Dで撮ったというので、すごく期待して観たが、悪くはないがちょっと物足りないと言うか、期待外れだった。

オイラがティム・バートンの映画に期待するのは、ファンタジーの中の毒だ。
毒とは、善とか悪とかの既成概念とは切り離された、2、3歳の子供なら誰でも持っているような無邪気な残酷性みたいなものといったところかface06

その毒が足りないのだ。

頭のデカイいじわるな女王以外の登場人物(動物)は、ティム・バートン映画のキャラクターとしては、凡庸でありきたりだ。

ただし、ティム・バートン映画という特殊なジャンルでの話であって、子供と一緒に観に行く映画としては、充分過ぎるほど面白い。

でも、ティム・バートンのファンとしては、ちょっと物足りなさを感じるし、オイラが小学生の時にディズニーのアニメの「不思議の国のアリス」を観た時のワクワク感がなかった。

そりゃあ、何十年前の感性と比べて、どうのこうの言うのは、無茶苦茶だが、ティム・バートンはそんな無理なことも可能にする映画のマジックを持っている人だから、オイラはいつも期待を込めて彼の映画をワクワクしながら観るのだ。

あと、3Dも見慣れて来たら、そんなに驚きがないって言うか、3Dメガネは重くてイヤになって、『もう2Dで充分っす』って思ってしまったっすface04




  

Posted by アイスH at 16:39映画レビュー

2010年05月16日

『シャッター アイランド』レビュー

『シャッター アイランド』
製作年 2010( アメリカ)138分
カテゴリー:サスペンス
監督: マーティン・スコセッシ
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ、ベン・キングズレー、ミシェル・ウィリアムズ、他
レビュー( ★★★☆☆)

「ディパーテッド」(2006年)でマーティン・スコセッシは、やっとオスカーを手にしたが、何でもっと早くやらなかったんだろうねえface03
スコセッシ版「ディパーテッド」は、オリジナル版の足下にも及ばないどうでもいい作品なのにface07

『シャッター アイランド』は、「ディパーテッド」に続く、レオナルド・ディカプリオとの3度目のコンビを組んだ作品だ。

予告やテレビCMでは、謎解きがどうのこうの言っているが、そんなのはなんかどうでもいいって言うか、なんでスコセッシが、この手のジャンルの映画を撮ったのか、そっち方が謎だった。

これが本当に、『タクシードライバー』や『レイジング・ブル』を撮った監督の作品なのかと、映画を見終えて思った。

そして、ますます謎が深まるばかりだ。
なぜ、今更、こんな使い古された仕掛けの映画をスコセッシが撮ったのか?
正直、大どんでん返しとか飽きたし、そんな映画をわざわざスコセッシが撮らなくともいいのに(-_-)
スコセッシもヤキが回ったのか?

もう一度、『レイジング・ブル』みたいなスゲー映画撮ってくれないんだろうかface13

マーティン・スコセッシ作品というのを除けば、まあ、デートムービーとしては、まあまあ、いいんじゃないっすか(^_^ゞ

レオナルド・ディカプリオも、大人になって、ちょっとは貫禄がでてきたし( ̄∀ ̄)


スコセッシ作品で、地味だけど隠れた名作『アフター・アワーズ』(1985)が、急に観たくなった。
  

Posted by アイスH at 02:44映画レビュー

2010年05月03日

久々の正統派SF『月に囚われた男』レビュー

『月に囚われた男』
製作年 2009( イギリス)97分
カテゴリー:SF
原題: Moon
監督・脚本: ダンカン・ジョーンズ
キャスト:サム・ロックウェル、ドミニク・マケリゴット、カヤ・スコデラーリオ、ケヴィン・スペイシー(声の出演)

レビュー( ★★★★☆)

恵比寿ガーデンシネマで正統派SF『月に囚われた男』を観た。
SF映画に正統派なんてジャンルはないが、CGが登場する以前の雰囲気を持ったSFと言う意味でオイラが勝手に書いてみた。
最近のCGやら、VFXてんこ盛りのSFには正直、食傷気味である。

「アバター」の3Dの映像は確かにスゴいが、名作「惑星ソラリス」(勿論タルコフスキー版。間違ってもソーダバーグ版のリメイクではない)のような、登場人物が数人しか出てこないような、人間の孤独やら、謎やらが詰まった静寂に包まれたような"正統派"のSF映画が観たくて堪らなかった。
たとえば「サイレント・ランニング」や「惑星ソラリス」(勿論タルコフスキー版)、「2001年宇宙の旅」みたいな映画face06

オイラが勝手に定義する"正統派のSF映画"とは、「哲学的なテーマ」「寂寞(せきばく)とした風景、あるいは別世界」「登場人物が10人以内」「派手なアクションがない」「しかも、どこか退屈ですらある」等々だが、『月に囚われた男』はこの全てを久しぶり満たした映画で、オイラはこの映画を、( ̄ー ̄うん(_ _( ̄ー ̄そうそう(_ _これこれ(´∇`)と思いながら観ていた。


『月に囚われた男』は、CGもエイリアンも登場しない、低予算で月が舞台の正統派SF映画である。
ストーリーは、3年間の契約で月にたった一人で滞在し、地球で必要なエネルギー源を採掘する仕事に就くサム(サム・ロックウェル)の話し相手は1台の人工知能コンピュータ(声のみ:ケヴィン・スペイシー)だけの環境だったが、任務が終了し地球に帰るまであと2週間というある日、サムは事故を起こしたことをきっかけに、そこにいるはずもない自分とそっくりの男と遭遇するといった内容だが、たった数行のあらすじだけでも、"正統派のSF映画"の匂いがプンプンするなあ(´∇`)

最近のVFXてんこ盛りもいいが、SFの神髄は地味でもなお面白い発想だと思う。
この映画で”地味でもなお面白い発想”がサムの唯一の話し相手、人工知能コンピュータのガーティだ。

人工知能コンピュータといえば、「2001年宇宙の旅」に登場するHAL9000みたいな、怖い奴を想い出すが、ガーティはSF映画史上、もっともお人好しで、正直者のコンピュータで、感情表現をディスプレイ上に、スマイルマークface02や、困った顔のフェイスマークface07で表示するチープなところが、ホノボノして実にいい( ̄∀ ̄)

あと、この手の正統派SF映画にありがちな勿体ぶった所が一切ないところが良い。

正統派SF好きの人は、マストの一本icon22
間違っても、「アルマゲドンが最高!!」と言う人は観るな!!  

Posted by アイスH at 11:45映画レビュー

2010年04月24日

3Dでなくても面白い『第9地区』レビュー

『第9地区』
製作年 2009( アメリカ)111分
カテゴリー:SF
原題: District 9
製作: キャロライン・カニンガム、ピーター・ジャクソン
監督:ニール・ブロムカンプ
キャスト:シャルト・コプリー、デビッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ、バネッサ・ハイウッド
レビュー( ★★★★☆)

ジョン・レノンは、国なんてなくなるのを想像してごらんと歌ったが、人類が次のステージにシフトしたらそれも可能になるだろう。
次のステージとは、テクノロジーの発達と新しい概念を手に入れた時だ。

たとえば、今から高々150年程前の一般的な人間の行動範囲は、半径数十Kmのエリアで一生を終えたという。
日本も400年前の戦国時代は、今の県ほどの領土が"国"で、それぞれの国同士が、他の国を攻めたり守ったり、殺し合いをしていたわけだ。
今の価値観で考えたら、そんな狭いエリアを命がけで、取っただの、取られただの、やってた訳だ。
それが、やがて日本は一つの国になって、今度は外国と戦争を始めた。

ジョン・レノンは『国なんて、ちっちゃいこと言ってんじゃねーよ』と歌ってたかどうかは、別として、たとえば、ドラエモン(≡ ̄♀ ̄≡)の”どこでもドア”が発明されたとしよう。
今まで遠くの異国がドアを開るだけで、隣町に行くみたいに気軽に行き来ができるようになれば、かつて日本にいくつもあった国がなくなったみたいに、国なんて概念はなくなるかもしれないと、オイラは思うわけだ。

”どこでもドア”は無理でも、日本からLAまで、1時間で行ける宇宙航空機とかなら可能かもしれないが、テクノロジーだけでは、新しい価値観や概念を手に入れることは無理かもしれない。そもそも人間は頑固で、不寛容だからface07

もし、それができるとしたら、宇宙人が地球にやって来た時に、あらゆる価値観が変わり、人類は初めて○○国人ではなく、地球人としての新しい概念を手に入れる事ができるかもしれない。

前置きが長くなったが、『第9地区』は宇宙人が巨大な宇宙船で現れて、28年後の南アフリカのヨハネスブルグが舞台の映画だ。
では、映画の中の人類達は地球人として、新しい価値感や概念を手に入れることができたのか?
答えはNOface15
と言うか、もっとひどい状況だ。
地球人達は、宇宙船が故障して餓死寸前だった宇宙人たちを難民として、第9地区と呼ばれるスラム街に強制移住させている。
宇宙人の姿は、地球人の価値観からすれば、不気味で、人間たちは彼らを"エビ"という蔑称で呼んで蔑んでいる。

舞台が南アフリカだけに『第9地区』が、かつて南アフリカの白人たちが行っていた人種隔離政策アパルトヘイトのメタファーということに直ぐに気がつく。

遥か遠い惑星から巨大な宇宙船に乗ってやって来るほどの、高度な科学力を持った異星人を、人間達はその姿形だけで蔑んでいて、彼らを保護している政府も偽善的だ。
人間たちが浅はかな生物なのは明白なのだが、宇宙人の姿があまりにも我々とかけ離れている為、映画を見ている観客も初めのうち、その"浅はかさ"に共感しながら観ているが、主人公ヴィカスが宇宙人と共に戦う様を観ているうちに、異星人と地球人の友情とまでは言わないが、全く異質の生命体同士の「魂の共感」に、人間たちの"浅はかさ"に気がつくという、実にうまいプロットになっている。

だが、この映画は、そんな小難しいことを言っているわけではなくて、映画の前半は、宇宙人が酒に酔ってゲロを吐いたり、立ちションをしていたり、主人公の小役人ヴィカスが宇宙人相手に、第10地区に移設させる形ばかりの書類に、大真面目にサインさせるようなお役所仕事がバカバカしく、偽善的で不寛容な人間社会をうまく皮肉っていて面白い。

ストーリーも、スピーディーでテンポもよくてface02

特に宇宙人の作った武器がスゴくて、人間が木っ端みじんになってしまう。
ただ、この映画はPG12(parental guidance12:12歳以下の鑑賞は親の判断で同伴が必要)だが、子供向けSFと思って子供を連れて行く親がいそうで怖いねface07

まあ、とにかく、キャストも無名で、監督も無名の新人というのに、一癖も二癖もあるこのエイリアン物のSF映画は、2Dでも『アバター』より面白いface03
12歳以下のこども以外に、おすすめ!!


  

Posted by アイスH at 03:03映画レビュー

2010年04月19日

ジョージ・クルーニー主演『マイレージ マイライフ』レビュー

『 マイレージ マイライフ』
製作年 2009( アメリカ)109分
カテゴリー:ドラマ
原題: Up in the Air
監督:脚本:ジェイソン・ライトマン
原作:ウォルター・キム
キャスト:ジョージ・クルーニー/ジェイソン・ベイトマン/ヴェラ・ファーミガ/アナ・ケンドリック/ダニー・マクブライド
レビュー( ★★★☆☆)

“バックパックに入らない人生の荷物はいっさい背負わない”をモットーに年間322日間も出張し、リストラ対象者にくびを言い渡す仕事をしているライアン・ビンガムは、リストラ宣告人というヘビーな仕事をしながら、他人とは関わらず、結婚願望もなく、お気楽に生きている。

毎日、全く無駄のない動きで空港のゲートを通り抜け、ホテルでは会員優先の特権を活かし、行列を尻目にチェックインし、人との深い関わりを持たず、しがらみとは無縁のお気楽な彼の密かな夢は、マイレージを1,000万マイル貯めること。

そんなある日、新入社員ナタリーが発案したコスト削減のネットを使ったリストラ宣告を会社が取り入れたため出張は一切禁止という命令が下る。
彼は、ネットリストラ実現するまでの間、新入社員の実習を兼ね、彼女と出張をする羽目になる。それと同時に、ホテルのバーで知り合った同業者の女性アレックスの”お気楽な関係”やライアンの家族とのつながりに微妙な変化が生じて来て、彼は、”何も入っていない彼の空っぽのバックパック”に何を入れるべきか、考え始める。

映画の前半は、ライアンの風変わりな生活と、ある種の哲学のようなこだわりぶりが楽しめるが、中盤あたりから何かしっくり行かない居心地の悪さを感じた。

それはたぶん、ライアンのキャラクターの造形が浅く、どこか思慮深そうにみえてしまうジョージ・クルーニーと、ただ軽く空っぽなだけのライアンのキャラクターのギャップだと思う。

ジョージ・クルーニーがミスキャストだと言っているのではない。
物語の前半部では、しがらみから逃れ、自由にお気楽に人生を楽しんでいる男にしかみえないのに、中盤あたりからリストラ宣告人という職業に彼なりの確固たる誇りと哲学を持っているのがわかる。
そんな男が何の理由もなく、ただ軽く空っぽな人生を送れるはずがないと思うからだ。
その辺の違和感(-_-)

映画の中で、新入社員ナタリーに、『なぜ地に足が着いた生き方をしないのか?』と問われても、ライアンは『きっかけは、ただ、一人になりたかっただけ』と言うだけで、説得力がない(-_-;)
そこがこの映画の骨子なのに。。。
そこを隠すのはいいが、彼の家族との関係とか過去の出来事などで観客に提示しないと、物語の底が浅く感じてしまうface15

ジョージ・クルーニーが、いい演技をしていた分、どっち着かずのキャラクター設定が残念face03


オイラも高校時代、『俺は、なんのシガラミもない生き方をしよう』と思っていて、高2の進路調査の希望進路の欄に『木こり、または詩人』と書いて、担任の先生にひどく怒られたface07

”木こり”と”詩人”は、深い森の小屋に一人で住んで斧で木を切り倒したりしながら、詩を書いて暮らしているのをイメージして書いたんだけど、先生が真面目に書けと言うので、成績は学年で後ろから数えた方が早い程悪いのに『東大に進学』と書て出したら、また、担任に呼ばれて、
『東大って何?』と聞かれたので
『先生!東大とは東京大学のことですよ』と元気いっぱいに答えて、あきれられた(;´д`)トホホ…

さすがに木こりにも、詩人にもなれなかったが、30過ぎても、『俺は子供も嫌いだし、結婚なんかするつもりはないから、結婚したいなら別の男を探せよ』とこの映画のライアンと全く同じようなセリフを、当時付き合っている彼女や、今の嫁にもワザワザ言って、お気楽な人生を送っていた。

そんなオイラも、なぜか結婚して今では子供もいるが、結婚して判ったことは、”何事も頭の中で考えていただけでは判らない”ということだ。
実際にやってみたら結婚生活も意外といいし、何よりも子供が生まれたら自分でもビックリくらい可愛かった。
予想がつかないから人生は楽しいface02  

Posted by アイスH at 18:14映画レビュー

2010年04月12日

『シェルター』レビュー

『 シェルター』
製作年 2009( アメリカ)112分
カテゴリー:サイコ・スリラー/ホラー
監督:マンス・マーリンド/ビョルン・ステイン
脚本:マイケル・クーニー
キャスト:ジュリアン・ムーア/ジョナサン・リス・マイヤーズ/ジェフリー・デマン/フランセス・コンロイ/ネイト・コードリー/ブルックリン・プルー/ブライアン・A・ウィルソン/ジョイス・フューリング/スティーヴン・リスハード/チャールズ・テックマン/ジョン・ピークス
レビュー( ★★★☆☆)


なんの予備知識もなく、横浜桜木町のブルク13で『シェルター』を観た。

あらすじは多重人格を認めていない精神分析医のカーラは、ある日、多重人格と思われるデヴィッドと名乗る男性を診察すると、彼の中からアダムという粗暴な人格と入れ替わる。

カーラは多重人格を否定しようと調査を進めるが、デヴィッドは実は25年前に死んだ故人であることが判明し、しだいに歴史の闇に葬られたおぞましい事実が明らかになって行くといった内容であるが、最初はサイコサスペンスかと思って観ていたら、謎を解き的な内容が、徐々に科学では証明できないような内容に展開して、初めてスリラーものかと気が付いた。

中盤までは、不可解な現象の謎解きのため、謎の点と点を結んでいく展開は引きつけられたが、後半から徐々に宗教や信仰と超常現象が結びついていく辺りから、期待していたような意外性もなく、途中まではちょっと怖い展開だった分、最後が陳腐な話になってしまったように思える。

恐怖って、理由とかよく解らない謎のままの方が怖い思えるのだが。。。

それにしても、ハッピーエンドは決して好きな訳ではないが、あのラストは後味の悪さは、すごーく嫌な気分になったね。face07


  

Posted by アイスH at 22:55映画レビュー

2010年04月06日

圧倒的な映像!『アイガー北壁』レビュー

『 アイガー北壁』
製作年 2008(ドイツ=オーストリア=スイス)127分
カテゴリー:山岳ドラマ
監督・脚本:フィリップ・シュテルツェル
キャスト:ベンノ・フェルマン、フロリアン・ルーカス、ヨハンナ・ヴォカレク 、 ウルリッヒ・トゥクール 、 ジーモン・シュヴァルツ 、 ゲオルク・フリードリヒ
レビュー( ★★★★★)

『アイガー北壁』を横浜桜木町のブルク13で観た。
ブルク13は桜木町駅から徒歩3分の2月にオープンしたばかりのシネコンだ。
(夜は横浜の夜景を見ながらカクテルを飲めるカフェもある)

『アイガー北壁』はナチスドイツが国威発揚のためにスイスの名峰アイガー北壁初登攀を煽り立てていた1936年が舞台で、
アイガーの北壁ルートの初登攀を目指すドイツの若き登山家トニーとアンディの死闘を描いた、 史実をもとにした山岳ドラマだ。

山岳ものや冒険ものの映画を見るたびに思う事がある。

なぜ、山に登るのか?なぜ、死をも覚悟した冒険をするのか?
冒険家には、自分が失敗して死ぬかもしれないというネガティブな発想はないのか?
それとも、絶対の自信を持っているいるのが冒険家なのか?

オイラの幼なじみのHは厳冬期の富士山に登って遭難した。
捜索は3日目に打ち切られ、Hの遺体は1年半後の夏に登山者に発見された。
享年27歳。Hは上手く世の中を渡っていけるような奴ではなかった。
彼は、自分には何が出来るのか、自分が何者なのか常に自分自身に問い、その答えを見いだそうと焦っていた。
そして、生き急いでしまった。
しかし、奴は自分が死ぬなんて最後まで少しも思っていなかったと思う。

まだ見ぬものへの強烈な憧憬とそれを追い求めようとする冒険遺伝子みたいなものあって
それを持った人間が冒険家になるのかもしれない。

冒険遺伝子の存在なしには、20万年前にアフリカの片隅で誕生した我々の祖先が世界中に広がったこともできなかったし、
凍傷で腕や足を失い、もしもの時は誰も助けに行けないアイガー北壁を登ろうなんて思う奴がいるのかも説明が付かない。


史実を基にした山岳ものと言えば、最近では『運命を分けたザイル』の傑作があるが、
『アイガー北壁』のトニーとアンディの死闘は、詳細な部分はかなりの創作が入っていると思われるが、
目がくらむような高所の映像と、彼らを襲う自然の厳しさと、数々の修羅場の連続に、
自分自身がアイガーの北壁にへばりついているような錯覚に陥った。

この映画は、何の予備知識もなく観た方が絶対面白いと思うので、これ以上余計な説明はしない。

言葉では決して表現できない、凄まじいほどの圧倒的な迫力を持った本物の映画だ。
絶対、映画館で見るべし!!

↓映画館で観られなかった人は、どうぞ(・∀・)b



  

Posted by アイスH at 18:59☆☆☆☆☆レビュー

2010年04月05日

世界中の映画祭で絶賛『息もできない』をレビュー

『 息もできない』(原題: Breathless)
製作年 2008(韓国)130分
カテゴリー:ドラマ
監督: ヤン・イクチュン
キャスト: ヤン・イクチュン, キム・コッピ, チョン・マンシク, ユン・スンフン, キム・ヒス, パク・チョンスン, イ・ファン
レビュー( ★★★★★)

基本的にオイラは、映画のラストシーンが終わってエンドロールの途中で退場する。

よく『エンドロールが終わる前に席を立つのはマナー違反だ』とか
『エンドロールの終わりまでみるのは映画に対する最低の礼儀だ』なんて、
通ぶったこと言う奴がいるが
(実はオイラも昔はこんなバカみたいなことを言って通ぶっていた(;´д`)トホホ…)、
エンドロールが終わって会場が明るくなった瞬間の現実に急に引き戻されるような白々とした雰囲気に耐えられないのだ。

映画の余韻に浸りたいという気持ちは解らなくもないし、
通路側に人が座っている場合は、マナーとして、通路側の人がいなくなるまで
席を立たないようにしていが、韓国映画やドイツ映画で、読めないハグル文字やドイツ語を
5分以上もボーっと見ているほど暇ではないし、
ましてや「金返せー」って言うような駄作のエンドロールを見る義理もないのに、
そんなダメ映画に限って通路側にいつまでも座っている奴がいて、
心の中で『こんなダメ映画ありがたがって、いつまでも見てんじゃねー(;´Д`)』と
イラついくことなどよくある。


しかし、1〜2年に一度くらいの割合で、席から立ち上がれなくなるほど
打ちのめされる映画がある。
それが今回”シネマライズ渋谷”で観た韓国映画『息もできない』もそういう映画だった。

オイラは、映画が終わっても、読めもしないエンドロールのハングル文字を見ながら、呆然としていた。
この映画は、本物の傑作である。

 しかも監督で主演の ヤン・イクチュンは、製作・監督・脚本・編集を
兼ねていて、これが監督デビュー作という十年に一度あるかないかの映画である。

クエンティン・タランチーノが『レザボアドッグス』で鮮烈な
デビューを飾ったのに似ている。
いやそれ以上の衝撃かもしれない。

ストーリーは、狂犬のように誰構わず殴り掛かるような粗暴な
借金取りを生業としている男サンフンが、
ある日、ヨニという女子高生と知り合う。

サンフンは少年時代に父親の暴力が原因で母と妹と死に分けれ、
刑期を終えて刑務所から出所した父親を激しく憎み、
父親のもとを訪ねては「なぜ、おまえはあんなことをした?」と
父親に激しい暴力を加える。

サンフンの問いに父親は答える術がない。
ただ、取り返しのつかない過去があるだけで、
父親は無抵抗でサンフンに殴られる。

一方、女子高生のヨニは、母が死に、
精神を病んでいる父の面倒をみながら、
彼女を毎日口汚くののしる弟と鬱屈とした生活を送っている。

ふたりはお互いの過去や不幸な身の上を語る訳でもないのに意気投合する。

サンフンは、常に粗暴な言葉で周囲の人間に毒づき、暴力を振るう。

彼は、世の中のあらゆるものが、憎くてしかなないのだ。
そして、本当は彼自身も、その原因となった暴力を嫌悪しているようにも見える。

ただ、どうしていいのかもわからない。
過去と父親と世の中を呪うしか術がないかのように、
あらゆるものに牙を剥く。

ある日、サンフンが激しく憎んでいる父親が自殺をはかる。
その時サンフンの中で何かが変わる。


誰も友達などいないサンフンが、夜中にヨナを河原に呼び出し、
彼女の膝の上に頭を載せ涙を流すシーンは、言葉ではお互いの感情を口にしなくとも、
お互いの行き場のない孤独な魂が共鳴した、胸が締め付けられるような切なさを持った、
映画でしか表現し得ないシーンだ。

オイラは、魂が揺すぶられるような本物の映画に出会えた喜びと、
これが監督デビュー作と言うヤン・イクチュンの才能に驚愕する。

全編暴力シーンが占める凄まじい映画だが、
これほど切なく孤独な魂を描いた映画は滅多に観れるものではない。

まぎれもなく傑作である。

  

Posted by アイスH at 11:44☆☆☆☆☆レビュー

2010年04月04日

『ウディ・アレンの夢と犯罪』レビュー

『ウディ・アレンの夢と犯罪』
製作年 2007( イギリス)108分
カテゴリー:サスペンス
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ユアン・マクレガー/コリン・ファレル/トム・ウィルキンソン/サリー・ホーキンズ
レビュー(★★☆☆☆)

『ウディ・アレンの夢と犯罪』を恵比寿ガーデンシネマで観た。
ウディ・アレンと言えば、ニューヨークを舞台にした、彼の独特なシニカル視点とウエットに富んだコメディ『アニー・ホール』『マンハッタン』などを思い出すが、『ウディ・アレンの夢と犯罪』は ロンドン三部作の最終章で、ちっぽけな野心の為に人の道を外れた人間の自滅を描いたシリアスドラマだ。

ロンドン三部作のひとつ、2005年の『マッチポイント』は観たが、スリリングな展開でロンドンロケの犯罪物ということもあり、今までの彼の作品とは違った雰囲気の作品で、結構面白かったが、本作の『ウディ・アレンの夢と犯罪』もロンドンロケの犯罪物でユアン・マクレガーとコリン・ファレルが主演ということもあり、かなり期待していたが、見終わった感想は『こんな駄作を本当にウディ・アレンが撮ったの?』と言うものだった。

どんな天才でも、常に傑作を生み出せるはずもないが、全般的にストーリーの表面をなぞったような印象で、『ユアン・マクレガーってこんな大根役者だったけ?』と思わせるような 取ってつけたようなシーンの連続で、予定調和的な結末に向けた底の浅い展開なように思えた。

ストーリーは、ユアン・マクレガーとコリン・ファレルが扮する 、投資で成功を夢見る兄のイアンとギャンブルで巨額の借金を背負った弟のテリーが、救いを求めた大金持ちに叔父にある人物の殺人を依頼され、彼らは悩んだ挙げ句に人としての一線を越え、罪悪感から破滅へ向かう物語だ。

イアンとテリーは何処にでもいる労働者階級の若者で、いくら彼らが窮地に追い込まれた状況とは言え、簡単に人を殺せるような人間ではなく、当然のごとく激しく葛藤する。
しかし、ウディ・アレンの演出は予定調和的で、葛藤する彼らの感情には届かず、薄っぺらな印象しか残らない。

ウディ・アレンも、もう焼きが回ったんだろうか?

「ロンドンはもういいから、ニューヨークに戻って昔みたいな知的でシニカルなコメディー映画撮ってくれよ」と昔を懐かしむオイラも、年を取ったのかもしれないface03





  

Posted by アイスH at 01:27映画レビュー

2010年04月02日

『ハートロッカ-』レビュー

『ハートロッカ-』
製作年 2008(アメリカ)131分
カテゴリー:戦争
監督:キャスリン・ビグロー
キャスト:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、レイフ・ファインズ、ガイ・ピアース、デヴィッド・モース
レビュー(★★★☆☆)

『ハートロッカー』は、第82回アカデミー賞において作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞、撮影賞、編集賞、作曲賞、音響編集賞を受賞した作品であるが、2008年に制作されたにも関わらず、ブッシュ政権下で、公開できなかったらしい。

この映画は、イラクに配属されて爆弾処理班の兵士の視点で捉えた戦争映画である。

爆弾の解除作業や、地雷の撤去作業での失敗は死を意味する。

死を覚悟しなければ、やれない仕事だ。

しかし、新しく赴任してきたウィリアム・ジェームズ二等軍曹は、まるで死など恐れていないかのように、単独行動で爆弾解除を行う。
覚悟を決めているのか、死への恐怖麻痺しているのか、あるいは任務を全うした時の達成感からなのかは判らないが、彼は冷静に、そしてジェームスが死と隣り合わせの任務を楽しんでいるようにも見える。

トラックでも木っ端微塵にできるくらいの威力をもった爆弾の前では、勇気も覚悟も、ましてや戦争の大義なんてものも、なんの意味も持たない。失敗したら、死のみである。しかし、誰かがやらなければならない。

爆発物処理班の任務を描いたこの映画は、今まで観たどんな戦争映画とも違っていた。

爆発物処理の現場は毎回変わりシーケンス毎の連続性がない分リアルで、脚本家が考えたような余計なドラマがないのがいい。

この映画の特異な点は、戦争映画でありながら、敵であるテロリストは姿を潜め、ジェームス達の前には現れないところだ。

この映画の唯一の戦闘シーンも、砂漠の遥か数キロ先からのライフルでの狙撃線だけだ。

数キロ先の建物に隠れた敵の狙撃兵のライフルから硝煙が上がって1〜2秒後に味方が撃たれ、こちらも点の様な人影に向けライフルを撃つが、1〜2秒後にスコープ越しに敵が隠れる建物の壁に被弾するという、何か間延びした銃撃線は、一体自分がどんな相手と戦っているのかも解らない、リアルにこの戦争の虚無がよく現れているシーンだったように思える。

役者も無名な俳優ばかり揃えて、骨太な映画に仕上げたキャスリン・ビグローの演出も見事だ。




  

Posted by アイスH at 00:28☆☆☆レビュー

2010年03月31日

『人間失格』レビュー

『人間失格』
製作年 2010(日本)134分
カテゴリー:ドラマ
監督:荒戸源次郎
キャスト: 生田斗真 、 伊勢谷友介 、 寺島しのぶ 、 石原さとみ 、 小池栄子
レビュー(☆)

結論から言うと映画『人間失格』は久しぶりに観たダメ映画だった。
過剰な自意識とナルシシズムの内省的な告白の物語である太宰治の『人間失格』をどんなふうに映画化するのだろうかという期待もあったが、主人公の葉蔵にモノローグで語らせるのではなく、映像で表現しようという心意気は認めるが、演出も脚本も役者もすべて空回りして、なにひとつ物語の本質まで届かず、底の浅い話が延々と続く駄作だった(-_-メ)

何がダメかと言うと、例えばカフェの薄幸のカフェの女と入水心中をするクダリは、なぜ、死にたいのか表現されていなく、葉蔵がなぜ『人間失格』の道を歩まざるを得なかったのか理解できない。

大分前に、太宰原作で浅野忠信、松たか子主演の『ヴィヨンの妻』を観たが、こちらの方はちゃんと浅野忠信にセリフで、「僕は世の中や人間が怖くてしかながない」と言わせていて、なぜ主人公が厭世的な生き方しかできなのか納得できる。

しかし、『人間失格』には、人間失格になる要因が一切語られておらず、それをあえてしないのかどうかは知らないが、葉蔵の絶望感が全く伝わって来ない。
葉蔵は、恐ろしくてしかたがないんだ。まず、それを語らずに(表現せずに)『人間失格』を描けるはずはないとオイラは思う。

あと、職業婦人の子持ちの未亡人の家に葉蔵が転がり込んで、子供に「本当のお父ちゃんじゃないし。。」的なことを言われて絶望して失踪するシーンは、どうしようもないくらい演出ができていない。あれでは、観客は意味が判らないよ。

あのシーンは原作でも、葉蔵が自分自身を善良な未亡人親子とりつく邪悪な人間と蔑んで絶望するというとても重要な箇所なのに、単に家を出て酒を飲んでいるシーンになっていて、呆れるのを通り越して腹が立ったぜ(`Д´)
脚本家も、監督もちゃんと原作を読んだのかicon08って言いたくなる。

その他にも、薬屋の未亡人に麻薬を無心するシーンとか、奈落に落ちて行く人間の感情をむき出しにしなければいけないシーンも、ただ単に原作の話をなぞっただけの陳腐な演出だったし、何よりもダメなのは、中原中也が出て来るところが最悪だ。
一体何をしたいの?
中原中也なんて、太宰の『人間失格』には、全然関係ないじゃんface04

主演の生田くんは、ちょっと頑張ってたみたいだけど、底の浅い脚本と洞察力のない演出では、彼がいくら頑張ってみたところで、ちっとも『人間失格』には見えないよface07

まあ、それほど映画化するのが難しい原作だから、今まで誰も映画かしなかったのかも知れないけどねface15



  

Posted by アイスH at 03:24☆レビュー

2010年03月27日

『渇き』レビュー

『渇き』
製作年 2009(韓国)133分
カテゴリー:ファンタジー
監督:パク・チャヌク
キャスト:ソン・ガンホ、キム・オクビン、シン・ハギュン、キム・ヘスク、パク・イヌァン
レビュー(☆☆☆☆☆)

『オールドボーイ』の鬼才パク・チャヌク監督による異色ヴァンパイア映画『渇き』を観た。
 この映画は情念の映画である。ヴァンパイア映画でありながら、根底にあるのは、男と女がお互いの欲望の渇きを癒すためにエゴイスティックに相手を求める、ヒリヒリとした感情だ。吸血鬼はただの仕掛けであって、パク・チャヌク監督が描きたかった本質は、“情念”だったように思える。ゴシックホラーという仕掛けにより、“情念”をより鮮明にすることができたとオイラは思う。


 果たして今の日本映画界に、ゴシックホラーやファンタジーでありながら、男と女の情念みたいなものを撮れる監督はいるのだろう?
日本映画界と韓国映画界を比べても、何の意味もないと思うが、こういった決してハリウッド映画のようなビッグバジェット映画では表現しきれない種類の韓国映画を観る度に、もうすっかり日本映画が手の届かない領域に韓国映画界が進化したように思えて仕方ない。
かつての日本映画では存在したのに。。。face06
 
 お子ちゃま映画が蔓延り、作家性のある監督の企画が通らないのかも知れないが、韓国映画界の懐の深い映画を見るたびに、日本映画に危機感を持ってしまう。

 まあ、とにかく第62回カンヌ国際映画祭で審査員賞受賞のお勧めの一本。  

Posted by アイスH at 17:02☆☆☆☆☆レビュー

2010年03月27日

『抱擁のかけら』レビュー

製作年 2010( スペイン)128分
カテゴリー:ドラマ
監督: ペドロ・アルモドバル
キャスト:ペネロペ・クルス、ルイス・オマール、ブランカ・ポルティージョ、ホセ・ルイス・ゴメス、ルーベン・オカンディアノ
レビュー(☆☆☆)

スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルの『抱擁のかけら』を観た。
ストーリーは、かつて映画監督だった盲目の男(ルイス・オマール)は、過去も本名も捨てハリー・ケインと名乗り、映画の脚本ライターをしている。

ある日、謎の男が彼を訪ねてきたことにより、彼がなぜ光を失ったのか?、なぜ本名を捨てたのか?を、14年前の映画撮影現場で彼が愛をささげたレナ(ペネロペ・クルス)との愛の物語を中心にその謎が語られるといった内容だ。

 ひとりの美しい女の為に破滅してしまう『赤い航路』や『ダメージ』のような話を期待していた分、ストーリー的にはちょっと陳腐な話で期待はずれだったが、男の過去が徐々に明かされる展開は実にうまい。
しかし、くどい。無駄に長すぎる。レナを主演に撮った映画のシーンは、何の意味もない長いシーンが延々と続いてウンザリしてしまった。

 意味があるとすれば、劇中劇の中のペネロペ・クルスは、オードリー・ヘップバーンのように清楚で”美し過ぎる”点だけだろう。
 最近、大して美人でもないのに、”美しすぎる”市議会議員とか、”美しすぎる”女子プロゴルファーとかマスコミがやたら言っているが、”美しすぎる”
と言っていいのは、この映画にでてくるペネロペ・クルスみたいな、「この女のためなら、どうなってもいい」と思わせる女だけだ。
 ”美しすぎる”市議会議員も、”美しすぎる”女子プロゴルファーも”その業界の中でちょっとだけ美人”と言ってもらいたいものだ。  

Posted by アイスH at 00:48映画レビュー

2010年03月27日

『恋するベーカリー』レビュー

『恋するベーカリー』
製作年 2009( アメリカ)120分
カテゴリー:ハートフル・ラブコメディー
監督:ナンシー・マイヤーズ
キャスト:メリル・ストリープ、アレック・ボールドウィン、スティーヴ・マーティン
レビュー(☆☆)

メリル・ストリープ主演の『恋するベーカリー』を観た。
メリル・ストリープ演じるジェーンは10年前に離婚して3人の子供を育て上げ、充実したシングルライフを送っている、人気ベーカリーを経営する実業家で邦題は『恋するベーカリー』とちょっと馬鹿みたいなタイトルがついていてベーカリーが舞台のラブコメディーかと思っていたら、ベーカリーはあまり関係ない。

ストーリーは、離婚した元の夫と偶然の再会によりベットインしたことにより新たな関係性ができ(元の夫は新しい家族を持っているので不倫関係)、しかも新しい恋人との微妙な三角関係がコミカルに描かれている。

 ジェーンの設定は、メリル・ストリープの実年齢の50歳台の社会的に成功した富裕層の女性で、ジェーンが友人の熟女たちと繰り広げるガールズトークは微笑ましく楽しいが、これを言ったら実も蓋もないが、まあどうでもいいような他愛無い話ではある。

 しかし、演技派女優メリル・ストリープを中心に、実に身勝手だけど憎めない元夫のジェイクを演じるアレック・ボールドウィンと、実直で傷つきやすいアダムを好演するスティーブ・マーティンの三人のベテラン俳優陣の演技が、ストーリーに厚みを持たせていて、ハートフルな味付けの大人のラブコメディーに仕上がっている。  

Posted by アイスH at 00:38映画レビュー

2010年03月24日

『ラブリーボーン』 レビュー

『ラブリーボーン』
製作年 2009(アメリカ=イギリス=ニュージーランド)135分
カテゴリー:ファンタジー
監督:ピーター・ジャクソン
キャスト:マーク・ウォールバーグ、レイチェル・ワイズ、スーザン・サランド、スタンリー・トゥッチ、マイケル・インペリオリ、シアーシャ・ローナン
レビュー(☆☆☆)

最近友人のKが急死した。正確には急死していた。

ある夜、彼の弟から電話があった。
『兄が先月の末に病死しました。葬儀は身内だけで密葬しました』と。。。
突然の知らせに、言葉もなかった。ちょっと前にメールのやり取りをしていたのに。

友人のKは、生涯独身で、ネコと競馬と映画を愛する自由人だった。
Kと会うと必ず、挨拶代わりに「あの映画観た?」とお互いに最近みた映画の感想を語りあった。
(松田優作の”探偵物語”の探偵と骨董屋のように。。。)

葬式にも出ていないので、Kが死んだ実感はない。
Kももっと生きたかったろうが、充分に生きたと思いたい。

人は必ず死ぬ。そんな当たり前のことを、普段はまるで人事のように忘れている。
しかし、どうあがいても、いつか人は必ず死ぬ。
だから、とても短い人生の中で、懸命に自分のやりたいことを見つけて、何をやらなければならない。
何もしないと、きっと後悔するから。。。

 ゆえに、若くして人生が終わってしまうことほど、切ないことはない。
最近報道されている幼児の虐待死や若者の自殺など、いたたまれない気持ちになる。
彼らには、何かをみつける十分な時間すら与えられなかったのだから。。。。

『ラブリーボーン』は14歳で変質者に殺された少女の目を通して、残された家族や、短い自分の人生を見つめなおす物語だ。
主人公の少女スージーは、初恋の相手との初めてのデートの前日に、狡猾な変質者にレイプされて殺される。
スージーは自分が死んだことを自覚できずに、この世と天国の狭間のとても美しい世界から、こちらの世界をみつめている。

若い頃は、死後の世界とか、永遠とか、宇宙とか自分の考えが及ばない事について考えを巡らせたものだが、特定の宗教は特に信じていないオイラでも、こんな天国みたい美しい世界があればいいなあと思いながら映画を観た。

この映画は、変質者に殺された少女の物語でありながらファンタジーという、今まであまりない種類の映画だと思うが、テーマを絞りきれていなのか、残された家族の描かれ方とか脚本が弱いところがあるように思う。
 特にスーザン・サランドの様な大物女優を使いながら、彼女がただのファンキーなバアさんで終わっていて、ストーリー上なにも機能していないキャラクターになってしまっているのが、非常に残念だった。
 原作でそのような設定だったのかもしれないが、残された家族の傷をいたわるような重要なキャラクターだったような気がするが。。。

この映画は、残された家族によって、犯人が追いつめられるくだりはあるが、犯人が捕まるかがテーマではない。
若くして命を奪われた少女の魂の浄化がテーマである。  

Posted by アイスH at 17:45映画レビュー