2014年04月23日

『LIFE!』レビュー

『LIFE!』
原題 THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY
製作年  2013年
製作国  アメリカ
配給 20世紀フォックス映画
上映時間 113分
上映方式 2D/字幕版・吹き替え版

<スタッフ>
監督・製作: ベン・スティラー
脚本・製作: スティーヴン・コンラッド
製作: ジョン・ゴールドウィン
製作: サミュエル・ゴールドウィンJr.
製作: スチュアート・コーンフェルド
製作総指揮: G. マック・ブラウン
撮影監督: スチュアート・ドライバーグ
プロダクション・デザイナー: ジェフ・マン 他

<キャスト>
ベン・スティラー、
ショーン・ペン、
クリステン・ウィグ、
シャーリー・マクレーン、
アダム・スコット、
パットン・オズワルト、
キャスリン・ハーン、

レビュー☆☆☆☆☆

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ひとつの決断でその後の人生のすべてが変わる。


昔、サラリーマン時代に同じチームメンバーと一緒に

昼飯を食っていたのだが

社員食堂の『日替わりAランチ』しか食べない男がいた。


日替わりランチにはABCの種類があって

その男が毎日迷わずAランチを食べていた理由は

Aランチが一番安いからだった。


そいつは、毎日なんの迷いもなくAランチをオーダーしていた。


日替わりと言っても、4週間目にはまた同じメニューになる。


まあ、何を食べようが人の勝手だが、

内心オイラをそいつをバカにしていた。


昼飯くらい、もっとダイナミックに食べたい物を

自由にダイナミックに食おうぜ!ベイビー!



そして、ハッとした。


10代の頃の自分が今のオイラを見たら

なんと言うだろうか?


世界中を旅をして、

誰も見たことのない光景を見て

冒険に満ちた人生を送るのだ

と夢想していた。


アラスカの氷原でオーロラを見て

砂漠を砂嵐の中横断し、

地中海でイルカと泳ぐ。



しかし、現実はほぼ同じことの繰り返しの毎日で

10代に夢想したことは何ひとつやっていない。


オイラは、サラリーマンを辞めて長い旅に出た。

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雑誌「LIFE」のネガを管理する部で働くウォルター(ベン・スティラー)は、

想いを寄せる会社の同僚の女性に声を掛けることもできず

SNSで彼女にメッセージを送ることすら、

思い切れないほどの小心者の男である。


彼はいつも妄想している。

妄想の中では、勇敢で自信に満ちあふれて

意中の女性も妄想の中のウォルターに夢中だ。


しかし、現実は、世界的に有名な雑誌「LIFE」の中でも

同僚と二人だけのネガ管理部で地道に働いている。


しかも、時代の流れで、紙媒体の「LIFE」が廃刊となり

デジタル版に移行している最中だ。


つまり、「ネガを管理する」という

彼の仕事自体がなくなるかもしれない。


そんな時に、”未だにフィルムで写真を撮っている”

カメラマンのショーン(ショーン・ペン)から、フィルムのネガが届く。


ショーンは、長年に渡り雑誌「LIFE」の写真を撮り続けているカメラマンだ。

ショーンは世界中を飛び回っている冒険家で

男がほれる男の中の漢だ。


まあ、ウォルターとは全くの正反対。


でも、ショーンはウォルターの仕事に絶対的な信頼を持っている。

(ただし、二人は一度も会ったことがない)


こういうつながりって、グッとくるね。


そいつが本当に信用できる奴なのかは

仕事ぶりをみれば判る。


間違ってもFacebookでいいね!とか

そんな軽薄でくだらないことに夢中になっている奴らには判るまい。



ショーンはウォルター宛に

血が付いたネガ(銃で撃たれた傷を縫っている時についた)と

「LIFE」のスローガンが入った財布と

あるメッセージを送っていた。


そのメッセージには「LIFE」の最終号の表紙には、

No.25のネガを使って欲しいと書かれていたが、

送られて来たネガのロールにはNo.25はない。


残りの24枚のメガを焼いてみると

水面を撮った写真や誰かの親指のアップ、

それになんだか判らない写真。


ウォルターはその写真を手がかりに

ショーンを探す決断をする。


ここからが、素晴らしい。


この映画には、謎があり、冒険があり、
人生の”核”が詰まっている。


冒険の旅に踏出したショーンの背景に流れる
ライフ誌のスローガンがいい。

「To see the world,
Things dangerous to come to,
To see behind walls,
To draw closer,
To find each other and to feel.
That is the purpose of life.」

「世界を見よう
危険でも立ち向かおう
壁の裏側を覗こう
もっと近づこう
もっとお互いを知ろう
そして感じよう
それが人生の目的だから」


変化を恐れ、空想の中に生きていた
平凡で小心者の男の人生が一変する。

なんてワクワクするシーンだろう!


特に笑ったのが、グリーンランドの場末のバーで
カラオケを歌ってクダを巻いている酔っ払いに絡まれて
あわや割れたビール瓶で顔をさされそうになったウォルターが
謎の”親指の写真”の持ち主を発見するシーン。


これだよ。これ(・∀・)b


安全な場所にいてGoogleで検索したって

絶対に真実にはたどり着けない。



浮気がばれた彼女にふられてグデングデンに

酔っ払ったパイロットの操縦するヘリコプターに飛び乗った瞬間

ウォルターの本当の冒険が始まる。


夢想しているだけの虚しい人生とはオサラバだ。


北極海にへりから飛び込み、サメに襲われ

火山の噴火から命からがら逃げて

ショーンを探しに、アフガニスタンの奥地に入る。



この映画の脚本の特に好きなところは

ストーリーの端々に出てくる

出会い系サイトの担当者とのやりとり。


これがなんともいえずいいんだ。


ウォルターが探していたのは

No.25のネガだけではないってことに気がつく。


もっと、大事な人生の”何か”だ。


多くの人はそれに気がつかずに人生を終えるかも知れない。

インターネットの中には真実はない。

テレビを見て気を紛らわすだけの日々になんの意味があるのか?


人生は謎に満ちて、
その謎を探す冒険に出た者だけが
その真実を知る。

”なんだか判らない写真”が実は
自分の身近にあるものだった
ってところも、この映画の脚本の憎いところだ。


そして、ウォルターが命がけで探した

「LIFE」の最終号の表紙を飾った

No.25の写真が胸を打つ。




世界を見よう

危険でも立ち向かおう

壁の裏側を覗こう

もっと近づこう

もっとお互いを知ろう

そして感じよう

それが人生の目的だから






  

Posted by アイスH at 00:59Comments(0)☆☆☆☆☆レビュー