2011年06月27日

松本人志監督『さや侍』レビュー

『さや侍』
製作国:2011年日本
上映時間:103分
ジャンル : 時代劇
監督:松本人志
キャスト:野見隆明、熊田聖亜、板尾創路、柄本時生、りょう
レビュー(☆☆)

『大日本人』『しんぼる』で松本人志監督は、既成の映画概念を破壊すると
いうようなことを散々息巻いていた。

が、健闘も虚しく、当然、先人達が創り上げた映画を壊せるはずもなく、
まるで金の掛かった、自主制作の学生映画か、実験映画程度のものでしかなかった。

その程度の映画でも、あの天才松本がカンヌに出品とか
散々持ち上げられて、映画界の失笑を買った。
とは、言い過ぎか( T_T)\(^-^ )

少なくともオイラは、笑ったさ( ̄∀ ̄)
別の意味でψ(`∇´)ψ

確かに、前2作品では、松本人志の独自の視点があり、
それなりに楽しめるが、あまりにも中途半端な出来で、
映画とは到底呼べる物ではない。

特に『大日本人』での、松ちゃんのアドリブの演技とか、
最後のあまりにも唐突なテレビのバラエティー的な悪ふざけには、
正直、( ゚д゚)ポカーンとなってしまったよ。

周りから天才と煽てられて、ちょっと金をかけて映画っぽいものを
作ってみても、映画で人を笑わせることの難しかしい。

テレビでは、スタジオのスタッフがゲラゲラ笑ってくれるのだが、
映画はそうはいかない。

只でテレビを見て笑っている視聴者と映画の観客は、
例え、それが同じ人物だったとしても、映画館に来る客は、
人生の数ある選択肢の中から、松本人志の映画を選んで、
数日前から予定をたて、髪を整え、外出用の服に着替えて、
電車やバスに乗ってワザワザやってくるのだ。

しかも、なんの割引もなしに観ると1800円もの金を払う。
1800円を舐めてはいけない。
牛丼屋で1800円分を使おうと思ったら、結構大変なくらい食べれる(笑)

つまり、TVのお笑いと映画では、求めているもののクオリティーに
大きな乖離(かいり)があるとオイラは思う( ̄ε ̄)
映画の客を侮ってはいけない。ヾ( ̄o ̄;)

そんな客にテレビ的なお笑いで、台本もなくアドリブでやってみましたとは、
映画を舐めるな(#゚Д゚)凸ゴルァ!!って、感じだ。(-_-メ)

映画監督には、スクリーンに映し出される映像や音、音楽、全てに責任がある。

だから、黒沢明は、ほんの些細なことにも、鬼のようにこだわった。

ほんの数センチの動きも、巨大なスクリーンでは、その何十倍の動きになる。
ほんの些細なセリフが、見た人の人生をも変えてしまう。

たかが映画だが、映画にはそれほどのパワーがあるのだ。

だから、映画でちょっと面白いことをやって笑わそうなどと思ってはいけない。

と、前2作について長々と書いてしまったが、
今回の『さや侍』と言うと、松本人志はキャストとしての出演なく、監督に徹している。

あのアドリブの三文芝居を封印したことをオイラは非常に評価する(○ ̄∀ ̄)ノ

しかも、主役が全くの無名というか、その辺のオッサンにやらせているのだ!!( ̄□ ̄)
何でも、松本監督がテレビで共演した素人で、監督が惚れ込んで出演させたらしい。
素晴らしい!!ス…Σ(゚д゚|||) スゴイッッ!

人気先行の大根役者を主演にして集客を狙わず、作品の内容で勝負しようってことか(^з^)-☆!!
松本監督のチャレンジに拍手!(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ
(でも、よくプロデューサーがOKしたなあ( ̄□ ̄))

その代わり、娘役の子役が上手い(笑)

ストーリーは、刀を捨てた武士で鞘だけ腰にさした、『さや侍』野見勘十郎(野見隆明)は、
脱藩者として追われる身で、一人娘のたえ(熊田聖亜)と逃げ回っていたが、
囚われの身となり、切腹を言い渡される。
しかし、母の死以来、笑顔を失った若君を笑わせることができれば無罪放免。
一日一芸、猶予は30日。親娘は、『30日の業』に挑む。


オイラは、何の予備知識も無くこの映画を観に行ったので、
てっきりコメディだと、思い込んでいたら、なにか様子が違う。
『30日の業』を通じて、また、テレビ的なお笑いを展開するのか(-。-;
と、思っていたら、全く笑えない。
オイラだけではなく、レイトショーで20人位はいた客も
誰一人クスリとも、笑っていない。


なんだこれは?(; ̄ェ ̄)

ワザと外しているのか?笑いを取り行っているのに外してまくっているのか?
それとも、それが狙いなのか?そもそも、コメディ映画では、ないのか?

コメディだと思って観に来たオイラは、何か居心地の悪さを感じつつ、
観ているとどうも、コメディでは、なさそうだ。
”笑い”が重要なテーマではあるが、余りにもベタな笑いは計算だろう。

では、コメディではない松本人志監督映画の落とし処が気になる。

『さや侍』野見は、挑戦者のように不可能と思えることに挑み、
やがて、その”挑戦”は次第に町人達の心を掴む。
つまり、大衆には大受け。(≧∇≦) ガハハハ!
しかし、本当に笑わせたい人には、思いは届かない。( ゚д゚)

ひょっとしたら、『さや侍』野見は、コメディアン松本人志の投影なのか?( ̄□!!

初めコメディ映画と思って観ていたこの映画は、
結局、“笑い”をテーマにした、親子愛の物語だった。
って、書くと、スゲー陳腐( ̄ε ̄)


前2作品での、シュールでアバンギャルドで、とんがった感じの作風は影を潜め、
『さや侍』は、なんだかちゃんとしたドラマになっている。(ちょっと風変わりだが。。。)

散々、前2作品をコキオロして、こう言うのもなんだが、
『日和ったな。松っちゃん!!( ̄∀ ̄)』って言いたくなったぜ。

誰も観た事の無いような映画作るって言ってたじゃん!?
それが、なにかとっても、陳腐でありきたりの親子愛の映画ってどういうことよ?

それをやるなら、”笑い”ってテーマも邪魔に感じる。

つまり、天才コメディアン松本人志にとっては、“笑い”は重要なテーマであっても、
映画の観客であるほとんどの一般人にとっては、さほど意味がない。
だって、その辺のオジさんやオバさんが、“笑い”を突き詰めて考える必要などないから。

結局、“笑い”も、“映画”も、面白いとか、感動するとかの重要なファクターは、
『共感』だと、オイラは思う。

“笑い”に立ち向かう親子の戦いに、コメディアンでもない一般人がそれほど、
“笑い”っていうテーマに、共感するとは思えないよ┐(´〜`;)┌

確かに、ラストの“観客への裏切り”はこの映画の必然だが、
最後に、貯めて、貯めて、ドカ〜ンΣ┌(_∀_)┐ !って、
笑いを期待していたんだが。。。。(´。`)

今後、オイラが映画監督松本人志に期待するのは、
もっと、シュールで、尖った笑いを追求した映画を撮ってほしい。

それほど高い評価も無いのに、ビッグバジェットでやりたい放題好きな映画を
撮れる監督なんて、世界中を探しても、稀有な存在なんだから、
やりたい事だけやったほうが、いいとオイラは思う。

アンディー・ウォーホールが撮った映画は、
超つまんないけど、自分の感性を信じて作ったから意味がある。
退屈で寝ちゃうけど、、、、ネム〜 ヘ( ´ρ`).。o○

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Posted by アイスH at 12:00☆☆レビュー

2011年06月18日

『ブラックスワン』レビュー

『ブラックスワン』
原題:Black Swan
製作国:2010年アメリカ
上映時間:108分
映倫区分:R15+
監督:ダーレン・アロノフスキー
原案:アンドレス・ハインツ
脚本:マーク・ヘイマン、アンドレス・ハインツ、ジョン・マクローリン
撮影:マシュー・リバティーク

キャスト:
ナタリー・ポートマン、バンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー

レビュー(☆☆☆☆)

優れた芸術作品には狂気が内在する。

お子ちゃま映画や営業ロックバンド、ましてやテレビのお茶の間番組には
決して存在し得ない。

見た瞬間に、心を奪われ、魂が揺すぶられるような衝撃を受け、
身震いするばかりか、悪寒さえも感じる程の狂気が内在する。

それが本物の芸術ってもんだ。(○ ̄∀ ̄)ノ


普段はそんなものは、平和な日常に覆い隠されて、
目の当たりにする事はない。



オイラの友達で骨董品の目利きに言わせると、
ゴッホが生きていた時には何の価値もなく、
ゴッホの絵は、彼の死後、とんでもない値段で取引されているからこそ
芸術的な価値があると言って憚らない。

つまりは需要と供給によって、価値も芸術的に優れてた作品かも決まる
と言い張るので、オイラは反論して
『ゴッホが例え歴史に埋もれていたとしても芸術作品としての価値は変わらない』
『誰かが認めなくとも、本物とはそういうものだ』
と居酒屋で酔っぱらって、激論になったことがある。

しかし、誰かが観たり聞いたりしないと、芸術は成り立たないっていうのも事実だ。
(食っていけないし。。。)


親が資産家で、金の心配をしない家にでも生まれない限り、それは無理な話だ。
でも、そもそも金持ちの家に生まれたら、そんなものを作ろうとか
表現しようなんて思わないだろうな(-。-)
自分の身を削り、何かに取り憑かれたような人生を送る羽目になるから( ̄^ ̄)



映画『ブラックスワン』に主人公ニナ(ナタリー・ポートマン)は、
ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するプロダンサー。

バレエに人生を捧げている彼女に、ある日
新作「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが訪れる。

しかしニナは、邪悪で官能的な黒鳥を演じなければならず、優等生タイプの彼女には
それが高い壁となり、次第に繊細なニナは追いつめられて行く。

ニナが混乱し、追いつめる背景には、元ダンサーの母親
エリカ(バーバラ・ハーシー)の存在がある。

オイラが思うに、こういう母親のような人間は、もっとも邪悪タイプだ。


母親のエリカは、娘のニナを妊娠したことにより、自分の夢であった
ダンサーをあきらめ、そのかつての夢を娘に投影している。

彼女は、ニナがプリマ役に抜擢されたことを、当然喜び、応援し、心配をする。
しかし、それは表面的なものでしかない。
”表面的”というのは語弊があるので、”意識下”での行動と言い換えると判り安い。

母親のエリカは、自分が自覚していない無意識下では、
娘がプリマ役に挫折することを望んでいる。
なぜか?

それは、自分が実現できなかった、かつての夢を娘に投影し、娘をコントロールして
夢に向けて努力している自分の姿(行動、生活)こそが重要だからだ。
決して裕福ではない生活や、あてもないような日々こそが
彼女にとって居心地のいい場所なのだ。

それが、ある日、娘が大役を得て、急に純白の白鳥のように
大空に飛び立とうとした時、彼女の無意識が彼女自身に命令する。

娘の夢を壊せと( ( (;゚ー゚) ) )

母親エリカこそが、ニナの邪魔をするドリームキラーなのだ。
オイラが、”もっとも邪悪タイプ”と言ったのは、
エリカが自分でも自覚していないところだ。

表面的には、心配をしてニナに過干渉をし、子離れができない。
いつまでも、ニナは自分が守るべき弱い存在でしかない。
応援をしているように見えるが、『やっぱり、あなたには無理よ』と
自分が夢を託した娘の未来を閉ざそうとする。

そもそも、プロのバレーダンサーなること自体が、本当にニナが望んだ夢なのかさえも怪しい。


母親エリカは、エゴイストで、しかも邪悪だ。
こういったタイプの人間は、その辺に履いて捨てる程いる。

『サッカー選手になるなんて無理よ。いい学校に行けるように勉強しなさい』
と子供を塾に通わせる母親や、
『成功する奴なんて、ほんの一握りだよ。いい加減目を覚ませよ』
と訳知り顔で、飲み屋で説教する友人。

”そんなの無理だよ”と言うやつら全員がドリームキラー。

もし、あなたが何かをなし得たいと思っていたら
決してドリームキラーの言う事を聞いてはいけない。face15

彼らは、自分と同じように夢を諦めた仲間を欲しがっているのだから。




話を映画に戻そう。

ニナが見た夢が、実は母親の幻影であったとしても、
彼女がその夢に向かって努力してきたのは事実だ。

その夢を叶える為には、彼女の前に立ちはだかる心の壁だったり、
母親のエゴだったり、自分の弱さなどと戦い、

自分の力で夢を掴みとらなければいけない。

それだけが、今の自分を乗り越える唯一の手段だ。

一番の敵は、今の自分。
今まで、母親が望む”娘役”を演じてきたニナに、彼女に内在する狂気が囁く。

母親が作り上げた偽物の自分の殻を破り、本物の自分に生まれ変われとψ(`∀´)ψ

もはや、無垢な白鳥か、邪悪な黒鳥か、どちらが本当の自分なの判らない。
白と黒がニナの肉体の中で、激しく鬩ぎ合う。


アカデミー賞主演女優賞受賞したナタリー・ポートマンの渾身の演技と、
トレーニンングで作り上げたバレーダンサーの肉体は圧巻だ。

が、何かが足りない。

演出は、ニナの精神の混乱を表現しているが、やや仰々しく、
本物の狂気が足りないよう思える。

それは、小手先のホラー映画もどきの、ちんけな狂気などではない。

必要なものは、本物のアーティストや、パフォーマーだけに内在する狂気だ。


何かと戦っている人にお勧めの映画だ。
  


Posted by アイスH at 20:40☆☆☆☆レビュー

2011年06月10日

リアン ニーソンが渋いぜ!『アンノウン』レビュー

『アンノウン』
原題:UNKNOWN
製作国:2011年アメリカ
上映時間:113分
ジャンル:サスペンス
監督:ジャウム・コレット=セラ
キャスト:リーアム・ニーソン、ダイアン・クルーガー、ジャニュアリー・ジョーンズ、
エイダン・クイン、ブルーノ・ガンツ、フランク・ランジェラ
レビュー(☆☆☆☆☆)

最近、大脳生理学や認知科学の本を読んで、
ある疑念が湧いてきた。

『おいらは、一体誰だ?』
と(; ̄ェ ̄)

ひょっとしたら、映画マトリックスみたいに、バーチャルリアリティの中の
微弱な電気信号かもしれない。

オイラがオイラであるという証明はなにか??
なんて、思春期の中学生みたいな青臭い事を考えてみたが、
その最近読んだ本に、興味深い事が書いてあった。

”人は自分が見たいものだけをみている”
別の言い方をするなら、
”人間の脳は、自分にとって重要なものしか認識していない”
ということらしい!(◎_◎;)

これは、オイラの体験談で説明すると、
独身主義者で子ども嫌いのオイラが、なぜか
結婚して、息子が生まれた。

ある日、赤ん坊の息子を連れて出かけたら、
町中に赤ん坊がビックリするくらい、そこら中にいるではないか( ̄□||||!!

つまり、もともと赤ん坊はいたのに、オイラの脳が認識していなかっただけで、
子供が生まれて、赤ん坊がオイラの中で重要なファクターになって、
心理的な盲点がなくなったということだ。

これは今まで見ていた世界が一変したような出来事だった。
(ホント、子供が生まれたら人生観が一変したよ(´。`)


映画『アンノウン』の主人公、科学者ドクターマーチン(リアン ニーソン)は、
妻と訪れたドイツのベルリンで、タクシーごと凍り付いた川に転落し、
病院で昏睡状態から目覚めると、記憶の一部を失い、パスポートも紛失していた。

彼は、妻とチェックインしたホテルを思い出し、妻に会いに行くが、
妻は自分のことを覚えていないばかりか、妻に寄り添う見知らぬ男が、
ドクターマーチンの名を名乗り、妻の夫だと言い、パスポートでそれを証明する。

では、記憶の一部を失い、自分を証明するIDも持たない自分は一体誰なのか?

今まで自分が現実と思っていたことが、幻想だったのか?
混乱して、自分に都合の良い記憶を作りだしたのか?

この映画の最大の面白さは、ミステリーと謎解きだ。
謎は、ある点から点へと繋がって行く。

ある点とは、男の記憶であったり、偶然であったり、
余計な説明がないところが、非常にいい!!
クドクドとアホみたいな説明をしない脚本が最高にいいのだ。

例えば、ドクターマーチンが、唐突に何かに突き動かされるような行動をする。
それが何なのかは観客には判らない。
何かを思い出したのかもしれないし、何かが閃いたのかもしれない。

下手な脚本だと、状況説明の独り言とか、フラッシュバックとか、
回りくどい説明的な映像とかを、カットインしがちだが、
そんな客を低能扱いしたようなクダラナイ演出の映画には心底ウンザリなのだ(;´Д`)

不親切なほど、何の説明もなく黙々と行動するところがこの映画の”キモ”だ。

それに、この映画はただの謎解きのサスペンスではない。
アイデンティティーとは?人間の本質とは?が隠されたテーマでもある。

冒頭でアイデンティティーについた長々と書いたが、
この映画をみると、本当の自分とは何か、
主人公の男と一緒に探求できる。

これ以上説明しても、ネタバレになるので何も書かないが
なんの予備知識もなく、観た方が絶対に楽しめる。
久々の☆☆☆☆☆のおすすめの映画だ!!

自分が自分であると証明するものとは、パスポートなどのIDではない。

過去の記憶が、今の自分を証明している。
しかし、それは、脳が作り出した自分に都合の良い記憶かもしれない。
(ただし、未来は過去とは関係ない。これ重要!!)

オイラは、そして、あなたは、一体誰だ!?本当の自分とは!?
マトリックスの中で、自分の都合のいいように作り出した記憶の一部か!?
そもそも、存在しているのか?

しかし、オイラは誰がなんと言ってもオイラだ( ̄∀ ̄)

デカルト的にいえば、“我思う、ゆえに我あり”ってとこか!(◎_◎;)
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Posted by アイスH at 01:38☆☆☆☆☆レビュー

2011年05月01日

『アンチクライスト』レビュー

『アンチクライスト』
原題:(Antichrist)
製作年/国:2009年
製作国:デンマーク、ドイツ、 フランス、 スウェーデン、イタリア、 ポーランド
カテゴリー:ドラマ
上映時間:104分
監督・脚本: ラース・フォン・トリアー
撮影: アンソニー・ドッド・マントル
キャスト:ウィレム・デフォー、シャルロット・ゲンズブール

レビュー(☆☆)



2009年のカンヌ国際映画祭で初上映され、物議を醸した『アンチクライスト』が
やっと、日本で公開されたので、渋谷に観に行った。


ラース・フォン・トリアーと言えば、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『ドッグヴィル』
『マンダレイ』など、実験的な手法で人間の本質を剥き出しにし、観る者をこれでもかと
不快にさせる映画を撮る監督だ。

『アンチクライスト』は反キリストの意味なんだけど、
ラース・フォン・トリアーの撮る映画は間違いなくアンチデートムービーだ。
決して、こんな映画をデートで観てはいけない。

昔、フェデリコ・フェリーニの『8 1/2』を観に行って、
エンドロールが終わる前にエレベーターに乗った時に、一緒になったカップルの会話。

女「失敗したね~。意味わかった?」
男「あ~。最後に踊って、人生は祭りだってことだよ」(爆)
オイラは、思わず吹き出すのを堪えるのに必死だった。
別にバカにして笑いそうになったのではない。

映画なんてただの娯楽で、観たいものを観ればいいだけの話だ。
ただし、映画というやつは、したたかで、油断がならない。
シンプルで間の抜けたようなコメディー映画にさえ、魂を鷲摑みにされるようなシーンや、
人生を変えてしまうほどの映画になるかもしれない。

つまり、映画はそれほどのパワーを持っているのだ。

『8 1/2』やゴダールの映画を観るには、それなりの準備というか
鍛錬というか、映画が表現するボキャブラリーを増やさないと、
一体なんのことについて語っているのかさえ判らないという事態になってしまう。

『8 1/2』を観にいった例のカップルは、たぶんの何の予備知識もなく、
観に行ってしまったんだろう。

でも、それが『アンチクライスト』でなくてよかった( ̄ε ̄)。

で、思い出したのが、これも昔の話だが、イタリア映画際だかのイベントで
『ソドムの市』を観に行ったら、どう見てもデートで映画を見に来ましたと言う感じの
初々しい高校生のカップルがいて、
オイラは「デートでこんな凄まじい映画観ても大丈夫か?ヾ( ̄o ̄;)オイオイ」と
忠告したくなったことがある。
まあ、人は見かけに寄らないので、彼らが人間の業について、
非常に造詣が深い人生の探求者かもしれないから、
おせっかいな忠告などはしなかったが、
もし、そうでなかったら、映画を見た後、
二人は非常に気まずい状況に陥っていたはずだ。(笑)
しかし、それもまた、甘酸っぱい青春の1ページ(死語)(笑)



話を『アンチクライスト』に戻すと、この作品もまたラース・フォン・トリアー映画らしく
思いっきり不快な気持ちになり、観賞後の後味の悪さと言ったらないね。

なんでわざわざ、こんなネガティブな気分になる映画を
観に行ってしまったんだと後悔さえしてしまう。

DVDを買って何度も、自宅で鑑賞したいという人は、そう多くはないんじゃないだろうか?
オイラの偏見かもしらないが。。。。(´。`)

ストーリーは、ウィレム・デフォーとシャルロット・ゲンズブールが演じる夫婦が、夜、
性交中に子供が窓から転落して死んでしまう。

妻は自分を責め、崩壊していくが、
精神カウンセラーの夫は、妻を救うべく、山小屋で妻と暮らしながら、悲劇と向き合おうとするが、
人間のエゴや、狡猾や、恐怖や、業やらが絡み合って、まるでホラー映画のような展開になっていく。
怖い(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル…
で、プッツン( ゜д゜)と行った妻は、夫の○○をXXして、ボルトで足を○○したりして。
オイラはヒィ─━─━((ヘ(; >Д< ||)ノ))━─━─ッ!!ってな感じで、正視できないほどだった。
(実際、カンヌの上映でも、何人かが失神したらしい。。。(;´д`)トホホ…)

で、ラース・フォン・トリアーは、凄まじい描写で、人間の本質を剥き出しにしたのか?

というと、映画の前半は、観念的は話が続き、
後半近くは急にスプラッタ映画の様な強烈なシーンに、オイラは
『一体、何について語っているんだ(@_@)???』と宙ぶらりんな印象を持った。
ただし、ラース・フォン・トリアーは人の気分を悪くさせる天才だ。

『ドッグヴィル』『マンダレイ』では、スタジオに骨組みだけの舞台装置のセットを組んで
人間の本質にあれほど迫った監督が、『アンチクライスト』では、
大胆な性描写を多様した割には中途半端な
ただ、残酷なシーンが多いだけの平凡な映画になったように思える。

しかし、見終わった後の不快さは、筆舌しがたい。

くれぐれも、デートでは観ないように( ̄○ ̄)


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Posted by アイスH at 00:09☆☆レビュー

2011年04月24日

大失敗作『ツーリスト』レビュー

『ツーリスト』
原題:THE TOURIST
製作国:2010年アメリカ
カテゴリー:ロマンティック・ミステリー、コメディー(?)
上映時間:103分
監督: フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
脚本: ジュリアン・フェロウズ
撮影: ジョン・シール

キャスト:ジョニー・デップ、アンジェリーナ・ジョリー、ポール・ベタニー、他

レビュー(☆)


故・淀川長治さんは、「どんな映画でも良い所は1つはある」

というような事をおしゃっていたが、映画『ツーリスト』は、

ブログのタイトルで書いたように、近年稀にみる大失敗作で駄作だ。(ё_ё)

それでも、1つくらいは良いとこも、あるので先ずは、良い所を探してみよう。

・主演のアンジーが美しい(○ ̄∀ ̄)ノ
・ロケ地のベネチアの街が美しくて、映画を観たら行きたくなる。

後は、( ̄^ ̄;)ウーン (ー'`ー ; )んー (-ω-; ムム…

残念ながら、それだけ。。。。。_| ̄|○ フー ( ̄‥ ̄) = =3


では、やや辛口に映画批評を。。。。。



先ずは、この映画は、、第68回ゴールデングローブ賞の
ミュージカル・コメディ部門の作品賞、主演男優賞、主演女優賞で
ノミネートされた作品である。

ロマンティック・サスペンスにかかわらず、ミュージカル・コメディ部門に
ノミネートとは、ハリウッド外国人記者協会に所属する各国の映画記者は、
頭がおかしくなったのか?
ヘ(^∇^ヘ)ヘ(^∇^ヘ) ウヒョヒョ

やはりアカデミー賞しかり、ゴールデングローブ賞しかり、
なんとか映画賞なんて、何の価値もないことが露呈してしまったな(o`ー,´) ニヤリ


ストーリーはと言うと、謎の美女エリーズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、
インターポールに監視されている。

インターポールは、彼女の恋人で犯罪者のアレクサンダー・ピアースを
捕まえようとしているが、ある日、彼女の元に恋人のピアースから手紙が届く。

手紙には、『リヨン駅から列車に乗り、自分の背格好に似た人物を探せ。」との指示。

彼女は、インターポールの捜査官たちをまいて、ヴェネチア行きの列車に乗り込み、ある男と出会う。

それがジョニー・デップ扮するアメリカからのツーリストで、平凡で退屈そうな数学の教師のフランク。


謎の女と平凡な男は出会い、列車のレストランで、ワイン飲みながら会話をする。



映画はここまで、かなりの時間を費やす。

が、

なんのサスペンスも、なんのエモーションも、気のきいた会話も一切ない(+_+)


時間だけが動いているが、何も起こらない、ゆるいテンポで、
てっきりスパイアクション映画だと思って観に来たオイラは、
「一体この映画は、どんな映画なんだ!?」
と不思議な気分になった。

このゆるいテンポには、何かしらの伏線が隠されているのか!?( ̄□ ̄)
と、思いながら観ていたが、
ギャングの親分が出てきても、
謎の女とキスをしても、
殺し屋に追われてヴェネチアの瓦屋根伝いに逃げ回っても、
なんのサスペンスも、ロマンスも生まれず、
なんとも、ゆる〜い中途半端なコメディー風なテンポのまま、
映画は終わる。

しかし、ネタバレになるから、書けないが
あるバカバカしいオチというか、なんと言うか(;´Д`)
客を低能扱いしたような、驚愕の事実がっ!!( ̄□ ̄;!!

なにが驚愕かというと、このオチというか設定がこの映画のダメな原因だからだ。

謎の美女には、なんだか凄い謎の恋人がいて、
ダサくて地味で暗くて平凡で退屈な数学教師がある日出会っても、
決して、なんのロマンスも生まれないし、平凡な数学教師は
どう見ても、ただの脇役でしかない。

それが最後に、ドヤ( ̄∀ ̄)みたいな顔されても、

ええっΣ( ̄□ ̄; ) ガーン ヽ(Θ゚Д゚)ノマジスカァァみたいな(笑)

って、書いても、一体何ことか解んないだろうなあ( ̄ε ̄)


話を整理すると、この映画の最大の失敗は、
ラストのオチが全てみたいなプロットが失敗の原因だと思う。

なんか、とって付けたような大ドンデン返し!!なんてやったところで、

ヾ(・ε・。) オイオイオイ そんな低能扱いしないでくれたまえ( ̄‥ ̄) = =3
ってな感じ(笑)

そんな事より、男と女の出会い、人生の一瞬の交差、エモーショナルな会話、
あきらめや、切なさ、ゴージャスな食事。。。。などなど、
映画で描くべきことは、山ほどあるだろ(#゚Д゚)凸ゴルァ!!

特に、アンジーとジョニー・デップが共演しても、何も生まれなかった
脚本、演出は犯罪的。。。(-。-)

最近これほどの、大失敗作で駄作の映画もないので、
映画館で何がダメなのか、是非確認して見て下さいね(○ ̄∀ ̄)ノ


  


Posted by アイスH at 01:08☆レビュー

2011年04月04日

大津波

一体何が起きたのか?
なぜ、そんなことが起こったのか?
なぜ、大勢の命が失われたのか?

答えはない。
しかし、問わずにはいられない。
なぜ?と。。。


3月11日
あの日、大勢の人たちの命を巨大な波が一瞬に全てを飲込んでいった。
そこには、平凡で穏やかな生活があった。


ある人は、波にのまれて固く繋いだ手が離れ
一人は助かり、愛する人は帰らぬ人となった。

ある人は、『俺はここにいる。お前は逃げろ』と言った。

また、ある人は、高台で難を逃れ、自分の街が
真っ黒な波に押し流されるのを呆然と見ていた。

なぜ?
答えはない。




大震災から、3日間はただ呆然とテレビを朝から晩まで観ていた。
パニック映画のシーンみたいな映像が、本当に起きたことなのだ。

そのうち、自分の感覚が麻痺して
恐ろしいのか、悲しいのか、怒っているのか
分からなくなってしまった。

ただ、とてつもない無力感に襲われる。

何かをしなければ!!
でも、何を?
募金はした。

後は?



大勢の人たちの命が一瞬に失われた。

多くの人達は、平凡で何事もなく生涯を終えるはずだった。

普通で平凡な生活がどんなに尊いことだったか。。。。




昔観た映画『普通の人々』の主人公の少年は、
嵐に巻き込まれ転覆したヨットに掴まり
兄と励まし合いながら、助けを待っていた。

しかし、兄は力尽きて、帰らぬ人となった。
少年は、生き残った事に負い目を感じる。

なぜ、自分よりも、遥かに優秀で強い兄が死んだのかと。。。

嵐の中で、つないでいた兄の手が離れた。
なぜだ?

ある日、心を閉ざした少年は、精神科医の男に
行き場のない感情をぶつける。

「なぜ、手を離した?」
「疲れたからだ」

「なぜ、自分よりも強い兄が死んで自分が助かった?」
「おまえの方が強かったからだ」



大勢の命が失われたことには理由はない。
でも、それはただの言葉だ。

なにが起きても、生き続けることには理由がある。
これも、ただの言葉でしかない。


行動だけが全てだ。




被災地の気仙沼で、船を流された漁師のインタビュー。

「また、漁業を続けるか?」の問いに

『俺は、やる。俺は60過ぎだけど、また、俺はやるよ』



どんなに打ちのめされても、必ず立ち上がれる。
そう信じる。

  

Posted by アイスH at 06:18日記

2011年02月26日

『ウォール・ストリート』レビュー

『ウォール・ストリート』
原題:Wall Street: Money Never Sleeps
製作国:2010年アメリカ
上映時間:133分
映倫区分:G
監督:オリバー・ストーン
脚本:アレン・ローブ

キャスト:
マイケル・ダグラス、シャイア・ラブーフ、ジョシュ・ブローリン、キャリー・マリガン、
イーライ・ウォラック、スーザン・サランドン、フランク・ランジェラ、チャーリー・シーン

レビュー(☆☆)

『お金で買えないものはない』 By ホリエもん(≡ ̄♀ ̄≡)

確かに(-。-)

お金があれば、大抵のものは手に入れることができる。

欲しいものは何でも買えるし、
自分が望む時間に、好きな場所で、
イヤな人間に会う事もなく
自分の好きなものに囲まれて、
やりたい事だけをすることができる。

あぁ、金だ、金が欲しい(;´Д`)
と、言って早朝からジャンポ宝くじ売り場の前に並んではいけない。

そんな暇があるなら、仕事しろって!!( ̄□ ̄;!!

しかし、残念ながら一生懸命に働いたからといって
お金が増えない世の中になった。


『ウォール・ストリート』はオリバー・ストーン監督&
マイケル・ダグラス主演による名作「ウォール街」の23年ぶりの続編。

物語は、23年前の前作「ウォール街」で、
「金を持っている奴が強いんだよ」と
庶民の顔を札束で往復ビンタするような(そんなシーンはない)、
ダークなカリスマぶりが魅力だったマイケル・ダグラス演じる
投資家ゲッコー・ゴードンが、8年の刑期を終えて出所するシーンから始まる。



今から23年前の1980年代後半は、日本でも東京都の山手線内側の
土地の価格でアメリカ全土が買えるというほど、日本の土地価格は高騰した
バブル経済の頃。


例えば、オイラが246を車で走っていると

ワンレン、ボディコンで眉毛が太い(笑)おねーちゃんが、
夜の六本木では人が溢れタクシーがつかまらないため、
246の3車線の真ん中まで出てきて、タクシーと間違えて
オイラの車に突進してくるので、オイラは何度も、
人をはねそうになったりして、大変だった(ーー;)


一番、覚えているのが、ある晴れた日曜日に
車で都内を走っていたら、小型飛行機が飛んでいて、
その飛行機が急にスモークを出して、宙返りをして
何かの記号みたいな”絵”を大空に描いていた。

で、その記号っていうのが、フジテレビの
目玉に毛が3本みたいなマークだった( ̄□ ̄;!!

金がうなる程あった頃のおとぎ話のようなホントの話(笑)



話を映画に戻すと、強欲の権化だったゲッコーが、
サブプライムで詐欺的な金融商品バラまいた、
強欲の象徴である『ウォール・ストリート』で
どんなふうに、大暴れしてくれるのか期待したが、
意外にも、話は一人娘との関係の修復を切望する
いい人になっているではないか( ̄□ ̄)

涙ぐんだりして、刑務所に入って丸くなったか(ё_ё)

しかし、やはり一度、マネーゲームに身を投じたものは
ゲームから降りる事はできない。
後半は「さすがゲッコー!そうでなくちゃ!!」
という展開になるが『ウォール・ストリート』には、
前作「ウォール街」のようなパワーが足りないように思える。

それは、現実が映画を超えてしまったからかもしれない。


現実のウォール街の強欲どもは、人の命を金に換えている。
(詳しくはコチラ


リーマンショック以来、失業者は増え、
給料は下がる一方。
景気もどんどんが悪くなっている。

って言ってるのは、庶民だけで、
金持ちはドンドン金が増えている。

なぜか?
お金持ちは、お金が減らない(増え続ける)
庶民が絶対に知る事ができない”ある法則”を知っているからだ。

↓その”ある法則”については、メルマガで(笑)







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『金さえあれば、何でも買える。
  金さえあれば、何でもできる。
   だけど、買えない”真心”だけは〜♪』
[ビートルズの”can't buy me love”の日本語歌詞パージョンの引用]


これもまた真実( ̄ε ̄)
”真心”の代わりに人それぞれ、違う言葉になるが、、、、。


金では買えないものが、世の中にたくさんあった頃がなつかしいね。

もちろん、オイラは”それ”をいくつか持っているが、
金で買えるものは、あまり持っていない。Σ┌(_∀_;)┐ ギャフンッ!


  

Posted by アイスH at 10:02☆☆レビュー

2011年02月25日

『グリーホーネット』レビュー

『グリーホーネット』
原題:The Green Hornet
製作国: 2010年アメリカ
上映時間: 125分
カテゴリー:SFアドベンチャー
監督:ミシェル・ゴンドリー
製作:ニール・モリッツ
脚本:セス・ローゲン
映倫区分: G
上映方式:3D
キャスト:ジセス・ローゲン、ジェイ・チョウ、キャメロン・ディアス、クリストフ・ワルツ

レビュー(☆)

”予告編が全ての映画”っていうのがある。

観る前から判っていたが、『グリーンホーネット』は

期待を裏切らない”予告編が全ての映画”だった(笑)


でも、なぜそれが判ってワザワザ映画館まで観に行ったかというと、
『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』の、
ミシェル・ゴンドリー監督がメジャースタジオ制作で
ヒーローもののアクションムービーを撮るっていうのに惹かたからだ。

『恋愛睡眠のすすめ』は、マイナーだけどキュートで
せつない隠れた名作だと思う。


肝心の『グリーンホーネット』はというと、
予想通り見事に中身ない映画だった。

大体3Dで撮る必然性のない映画だし、見せ場は予告編の
格闘シーンだけだったような気がする。

『グリーンホーネット』は、昔のアメリカのテレビドラマリメイク。

TV版はブルース・リーが助手のカトー役をやっていたのを、
子供頃に再放送で見たことがあるが、そんな凄いヒーローではない。

スパイダーマンのような特殊能力を持っているわけでもなく、
バットマンのような最新テクノロジーを駆使したスーパーウエーポンを
持っているわけでもない。

ある程度の武器やカスタムカーは持っているが、
全て助手のカトー手作りというショボさ(^_^;)

ただの金持ちのドラ息子が、親父に遺産を使って悪党を退治する話だ。
まあ、どこの世界でも親父が凄過ぎると二代目は、大抵バカ息子だが( ̄▽ ̄)


それにバットマンのような暗い過去や悪党を倒すための
モチベーションがあるわけではない。
ヒーローになるような必然性が全くないのだ。

しかも、悪党っていうには、田舎のヤクザ程度のショボい奴( T_T)\(^-^ )


DVDを借りて観るには充分楽しめるが、
忙しいのにわざわざ映画館に見に行く映画じゃないね。

もう、劇場公開は打ち切られたけど( ̄ε ̄)

デートムービーの決定版だ(⌒▽⌒)

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Posted by アイスH at 17:23映画レビュー

2011年01月31日

『ソーシャルネットワーク』レビュー

『ソーシャルネットワーク』
原題:The Social Network
製作国:2010年アメリカ
上映時間:120分
映倫区分:PG12
監督:デビッド・フィンチャー
脚本:アーロン・ソーキン
原作:ベン・メズリック
撮影:ジェフ・クローネンウェス
音楽:トレント・レズナー、アティカス・ロス
キャスト:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク、
ジョセフ・マッゼロ、ルーニー・マーラ、アーミー・ハマー、マックス・ミンゲラ

レビュー(☆☆)

アメリカのある調査で”親友と呼べる人は何人いるか?”という問いに、
平均0.79人という結果が出た。

平均しても、1人未満しかいない(T ^ T)

親友の定義はさておき、メール、携帯電話、ツイッター、SNSと
あらゆるコミュニケーションツールが揃っている現代で、
本当の友達が誰もいないなんて(ーー;)
ピュ〜(風)…{{{{(;>_<)}}}}…サムイ…

映画『ソーシャルネットワーク』は、世界最大のSNS「Facebook」の創設者
マーク・ザッカーバーグの半生を、『セブン』『ファイトクラブ』の
デビッド・フィンチャーが映画化。

「Facebook」は、世界で5億人に広がり、マーク・ザッカーバーグは
26歳にして総資産3200億円を手にしたと言われている。

この映画を観てすぐ、英会話のグループレッスンで
『「Facebook」の映画を観た』
と、言ったら、40代のオジさん、オバさんは、何の事か判っていないようなので、
『日本のmixiようなもので、世界中で5億人が利用しているSNS』
と説明したら、益々、目が点( ゚д゚)ポカーンの状態だった。

オイラも映画を観たときは、「Facebook」の何がスゴいかのか
サッパリ判らず、家に帰って「Facebook」に登録して使ってみた。

実名登録して写真やプロフィール(学歴や会社名、生年月日)などを
入れて既に登録している知り合いや友達に申請して承認されると、
友達の友達がどんな人か、友達がどんな活動をしているのか見る事ができる。

これの何が楽しいのか、なにが良いのかちっとも判らず、
ネガティブな懸念が湧いて来る。

これって、例えば、オレオレ詐欺グループみたいな悪い奴らの
イエローページみたいな使われた方はしないの?

プライバシー設定も細かく出来るかも知れないけど、
最近、どっかのホテルのアルバイトの女子大生が、
サッカー選手と女性タレントの密会をツイッターで呟いて問題になったら、
あっと言う間に2ちゃんねるで、その女子大生の経歴や写真がアップされて
血祭りに上げられていたみたいにならない?
なんか怖い(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル…


映画の話に戻ると、「Facebook」自体がパラダイムシフトを引き起こすような発明とも思えず、
マーク・ザッカーバーグは、カリスマというより、ただのオタクで他人と共感できない
アスペル君なだけでは?(ё_ё)と、
何の感情移入もできず、なにが面白いのかサッパリ判らなかった。


超ハイスピードのセリフまわしや編集のテンポとかは、
とても計算されて120分の尺の割には飽きずに見れる。

しかし、マーク・ザッカーバーグは、自らのリスクを顧みず冒険をしたりすることもなく、
彼女に振られる以外は大した挫折もなし、友の裏切りと言っても、大金が絡んでいるから、
弁護士を雇って話が複雑化しているだけで、早い話がその辺に転がっているようなお話だ。

つまり、なんのカタルシスもない。
と感じるのはオイラだけか?

「ナップスター」創設者のショーン・パーカーの方が、人間くさくて
オタクのマーク・ザッカーバーグより、はるかにカリスマ性があり映画的だ。

マーク・ザッカーバーグは、成功と引き換えに、たった一人の親友を失った。
しかし、それにどれほどの意味があるのか読み取れない。
時流に乗って成功した、頭のいいガキどもが、ずる賢い大人たちの
手のひらでの上で、踊らされているようにしか見えないのだ。

大体、この映画の一番の山場はどこなんだ?
ハーバード大の学長のシーンは、面白かったが。。( ̄ε ̄)

5億人のユーザーがいても、3200億円の金が転がり込んでも、
それはPCのディスプレイに表示された、ただの数字の羅列のようで
なんの現実味もない。

つまり、目が覚めたらぜんぶ夢でしたくらいの説得力しかないように
感じるのだが、アカデミーやゴールデングローブの審査員が
この映画のどこに魅力を感じているのか理解できない。

それにスタンリー・キューブリックの後継者と言われていた
デビッド・フィンチャーがなぜ、こんなひねりのない映画を
撮ったのか、スゲー不思議(@_@)

平均0.79人の親友しかいないのに、5億人と繋がって友達ごっこするより、
『ファイトクラブ』でぶん殴り合っている方が、”生きている”って
気がするぜヽ(`Д´)ノ 全然、関係ないけど(^_^ゞ

オイラの「Facebook」の友達の登録人数、現在、2人(ーー;)
ピュ〜(風)…{{{{(;>_<)}}}}…サムイ…





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Posted by アイスH at 10:03Comments(1)☆☆レビュー

2011年01月25日

『トロン レガシー』レビュー

『トロン レガシー』
原題:Tron: Legacy
監督: ジョセフ・コジンスキー
製作国: 2010年アメリカ
映画配給:ディズニー
上映時間: 125分
カテゴリー:SFアドベンチャー
脚本: エディ・キツイツ、アダム・ホロビッツ
撮影:クラウディオ・ミランダ
音楽:ダフト・パンク
映倫区分: G
上映方式:3Dのみ
キャスト:ジェフ・ブリッジス、ギャレット・ヘドランド、オリビア・ワイルド、マイケル・シーン

レビュー(☆☆)

前回の映画レビューが11月14日ってことは、
2ヶ月以上も映画館で映画を観ていないことになる。

忙しかったこともあるが、この2ヶ月間それほど観たいと
思う映画がなかったからだ。

ちょっと後悔したのが、「悪人」を見逃したことくらいかな( ̄ε ̄)

と、油断していたら、先週あたりから観たい映画が
次々にと押し寄せて来るではないか( ̄□ ̄;!!

で、まずは気になる映画『トロン レガシー』から片付けていこう。

この映画は1982年にディズニーが世界初のデジタル・コンピュータ・グラフィックスを
導入して制作したSFアドベンチャー「トロン」の続編。

前作の「トロン」は、テレビで断片的に観たことがあるだけで、
古い昔のテレビゲームみたいな映画くらいの印象しかないし、
特に観たいと思わなかったんだけど、ディズニーが過去の遺産を引っ張り出して、
最新のテクノロジーで続編を作るからには、何かがあると気になって観に行った。
しかも、3Dのみの上映っていうのもちょっと気になったし( ̄ε ̄)

ビジュアル的には、かっこいいのかもしれないが、イマイチ乗れない。
実際、前半のバイクのゲームのところとか、最近のCGと一味違うが
何か古臭く感じる( ̄^ ̄;)ウーン

何故か?
物語がゲームの世界の話なんで仕方がないのかもしれないが、
最新のCGで作られた映像も、なんだか昔のゲーセンのゲームを無理やり
3Dに起こし直したようで、なんかちっともワクワクしない。
話も陳腐だし。。。

スゲー忙しいのに、2時間も他人がやっているゲームを無理やり
見させられたような気分だった。
観終わった直後は。

しかし、昨日、マクドナルドである光景を目にして、『トロン レガシー』の世界が
今の現実のメタファーに思えて、ちょっと怖くなった。

それは昨日の夕方の4時頃に、パソコンで一仕事しようとマクドナルドに入ると
小学校の4年生くらいの男の子4人が、マックの店内のフロアに座り込んで
DSだがPSPだかをやっていた。

そのマクドナルドはWiFiで通信できる店だったので、彼らはネットワークゲームを
やっていたと思う。

オイラは、心の中で『クソガキどもが、外で遊べ!』と思いながらコーヒーを買って
ボックス席でPCを広げて、2時間近く仕事をして、バッテリーがなくなったので、
帰ろうとしたら、さっきのガキどもの仲間が10人くらい増えて、
彼らは、無言でネットワークでつながったバーチャルの世界に入り込んでいた。

オイラは
『(ノ゜0゜)ノ .オオォォォォォォォーこれはまるでトロンの世界ではないか』と思った。

奴ら(ガキども)は、すでにゲーム業界に完全に洗脳されて、バーチャルな世界に
取り込まれて、勉強もなんの努力もしないでゲームに興じ、
せっせとゲーム業界に金を払い続け、
一生無駄な時間を費やして虚構の世界の中で生きていくのだ。
トロンのプレーヤーのように(@_@)
勝手な妄想だが。。。

昭和なオイラは、声を大にして言いたい。

『ガキどもよ!!子供は風の子!元気な子!』(笑)
『ゲームを捨てよ!外に出よう!』w
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『トロン:レガシー/TRON LEGACY(Bike)《GBC054》』ポスター☆ディズニーシネマ通販☆
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トロン:レガシー オリジナル・サウンドトラック
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Posted by アイスH at 11:55Comments(0)映画レビュー

2010年11月22日

さがみはらフェスタ『虎舞竜ライブ』

全国19番目の政令指定都市となった相模原市の記念イベント
「潤水都市さがみはらフェスタ」に行った。

イベントは11月20日(土)・21日(日)で最終日の『虎舞竜ライブ』観た。

高橋ショージ率いる『虎舞竜』と言えば、あの名曲『ロード』を思い出すが

ハッキリいって『ロード』〜『ロード第三章』くらいしか聞いた事がなかった。

高橋ショージも最近では、完全にタレント化して、ちょっと面白い

”元ロッカー”ぐらいの認識しかなかった。

が、

下は2歳児から上は90歳ほどのあまりにも幅広い客(と言っても無料のイベントの客)を相手に熱いロック魂を見せつけた。

高橋ショージ自身も『こんな幅広い客層の前でライブやるのは初めて』と笑わせていたが、

ライブの最後には、『虎舞竜』知らない世代も楽しませる手法は、お見事!!

オーブニングにビートルズのカバー2曲演奏したんだけど、

年配の客と小学生は、目が点(・・)状態だったのに、

最後は大盛り上がりだった。

当たり前だけど、高橋ショージ率いる『虎舞竜』はプロフェッショナルなエンターティナーだった。

久々に聞いた『ロード』も、日本のロックの名曲だと改めて感じた。




ライブの後は、花火大会。冬の花火もいいね(^з^)-☆!!


ザ・ロード
ザ・ロード
  

Posted by アイスH at 09:52Comments(0)日記

2010年11月14日

『メッセージ そして、愛が残る』レビュー

『メッセージ そして、愛が残る』
原題: Afterwards
監督: ジル・ブルドス
製作国: 2008年ドイツ・フランス・カナダ合作映画
上映時間: 107分
カテゴリー:ドラマ
脚本: ジル・ブルドス、ミシェル・スピノザ
原作: ギヨーム・ミュッソ
撮影: リー・ピンビン
映倫区分: PG12
キャスト:
ロマン・デュリス、ジョン・マルコビッチ、エバンジェリン・リリー、リース・トンプソン

レビュー(☆☆☆☆)

人は必ず死ぬ。

それは、誰もが知っている。

老人や病人でもない限り、皆そんなことは忘れて毎日を生きている。

まるで、永遠に生きていけるかのように、いつか死ぬなんて思いもよらない。

しかし、もう一度言う。あなたは、必ず死ぬ。

それは、明日かもしれないし、数十年後かもしれないが。。。。



一枚の古いモノクロの写真がある。

その写真には、生まれたばかりの赤ん坊を抱く母親が写っている。

二人とも、もうこの世にはいない。

一人は、オイラの母親で、赤ん坊は生まれて、数時間で死んだオイラの兄だ。

オヤジは、生まれてすぐに死んだ長男の亡骸を小さな棺桶に入れて

火葬場に運んで火葬し、冷たい冬の雨の中、叔父と二人で埋葬した。

その叔父もオヤジも、もうこの世にはいない。




『メッセージ そして、愛が残る』を観て、息子が生まれた頃をふと思い出した。

人の親になって初めて、オヤジとオフクロの痛みを実感したのだ。

しかし、それは想像でしかない。

昔、オヤジが酒に酔って話した、冬の雨の中の

たった二人だけの葬式の事を思うと、なんとも切ない気持ちになった。




映画『メッセージ そして、愛が残る』(原題: Afterwards)は、

死にまつわる物語だ。

NYの法律事務所に勤める敏腕弁護士のネイサンは、生後数ヶ月の息子を亡くし、

そのショックから立ち直れず、自分を責め、妻と離婚した。

ある日、人の死を予見する力を持つ名優ジョン・マルコヴィッチ演じる医師のケイが

ネイサンに"あるメッセージ"を伝えにくる。

この映画は、死をテーマに、「生きること」を問うっている。

それが大仕掛けではなく、静謐(せいひつ)で謎があり、一貫したテーマある。そこが素晴らしい。



死には意味がない。例え、それがどんな死に方であってもだ。

ただ、生が終わるだけだ。

死ぬまでの、生が重要なのだ。

どんなふうに生き、どんなふうに生を終えたのか?

例え、それが生まれてから、たった数時間しか生きられなかった場合でもだ。

生きている者に、何か大切なメッセージを残したのかもしれない。

もちろん、それがどんなものなのかは、オイラには解らない。

でも、この映画には、その答えが隠されている。



もう、この世にはいない彼らは、生きている者に大切なメッセージを残している。

あなたの大切な人はどんな人でした?

勇敢な人でした?楽しい人でした?

いつも心配ばかりしていました?

ズルい事や、嘘もつきました?

冗談を言って、みんなを笑わせた?

そして、あなた自身は生きているうちに、どんなメッセージを残すのか?

もし、あと少ししか生きれないとしたら、どんなふうに生きるのか?

時には、そんな事を真剣に考えてみるような映画がある。

『メッセージ そして、愛が残る』は、そういう種類の映画だ。

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Posted by アイスH at 13:00Comments(0)☆☆☆☆レビュー

2010年11月14日

『ナイト&デイ』レビュー

『ナイト&デイ』
原題: Knight and Day
製作国: 2010年アメリカ映画
カテゴリー:アクション・コメディ
上映時間: 109分
監督: ジェームズ・マンゴールド
キャスト:
トム・クルーズ、キャメロン・ディアス、ピーター・サースガード、ジョルディ・モリャ、ビオラ・デイビス、
ポール・ダノ、フォルク・ヘンシャル、マーク・ブルカス、レニー・ロフティン、マギー・グレイス

レビュー(☆☆)

この映画は良くも悪くも、トム・クルーズの映画だ。

別の言い方をするならトム・クルーズ以外のキャスティングでは、

成り立たない映画だろう。

「ソルト」主演のオファーを蹴って、この作品をトム・クルーズ選んだ理由が納得した。

「ソルト」は、アンジェリーナ・ジョリーがやって正解だった。



『ナイト&デイ』で、トム・クルーズ演じる凄腕のスパイの行動は、

荒唐無稽な展開ながら、トムの余裕の笑顔でどんな危機も乗り越え、

マンガチックで、一言で言うなら「ルパン3世」実写版って感じの映画だ。

キャメロン・ディアスもちょっと年を食ったが、この作品のヒロインにはピッタリの

役柄で最高にかわいい。

何も考えず楽しめる、デートムービーとしては、最高の映画だが、

残念ながらオイラは、少し気分が沈んだ日に1人でレイトショーで観た。

でも、映画を見終わったら、凹んだ気分が少し上昇icon14face02

よーござんす(・∀・)b


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Posted by アイスH at 11:40映画レビュー

2010年10月11日

『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』レビュー

『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』
製作国: 2010年日本映画
カテゴリー:ドラマ
上映時間: 135分
監督・脚本: 石井隆
撮影: 柳田裕男、寺田緑郎
映倫区分: R15+
キャスト:
竹中直人、佐藤寛子、東風万智子、井上晴美、大竹しのぶ、宍戸錠
レビュー(☆☆)

『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』は、ここ数年でもっと期待外れな映画だった。

その理由は、鬼才・石井隆監督が1993年に発表した「ヌードの夜」の17年ぶり続編だったからだ。

17年前の「ヌードの夜」を見ていなかったら、今回の『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』にも

なんの期待もしていなかっただろう。

それほど、17年前の「ヌードの夜」は、重要な作品だった。

雨、夜の街、ネオンサイン、行き場をなくした男と女の孤独な魂。

当時、男と女の情念みたいなものを撮れる監督は、石井隆以外いなかった。(少なくとも日本映画界には。。)

オイラが新「ヌードの夜」に期待したのは、そんな石井隆ワールドだった。

しかし、17年の間に、韓国映画界で『スカーレットレター』や『オールドボーイ』のような

凄まじい情念の映画を撮る監督が現れたというのに、日本映画界には石井隆のような、

異彩放つような映画監督は現れず、そして現実の世界が映画の虚構を追い越してしまった。


つまり現実の世界で妻が夫をワインの瓶で殴り殺して、バラバラにして捨てるような事件が

まるでありふれた事件のようになり、かつて石井隆が描いた男と女情念の世界は

もう映画の中だけの話ではなくなってしまったということだ。


そんな現代に、あの奇才が17年前と同じタイトルで、なんでも代行屋の

紅次郎(竹中直人)を主人公に続編を撮ると聞けば否が応でも、

期待が大きくなるってもんだ( ̄‥ ̄) = =3


それにプロット自体も、保険金を目当てに殺人を繰り返す欲に塗れた親子やDV、

レイプ、殺人等人間の醜い欲や業を盛り込んだつもりかもしれないが、

現実世界で似たような事件が起きている現代では、映画のオドロオドロしさも

あまりに陳腐な絵空事のようで、ただ、単に仰々しいだけで、なんの現実味もない。

それに、竹中直人演じる紅次郎も、状況説明のセリフを独り言で愚痴っているような

ただの情けない男にしか見えず、前作でオカマに袋だたきにあっても、なお、

"ハードボイルド"な佇まいは微塵もなく、あまりにも中途半端でベタな脚本に、心底ガッカリした。

では、れん役の佐藤寛子はどうかと言うと、底の浅い雑誌の映画紹介などで熱演だったと

書いているのを目にするが、確かに元グラビアアイドルが、あそこまで大胆な濡れ場を演じた

心意気は認めるが、悲劇の主人公れんの感情を表現するのに、

裸になってセリフを大声で喚けばいいってもんじゃない。

本当に深い演技は、ヘアヌードの必要もなく、つぶやくようなセリフにこそ、

表現されてしかるべきではないか。

大体、佐藤寛子のヘヤヌードは、なんの必然性も感じられず、彼女のファン目当ての

客寄せの為のシーンではないのかという、穿った見方さえしたくなってしまった。

(もしそうなら、佐藤寛子ファンには最高のプレゼントだ!ヾ(・ε・。) オイオイ…)

前作と比べてどうこう言うのは、フェアじゃないが、雨の夜の街、ネオンサイン、

謎の美少女など、石井ワールドの『ヌードの夜』のアイコンが満載なのに

『ヌードの夜』ではない、この続編のほうが客を裏切っているのではないか?

いっその事、別のタイトルで、全く別の設定なら納得出来る。

なぜなら、何にも期待しないから。

『ヌードの夜』の続編としてなら、大竹しのぶも、井上晴美も、
女刑事も、保険金殺人も全ていらない。

謎の美少女に振り回されて、土砂降りの雨の中、夜の街を彷徨う
情けない、何でもない男の話だけでいいじゃないか。

そんなハードボイルドを見たかった。

と、長々と書いたが、これは前作『ヌードの夜』の熱狂的なファンの戯言だ。

映画なんて、個人の嗜好であり、ただの娯楽でしかない。

石井隆ワールド未体験の人は、おすすめ!

特に佐藤寛子ファンは必見!!(笑)

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Posted by アイスH at 15:12☆☆レビュー

2010年08月29日

DVDレビュー『戦場でワルツを』

『戦場でワルツを』
原題: WALTZ WITH BASHIR
製作国: 2008年イスラエル/フランス/ドイツ/アメリカ
カテゴリー:アニメーション、
上映時間: 90分
監督、脚本、製作:アリ・フォルマン

アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたが、「おくりびと」にオスカーを持って行かれた『戦場でワルツを』DVDで観た。

「おくりびと」は映画館で観たが、『戦場でワルツを』は単館上映だったため、時間がなくて見逃していた。

DVDで観たら、「おくりびと」なんか観ている場合じゃなかったあっ!!( ̄□ ̄;!!って言うくらいヤバい!

「おくりびと」にオスカーを渡すとは、米アカデミー賞会員の目は節穴だぜ( ´⊿`)y-~~



1982年、レバノン侵攻したイスラエル軍による、パレスチナ人の難民キャンプ、サブラとシャティーラで大虐殺が起きる。

犠牲者が3000人を超えるともいわれる「サブラ・シャティーラの虐殺」だ。

『戦場でワルツを』は、イスラエル人のアリ・フォルマン監督が、実体験に基づき、イスラエル軍によるレバノン侵攻を描いたアニメーションである。

物語は、1982年、当時19歳のアリ・フォルマンはイスラエル軍の兵士だった。

それから、24年後のバーの片隅で、アリは彼の戦友から、いまだに戦争の悪夢に悩まされると打ち明けられ、『レバノンの事を思うことはあるか?』と聞かれる。

アリは、当時、大虐殺が行われた場所のすぐ近くで任務に就いていたからだ。

しかし、アリは今まで、当時の戦争のことを一度も考えたことすらなく、そればかりか戦争の記憶が欠落していることに気がつく。

なぜ、自分には、戦争の記憶が無いのか?

アリはその夜、奇妙な夢を見る。

夜の海岸線に立ち並ぶビル群が照明弾に、映し出されるのを全裸で海に浸かりながら見ている自分と戦友。

サブラ・シャティーラで何が起きたのか?

消し去った記憶とは?

真実を求める旅が始まる。

この映画は、アニメーションでありながら、ドキュメンタリー映画でもある。

ドキュメンタリーというのは、アリが記憶を辿る過程で戦友やジャーナリストの証言や、自分自身の記憶のフラッシュバックで、戦場における不条理や、戦争の酷さが明確になり、そして、それは彼らが実際に体験し目撃したことだからだ。

果たしてアニメーションで、彼らが体験した戦場のリアルさを表現できるかというと、映像的には独特なタッチで、時にはシュールで幻想的であり、時にはリアルな臨場感がある映像は、見るシーンにより全く違った機能をし、しかもそれらは非常に芸術性が高い。

確かに戦場における生々しさや、恐怖感みたいなものは、足りないような気がするが、『プライベート・ライアン』みたいにバラバラに引きちぎられる兵士のCGみたなものがあれば表現できるのもでもない。

むしろアリや彼の戦友達が体験したリアルな現実の方が、どこか間が抜けてシュールでさえもあるし、そんなストーリーに独特な映像がマッチしている。

例えば、自分の記憶を辿るうちに、彼はこんな情景を想い出す。

戦時中、戦車部隊の指揮官であったアリは、上官からある所から戦死した兵士の遺体を回収する任務を命じられる。

『その遺体を、何処に運ぶのか?』と上官に質問すると、『そんなことを俺に聞くな。』と鼻で笑われる。

アリ乗った戦車は、夜の闇の中を、機関銃を連射しながら、"どこかに解らない明るい所"に向けて疾走している。

しかし、誰に向けて機関銃を撃っているのかは、解らない。

機関銃を撃っているアリの足下には回収した遺体が無造作に横たわっている。

戦車は、やがて"どこかに解らない明るい所"(前線基地)に到着し、遺体を下ろす。

死体袋に入れられた、兵士たちの遺体幾つも並べられている。

なにか夢でみた光景のようにシュールで奇妙なシーンだ。しかし、リアルである。

なぜなら、実際の一兵士から見た戦場の光景は、映画のように起承転結のドラマなどはなく、断片的で部分的な事実しかなない。

なぜ、そんなことが起きたのか、その場にいた者は知る由もない。ただ、事実だけがある。

それを実写で映像化するよりも、アニメーションという表現方法がより、的確にこの映画にマッチしていると思うし、今までのドキュメンタリーや、実写の戦争映画では、表現しきれなかった領域まで踏み込むようなポテンシャルをこの映画は持っている。

傑作ではあるが、この映画にはそんな軽い言葉などは何の意味も持たないほど、この映画のラストの真実は重い。

平和ボケで、人が死んで悲しい映画とか、「おくりびと」に泣けたとか、バカみたいな安っぽいこと言ってないで、真実を直視せよ!!

今も世界のどこかで、罪もない子供たちが殺されている。無関心が一番最悪だ。



  

Posted by アイスH at 13:00DVDレビュー

2010年08月14日

『トイ・ストーリー3』3D 日本語吹き替え版レビュー

『トイ・ストーリー3』
原題: Toy Story 3
製作国: 2010年アメリカ映画
カテゴリー:アニメーション、
上映時間: 103分
監督:リー・アンクリッチ
上映方式: 2D/3D
声のキャスト(吹き替え版):
唐沢寿明、所ジョージ、小野賢章、小宮和枝、きゃさりん、日下由美、辻萬長、三ツ矢雄二、大塚周夫、永井一郎、松金よね子、他

レビュー(☆☆☆☆☆)

”モノには魂が宿る”とオイラは思う。

誰か大切な人からプレゼントされたモノには、思い出とか、想いが宿っている。

子供の頃に、大切にしていたオモチャだってそうだ。

息子が3、4歳の頃、彼は毎晩、枕元に並べて大切なオモチャたちと眠っていた。



だいぶ前の話だが、新聞の投書欄にそんなエピソードの投書を読んだ。

投書したのは、小学校低学年の兄弟の母親で、長年乗っていた車が古くなったので、新車を買い替える時の話だった。

新車が来る朝、幼い兄弟たちは、古い車(たしかマーチ)にしがみついて、泣きながら別れを惜しんだという。

そのマーチは、彼らが生まれた時から、彼らと一緒に行動していた仲間の様なものだったのかもしれない。

その投稿を読んだ当時、車の開発に携わっていたいたオイラは、

『オイラが作っているのは、ただのモノでははいのだ』となんだかジーン…(〃´-`〃)ときてしまった。

その投書を読んでから数ヶ月後に、その後日談というか、たぶん別の話なのだろうが、新聞の投書欄にこんな話が載っていた。

ある中古車を買った女性が、車の掃除をしていた時に車のバックシートの隙間から手紙を見つけて、新聞に投書した。

その手紙は、幼い字で、マーチと一緒にいろんな所に行った思い出や、感謝のことばが綴られていて、

「別れるのは辛いけど、次に乗る人に大切にしてもらってね」というようなことが書いてあった。

その新しいマーチのオーナーは、彼らの為にも大切に乗ろうと思ったと書いてあった。

たぶん前の兄弟の話とは、関係のない話かもしれないが、オイラは

『なんて、せつなくて、いい話なんだ。。(┯_┯) ウルウル…』と思った。



『トイ・ストーリー3』もそんな切ない別れの話だ。

『トイ・ストーリー3』は、2D版、3D 版の両方あるが、子供が3Dで観たいというので、日本語吹き替え版をMOVIX橋本で観た。

正直オイラは、3Dが苦手だ。(;´Д`)メガネの上から、3Dメガネを掛けると、その重みで眉間のあたりがムズムズしてくる。

しかし、MOVIX橋本の3Dメガネは進化していた┗@-@┛

3Dメガネには、ヒモとストッパーが付いていて、頭の大きさに合わせて、ストッパーでヒモを留める仕組みになっていて、

オイラのメガネの上から掛けても疲れないし、眉間のあたりがムズムズもなくグー(・∀・)b




1作目の『トイ・ストーリー』は、フルCGアニメの先駆けとなった作品で、名作である。

『トイ・ストーリー3』は、それから10年後の話で、オモチャたちの持ち主であるアンディは17歳になっていて、

おもちゃと遊ぶことは、もう、しなくなっていて、もうすぐ大学に進学しようとしている。

アンディは大学に入学で引っ越すため、お気に入りだったカウボーイ人形のウッディだけを持っていき、

バズをはじめとする他のおもちゃたちを屋根裏にしまうことを決めるが、手違いから、他のオモチャたちは、

ゴミ収集車に乗せられそうになったあげく、託児所「サニーサイド」に寄付されてしまう。

しかし、その託児所は、オモチャたちにとっては、地獄のような場所だった。

ウッディは、仲間たちを救うべく、行動するが。。。。。


2作目から11年たったこの続編は、脚本も緻密に練られていて、映画のテーマにブレがなく、ムダなシーンなど

1カットもないほどの完成度だ。

ビジュアル的にも、あえて最新技術を抑え、旧シリーズと同じ質感に仕上げたというが、3Dで観るとあまりにも

計算つくされたオモチャたちの視点(世界)に入り込んでしまった。

あと、ニューキャラのケンが笑える。特にクラブではなく、ディスコと言われていた時代の人は爆笑ものだ。

もし、『トイ・ストーリー』『トイ・ストーリー2』を観ていないなら、DVDでチェックをおすすめする。

前作を観た方が、三つ目の宇宙人たちの『神さま〜』の意味が判って、なお爆笑ものだから。(´∇`)

子供向けアニメなどと侮ってはいけないface15

ワクワク、ドキドキ、ハラハラの冒険と、何があっても前向きに行動する勇気と、最期の切ない別れに、

子供よりも大人の方が心を揺すぶられるだろう。

まぎれもなく傑作である。












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Posted by アイスH at 12:00☆☆☆☆☆レビュー

2010年08月13日

アンジェリーナ・ジョリー主演の『ソルト』レビュー

『ソルト』
原題: Salt
製作国: 2010年アメリカ映画
カテゴリー:スパイ・アクション、サスペンス
上映時間: 105分
監督・フィリップ・ノイス
キャスト:
アンジェリーナ・ジョリー、リーブ・シュレイバー、キウェテル・イジョフォー、ダニエル・オルブリフスキー、
アンドレ・ブラウアー、アウグスト・ディール

レビュー(☆☆☆)

スパイ・アクション傑作と言えば、マッド・デイモンのボーン シリーズが記憶に新しいが、アンジェリーナ・ジョリー主演の

スパイ・アクション『ソルト』の劇場予告を観て、ボーンシリーズのようなリアリティーのあるアクション映画を期待していた。

映画の冒頭でスパイの疑いをかけられたCIAエージェントのソルトが、清掃用の薬品やテーブルの脚などでその場で即席爆弾を作り、
警戒が厳重なビルから脱出して逃亡する展開は、ボーンシリーズのようで面白し、アクションも中々(・∀・)イイ!!

しかし、脚本が弱い(ーー;)

ネタバレになるので、あまり詳しくは書けないが、ストーリーの中盤までは、ソルトの行動原理を、彼女の全てを受け入れた夫との
エピーソードをフラッシュバックで見せているが、物語が進むにつれ、彼女の行動原理が何なのか、不可解な気分になってしまう。

説明はしているが、解せない。映画の核となる部分が弱いのだ(+_+)

アクションやストーリー展開も、前半までは良かったが、後半はちょっと強引過ぎる展開ヾ(-_-*) オイオイ。

しかし、そんな諸々を差し引いても、アンジーの美し過ぎるスパイアクションは一見の価値がある(・∀・)b



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Posted by アイスH at 19:14映画レビュー

2010年08月07日

『インセプション』刺激的でスタイリッシュな映像をレビュー

『インセプション』
原題: Inception
製作国: 2010年アメリカ映画
カテゴリー:SF、アクション
上映時間: 148分
監督・脚本: クリストファー・ノーラン
キャスト:
レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レビット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、
トム・ハーディ、ディリープ・ラオ、キリアン・マーフィ、トム・ベレンジャー、マイケル・ケイン、

レビュー(★★★★★)

オイラがまだ、学生の頃の話。

オイラは、悩んでいた。具体的にはどんな悩みかはスッカリ忘れてしまった(たぶん好きな女の子の事とか

授業をサボってばかりいて単位が足りないとか、その程度のこと。(;´д`)トホホ…)

が、その当時のオイラは、そのちんけな悩みに打ちのめされて参っていた。

そんなある日、とてつもなく最悪な事が起こる。

自分ではどうすることもできないような、巨大な力で流されているようなそんな感じ_| ̄|○

若かりし頃のオイラは思った。

『これが夢ならいいのに。。。。』と同時に、『この苦しい現実は夢ではないか』と疑念が生まれた。

そして、オイラは気がついた!オイラがもがき苦しんでいた世界は、オイラの夢だった。

なんだ、ただの夢じゃん!!( ̄□ ̄;!! と、オイラは、夢の中で、自由自在にやりたい放題する

が、

夢なので目が覚める。

と、

いつもと変わらない現実。退屈な日常と、相変わらず問題を抱えて悩んでいる自分。

『これが夢ならいいのに。。。』と自分をつねってみたら痛かった(;´Д`)

鬱々とした生活が続く。

ある日、とてつもなく最悪な事が起こる。自分ではどうすることもできないような、巨大な力で流されているよう。。。。。。

で、目が覚めた( ゚д゚ )!『全部夢だったのか。。。でも、本当に目覚めたのか?????』

と自分をつねってみたら痛かった。しかし、まだ、自分が夢の中にいる気がした。。。。。。

というような事を、『インセプション』を観て想い出した。(実話)



『ダークナイト』の気鋭の映像作家、クリストファー・ノーラン監督がオリジナル脚本の『インセプション』を一言で言うなら、

「複雑なストーリー展開、スタイリッシュな映像を駆使し、クリストファー・ノーラン監督は、刺激的で独創的な世界感と

娯楽性が融合する映画の構築に成功した。」

(全然、一言で言ってないヾ( ̄o ̄;)オイオイ)何となく、こんな まどろこしい文章を書きたくなった(^_^ゞ)

つまり、傑作である。



ストーリーは、他人の夢の世界にまで入り込み、アイデアを盗むこと生業としているコブ(レオナルド・ディカプリオ)が

大実業家・サイトー(渡辺謙)から、ライバル企業の次期社長の潜在意識に入り込み、”ある考え”を植えつける難易度の高い

“インセプション”の依頼を受ける。

成功した暁には、妻殺しの容疑で、国際指名手配中のコブがアメリカに戻れることを条件に、コブは、スペシャリストの仲間を集め、

ターゲットの夢の中の世界に入り込む。

というものだが、人の潜在意識下の世界や、夢の中の夢で夢を見ている自分とか、ボ〜〜( ̄。 ̄)〜〜ッと見ていると、

観客自身もどの世界にいるのか解らなくなってしまうような、刺激的な脚本だ。

オイラが言う、”刺激的な脚本”とは、”客に媚を売っていない(不親切な)”ストーリーテリングのことだ。

ある独創的な世界感というものは、提示することは可能だが、なぜ?どうして?など理由を説明することは、できないからだ。

それを、”客に媚を売って親切に説明”してしまうと、野暮で退屈な話になってしまう(+_+)

一度見ただけでは、クリストファー・ノーラン監督が作り出した”刺激的で独創的な世界感”全体を捉えることはできない。

ただし、映画は観念的ではなく、複雑な構成と、娯楽性が融合した独自な世界感で、148分を一気に見れてしまう。

映画『マトリックス』と似ていて非なる所は、『マトリックス』がコンピューターが作り出した仮想現実だが、

コブたちは、人の潜在意識の中に、自分たちのイマジネーションで街の風景だったり、登場人物だったりを自由に作り出すことができる。

つまり、夢の世界では、彼らは創造主なのだが、決して神のように全知全能ではない。

自分自身の潜在的な希望や欲望が、夢の中に反映され、翻弄されてしまう。



人は想像の中では、あらゆる事が可能だ。

数百光年彼方の惑星に行く事も出来れば、自分の思い描く理想郷(ユートピア)を創り出す事もできる。

実際に、コブと彼の妻モルは、彼らだけのユートピアを築き、そこで年老いた。

ただし、現実の世界の時間はたった、数時間の夢の中の出来事でしかない。

コブと彼の妻モルが、彼らが創造したユートピアで数十年過ごした後、現実に戻った時のモルの絶望感、あるいは

喪失感のようなものを、ほんの一端だが、かつて学生時代に夢の中の自分が観ていた夢の中の夢から覚めた時に、オイラは体感した。

夢のまた夢のなかで、それが夢である事を気がついた時、オイラは創造主だったからだ。



もし、あなたが夢から目覚めた時、頬をつねって痛くとも、その世界が現実だとは限らない。
まだ、夢の中にいる可能性がある。。。。。
などと書いたブログを、あなたの夢の中のあなたが読んでいるのかも知れませんよface15

この映画のラストもそのような投げ掛けで終わる。そこがいい。

お奨めの一本!!(現実の世界で)





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Posted by アイスH at 22:35☆☆☆☆☆レビュー

2010年07月25日

『プレデターズ』レビュー

『プレデターズ』
製作年 2010( アメリカ) 107分分
カテゴリー:SF、アクション
監督: ニムロッド・アーントル
製作: ロバート・ロドリゲス
映倫指定: PG12
キャスト:エイドリアン・ブロディ、アリシー・ブラガ、トファー・グレイス、ルイ・オザワ、ウォルトン・ゴギンズ、オレッグ・タクタロフ、マハーシャラルハズバズ・アリ、ダニー・トレホ、ローレンス・フィッシュバーン
レビュー(★★☆☆☆)

『プレデター』シリーズの最新作、『プレデターズ』を見た。

’97にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で大ヒットした『プレデター』のリメイクかと思っていたら、

タイトルを良く見たら『プレデターズ』と複数形ではないか( ̄○ ̄)

ストーリーは、傭兵のロイスが目を覚ますと、空中を落下中!!( ̄□ ̄;!!

彼はなんとかパラシュートを開いて、見知らぬジャングルの中に降下する。

そのジャングルには彼と同じような体験をし、辿り着いた、傭兵、囚人、日本人の殺し屋、メキシコの暗殺団一味など、

バラバラな経歴の持ち主たちだった。

一体誰が何の為に??(@_@)

やがて、彼らは自分たちがプレデターの狩りの獲物として惑星に連れてこられたことが判明。

生き残りをかけたプレデターとの壮絶な闘いが始まる。

という内容だが、オイラは『プレデター』シリーズを全部みたが、’97にアーノルド・シュワルツェネッガー主演がNo.1で

この次が、今回の『プレデターズ』かな(´∇`)

ただし、予想通りに戦闘軍団が、プレデターズの餌食になるストーリーは、新しいアイデアも、驚くような仕掛けもなく予定調和的に物語は進む。

ただ、この映画も、前作の『プレデターズ vs エイリアン』同様に、何も考えず見れば、それなりに楽しめる。

もう、エイリアンの素顔を見たぐらいでは、誰も驚かないので『プレデターズ』の生態とか、もっと突っ込んだ内容があれば

より(・∀・)イイ!!って感じがした。

でも、そもそも、このての映画にそんなことを、誰も期待していないか( ´⊿`)y-~~

日本のヤクザが日本刀で、プレデターと対決するシーンは、.。゚+.σ(・∀・)゚+.゚カコイイ!!





  

Posted by アイスH at 16:05映画レビュー

2010年07月11日

『アウトレイジ』レビュー

『アウトレイジ』
製作年 2010( 日本)109分
カテゴリー:バイオレンス、アクション、ヤクザ映画
スタッフ:
監督・脚本・編集: 北野武
プロデューサー: 森昌行、吉田喜多男
撮影: 柳島克己

キャスト:ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、三浦友和、國村隼、杉本哲太、塚本高史、中野英雄、石橋蓮司、小日向文世、北村総一朗
レビュー(★★☆☆☆)

最初に誤解のないように言っておくが、オイラは北野武監督のファンである。

初期のバイオレンス3部作『その男、凶暴につき(1989年)』、『3-4X10月(1990年)』、『ソナチネ(1993年)』には、

それまでの日本映画にはない、異質の死の匂いと狂気があった。

かつて北野武はインタビューで、「初期の監督作品の頃は、いわゆる名画や巨匠の作品は全く観たことがなかった」というようなことを語っていて、オイラは、初期の作品の客に媚びない覚めた視点は、そういうことかと妙に納得したことがある。

映画監督になる人は、もちろん映画狂である。
なんとなく友人の紹介で映画監督になったという人はいない。
別の言い方をすれば、映画監督になる人は、映画オタクである。
オタクって、色々と凄い知識やこだわりを持っているけど、その如何にも、っていう博識ぶりが
ウ(; ̄д ̄A …ウザイってことが結構ある。

それが初期の北野作品には、全くなかった。

売れてる役者は出さず、客を突き放すような独特のリズムは、既成の映画理論などには塗れていない、北野武の感性から生み出されたものだと思う。

頭でっかちな映画理論とか演出法なんていうのを知らない分、北野武の剥き出しの感性で撮った映画が初期のバイオレンス3部作だった。

だから、それまで世界中の誰もやったことがない(たぶん)、銃撃シーンが生み出されたのだ。

あの、どこから弾が飛んできているのか解らない唐突さに( ̄^ ̄;)ウーン、スゲー( ̄□ ̄;!!って思った。

『鮫肌男と桃尻女』の銃撃シーンは、北野武がいなかったら全く違うシーンになっていたかもしれないとオイラは勝手に思う(笑)

その頃に、キネマ旬報かなんかで、若手の映画監督が集まって『北野武は、もっと映画の演出を勉強したほうがいい』だとか、
『あのシーンの演出は解ってないね』とか好き勝手言ってる対談が載っていて、
オイラは『映画オタクのバカどもが、つまんねー常識に捕われているから、いつもでも、お子ちゃま映画しか撮れねーんだよ』
とスゲー笑ってしまった。

その北野監督が、クエンティン・タランティーノに誉められて、もっとスゲー映画を撮ろうと思ったかどうかは知らないが、
かつての巨匠の名画や名作を観て、勉強したらしい。
そんなことをしなくともいいのに( ̄‥ ̄) = =3

それが、『HANA-BI(1998年)』で、ヴェネチア国際映画祭・グランプリなんかを取って、『世界の北野』とか煽てられたあたりから、かつてのシャープさは失わてしまった。

誰か言ってやれよ。
『世界の北野とか煽てられて、客に媚びた映画撮ってんじゃねーよ』と(-_-メ)

『 TAKESHIS'(2005年)』『監督・ばんざい!(2007年)』『アキレスと亀(2008年)』と毎回ガッカリしているオイラが、
今度のたけしの映画は久々のバイオレンスものと聞いて、一瞬、期待をしたが、キャストのメンツを観て、イヤな予感がした。

で、その予感は的中した。(;´д`)トホホ…

ここまで、何のひねりもないヤクザ映画にするなら、いっその事、かつての東宝ヤクザ映画のオールスター総出演でやった方が、逆に新鮮だったかも(笑)

しかも、この映画はヤクザ映画でありながら、途中からアメリカ映画のB級ホラーを観ているような錯覚に陥ってしまった。

仁義なんかよりも、どんな斬新で残酷な殺され方をするのかという、アイデアコンテストみたいな、なんともバカバカしい話になっていた(;´д`)トホホ…

と、ボロクソに書いたが、誤解のないように、もう一度言うが、オイラは北野武の大ファンである。

だから、DVDで彼の最高傑作『ソナチネ』、BGMすらなく、全く客に媚を売らずに撮りたいものを撮りきった『3-4X10月(1990年)』を観ながら、次の北野武の傑作を待つ。

世界の北野なんて、くだらない称号はどうでもいい。
もう一度、シャープで尖った映像と、ゾクゾクするような狂気を見せてくれ。






  

Posted by アイスH at 10:00☆☆レビュー