2011年06月10日

リアン ニーソンが渋いぜ!『アンノウン』レビュー

『アンノウン』
原題:UNKNOWN
製作国:2011年アメリカ
上映時間:113分
ジャンル:サスペンス
監督:ジャウム・コレット=セラ
キャスト:リーアム・ニーソン、ダイアン・クルーガー、ジャニュアリー・ジョーンズ、
エイダン・クイン、ブルーノ・ガンツ、フランク・ランジェラ
レビュー(☆☆☆☆☆)

最近、大脳生理学や認知科学の本を読んで、
ある疑念が湧いてきた。

『おいらは、一体誰だ?』
と(; ̄ェ ̄)

ひょっとしたら、映画マトリックスみたいに、バーチャルリアリティの中の
微弱な電気信号かもしれない。

オイラがオイラであるという証明はなにか??
なんて、思春期の中学生みたいな青臭い事を考えてみたが、
その最近読んだ本に、興味深い事が書いてあった。

”人は自分が見たいものだけをみている”
別の言い方をするなら、
”人間の脳は、自分にとって重要なものしか認識していない”
ということらしい!(◎_◎;)

これは、オイラの体験談で説明すると、
独身主義者で子ども嫌いのオイラが、なぜか
結婚して、息子が生まれた。

ある日、赤ん坊の息子を連れて出かけたら、
町中に赤ん坊がビックリするくらい、そこら中にいるではないか( ̄□||||!!

つまり、もともと赤ん坊はいたのに、オイラの脳が認識していなかっただけで、
子供が生まれて、赤ん坊がオイラの中で重要なファクターになって、
心理的な盲点がなくなったということだ。

これは今まで見ていた世界が一変したような出来事だった。
(ホント、子供が生まれたら人生観が一変したよ(´。`)


映画『アンノウン』の主人公、科学者ドクターマーチン(リアン ニーソン)は、
妻と訪れたドイツのベルリンで、タクシーごと凍り付いた川に転落し、
病院で昏睡状態から目覚めると、記憶の一部を失い、パスポートも紛失していた。

彼は、妻とチェックインしたホテルを思い出し、妻に会いに行くが、
妻は自分のことを覚えていないばかりか、妻に寄り添う見知らぬ男が、
ドクターマーチンの名を名乗り、妻の夫だと言い、パスポートでそれを証明する。

では、記憶の一部を失い、自分を証明するIDも持たない自分は一体誰なのか?

今まで自分が現実と思っていたことが、幻想だったのか?
混乱して、自分に都合の良い記憶を作りだしたのか?

この映画の最大の面白さは、ミステリーと謎解きだ。
謎は、ある点から点へと繋がって行く。

ある点とは、男の記憶であったり、偶然であったり、
余計な説明がないところが、非常にいい!!
クドクドとアホみたいな説明をしない脚本が最高にいいのだ。

例えば、ドクターマーチンが、唐突に何かに突き動かされるような行動をする。
それが何なのかは観客には判らない。
何かを思い出したのかもしれないし、何かが閃いたのかもしれない。

下手な脚本だと、状況説明の独り言とか、フラッシュバックとか、
回りくどい説明的な映像とかを、カットインしがちだが、
そんな客を低能扱いしたようなクダラナイ演出の映画には心底ウンザリなのだ(;´Д`)

不親切なほど、何の説明もなく黙々と行動するところがこの映画の”キモ”だ。

それに、この映画はただの謎解きのサスペンスではない。
アイデンティティーとは?人間の本質とは?が隠されたテーマでもある。

冒頭でアイデンティティーについた長々と書いたが、
この映画をみると、本当の自分とは何か、
主人公の男と一緒に探求できる。

これ以上説明しても、ネタバレになるので何も書かないが
なんの予備知識もなく、観た方が絶対に楽しめる。
久々の☆☆☆☆☆のおすすめの映画だ!!

自分が自分であると証明するものとは、パスポートなどのIDではない。

過去の記憶が、今の自分を証明している。
しかし、それは、脳が作り出した自分に都合の良い記憶かもしれない。
(ただし、未来は過去とは関係ない。これ重要!!)

オイラは、そして、あなたは、一体誰だ!?本当の自分とは!?
マトリックスの中で、自分の都合のいいように作り出した記憶の一部か!?
そもそも、存在しているのか?

しかし、オイラは誰がなんと言ってもオイラだ( ̄∀ ̄)

デカルト的にいえば、“我思う、ゆえに我あり”ってとこか!(◎_◎;)

記憶と存在について、もう一言。

人は2度死ぬと誰かが言ってた。

一度目は、肉体の死。
二度目は、その人の記憶を持った人たちが、この世から誰もいなくなった時。

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Posted by アイスH at 01:38 │☆☆☆☆☆レビュー