2010年11月14日

『メッセージ そして、愛が残る』レビュー

『メッセージ そして、愛が残る』
原題: Afterwards
監督: ジル・ブルドス
製作国: 2008年ドイツ・フランス・カナダ合作映画
上映時間: 107分
カテゴリー:ドラマ
脚本: ジル・ブルドス、ミシェル・スピノザ
原作: ギヨーム・ミュッソ
撮影: リー・ピンビン
映倫区分: PG12
キャスト:
ロマン・デュリス、ジョン・マルコビッチ、エバンジェリン・リリー、リース・トンプソン

レビュー(☆☆☆☆)

人は必ず死ぬ。

それは、誰もが知っている。

老人や病人でもない限り、皆そんなことは忘れて毎日を生きている。

まるで、永遠に生きていけるかのように、いつか死ぬなんて思いもよらない。

しかし、もう一度言う。あなたは、必ず死ぬ。

それは、明日かもしれないし、数十年後かもしれないが。。。。



一枚の古いモノクロの写真がある。

その写真には、生まれたばかりの赤ん坊を抱く母親が写っている。

二人とも、もうこの世にはいない。

一人は、オイラの母親で、赤ん坊は生まれて、数時間で死んだオイラの兄だ。

オヤジは、生まれてすぐに死んだ長男の亡骸を小さな棺桶に入れて

火葬場に運んで火葬し、冷たい冬の雨の中、叔父と二人で埋葬した。

その叔父もオヤジも、もうこの世にはいない。




『メッセージ そして、愛が残る』を観て、息子が生まれた頃をふと思い出した。

人の親になって初めて、オヤジとオフクロの痛みを実感したのだ。

しかし、それは想像でしかない。

昔、オヤジが酒に酔って話した、冬の雨の中の

たった二人だけの葬式の事を思うと、なんとも切ない気持ちになった。




映画『メッセージ そして、愛が残る』(原題: Afterwards)は、

死にまつわる物語だ。

NYの法律事務所に勤める敏腕弁護士のネイサンは、生後数ヶ月の息子を亡くし、

そのショックから立ち直れず、自分を責め、妻と離婚した。

ある日、人の死を予見する力を持つ名優ジョン・マルコヴィッチ演じる医師のケイが

ネイサンに"あるメッセージ"を伝えにくる。

この映画は、死をテーマに、「生きること」を問うっている。

それが大仕掛けではなく、静謐(せいひつ)で謎があり、一貫したテーマある。そこが素晴らしい。



死には意味がない。例え、それがどんな死に方であってもだ。

ただ、生が終わるだけだ。

死ぬまでの、生が重要なのだ。

どんなふうに生き、どんなふうに生を終えたのか?

例え、それが生まれてから、たった数時間しか生きられなかった場合でもだ。

生きている者に、何か大切なメッセージを残したのかもしれない。

もちろん、それがどんなものなのかは、オイラには解らない。

でも、この映画には、その答えが隠されている。



もう、この世にはいない彼らは、生きている者に大切なメッセージを残している。

あなたの大切な人はどんな人でした?

勇敢な人でした?楽しい人でした?

いつも心配ばかりしていました?

ズルい事や、嘘もつきました?

冗談を言って、みんなを笑わせた?

そして、あなた自身は生きているうちに、どんなメッセージを残すのか?

もし、あと少ししか生きれないとしたら、どんなふうに生きるのか?

時には、そんな事を真剣に考えてみるような映画がある。

『メッセージ そして、愛が残る』は、そういう種類の映画だ。

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