2010年03月24日

『ラブリーボーン』 レビュー

『ラブリーボーン』
製作年 2009(アメリカ=イギリス=ニュージーランド)135分
カテゴリー:ファンタジー
監督:ピーター・ジャクソン
キャスト:マーク・ウォールバーグ、レイチェル・ワイズ、スーザン・サランド、スタンリー・トゥッチ、マイケル・インペリオリ、シアーシャ・ローナン
レビュー(☆☆☆)

最近友人のKが急死した。正確には急死していた。

ある夜、彼の弟から電話があった。
『兄が先月の末に病死しました。葬儀は身内だけで密葬しました』と。。。
突然の知らせに、言葉もなかった。ちょっと前にメールのやり取りをしていたのに。

友人のKは、生涯独身で、ネコと競馬と映画を愛する自由人だった。
Kと会うと必ず、挨拶代わりに「あの映画観た?」とお互いに最近みた映画の感想を語りあった。
(松田優作の”探偵物語”の探偵と骨董屋のように。。。)

葬式にも出ていないので、Kが死んだ実感はない。
Kももっと生きたかったろうが、充分に生きたと思いたい。

人は必ず死ぬ。そんな当たり前のことを、普段はまるで人事のように忘れている。
しかし、どうあがいても、いつか人は必ず死ぬ。
だから、とても短い人生の中で、懸命に自分のやりたいことを見つけて、何をやらなければならない。
何もしないと、きっと後悔するから。。。

 ゆえに、若くして人生が終わってしまうことほど、切ないことはない。
最近報道されている幼児の虐待死や若者の自殺など、いたたまれない気持ちになる。
彼らには、何かをみつける十分な時間すら与えられなかったのだから。。。。

『ラブリーボーン』は14歳で変質者に殺された少女の目を通して、残された家族や、短い自分の人生を見つめなおす物語だ。
主人公の少女スージーは、初恋の相手との初めてのデートの前日に、狡猾な変質者にレイプされて殺される。
スージーは自分が死んだことを自覚できずに、この世と天国の狭間のとても美しい世界から、こちらの世界をみつめている。

若い頃は、死後の世界とか、永遠とか、宇宙とか自分の考えが及ばない事について考えを巡らせたものだが、特定の宗教は特に信じていないオイラでも、こんな天国みたい美しい世界があればいいなあと思いながら映画を観た。

この映画は、変質者に殺された少女の物語でありながらファンタジーという、今まであまりない種類の映画だと思うが、テーマを絞りきれていなのか、残された家族の描かれ方とか脚本が弱いところがあるように思う。
 特にスーザン・サランドの様な大物女優を使いながら、彼女がただのファンキーなバアさんで終わっていて、ストーリー上なにも機能していないキャラクターになってしまっているのが、非常に残念だった。
 原作でそのような設定だったのかもしれないが、残された家族の傷をいたわるような重要なキャラクターだったような気がするが。。。

この映画は、残された家族によって、犯人が追いつめられるくだりはあるが、犯人が捕まるかがテーマではない。
若くして命を奪われた少女の魂の浄化がテーマである。

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Posted by アイスH at 17:45 │映画レビュー