2010年06月27日

『アイアンマン2』レビュー

『アイアンマン2』
製作年 2010( アメリカ)124分
カテゴリー:SF、アクション
監督: ジョン・ファブロー
キャスト:ロバート・ダウニー・Jr.、グウィネス・パルトロウ、ドン・チードル、ミッキー・ローク、スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェル、サミュエル・L・ジャクソン
レビュー(★★☆☆☆)


アメリカンコミック原作の『アイアンマン2』は当然、突っ込みどころ満載な荒唐無稽な話で、能天気なところが楽しめる映画だが、ヒーローシリーズ物のジンクス(オイラが勝手に作ったジンクスだか(^_^ゞ)で、やはり、一作目に比べると、面白さの質が変わってしまうので、何かイマイチな感じだった。face06

では、一作目のどこが面白かったんだろか?と考えると、トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)がテロリストに捕われて、何もない砂漠の牢屋の中で、アイアンマンの原型(プロトタイプ)を作った後に、自宅で対話型コンピューターを助手にアイアンマンを開発するプロセスと、その圧倒的な性能が、荒唐無稽な話ながら引きつけられ、一緒に空飛んでいる様なワクワクした感じがした。

その辺が、一作目の面白さの核だった様な気がする。

『スパーダーマン』も、『バットマン』も然りで、いずれも一作目は、主人公が、全く新しいスキルや経験を手に入れるプロセスが面白いのだ( ̄∀ ̄)。

しかし、ヒーローシリーズ物の続編には、ヒーローに内省的な試練が待ち構えていて、一作目みたいに能天気に大暴れできない状況になってしまう。

つまり、自分の中に何かの壁が出来て、それを乗り越えることにより、新たなヒーローの成長があるのだが、その辺が1作目と2作目の面白さの質の違いだと、オイラは思う。

それに、1作目の内容や脇役の登場人物との関係性をほとんど忘れてしまっていて、ドン・チードルや、サミュエル・L・ジャクソンとかが登場する度に『これ誰?』『こんな奴いたっけ??』みたいにチンプンカンプンだったのが、イマイチ乗り切れなかった理由かもしれない( ̄‥ ̄) = =3

シリーズ物の続編を観に行くときは、DVDで前作を要チェック!





  

Posted by アイスH at 12:45映画レビュー

2010年06月13日

『春との旅』レビュー

『春との旅』
製作年 2010( 日本)134分
カテゴリー:ドラマ
監督・原作・脚本: 小林政広
キャスト:仲代達矢、徳永えり、大滝秀治、菅井きん、小林薫、田中裕子、淡島千景、柄本明、美保純、戸田菜穂、香川照之
レビュー(★★★★☆)


監督の小林政広と言う人は、日本映画界では稀有な存在だ。

彼の映画は、小林監督自ら制作費を出して制作している自主制作映画で、

大抵は単館上映で低予算ゆえからか、キャストも主に無名な役者を起用していて、

ロカルノ国際映画祭でグランプリを獲得した『愛の予感』では、監督自ら主演をこなしている。


オイラは、小林政広作品は特に好きと言う訳ではないが、結構見ている。

自主制作で映画を作り続けている監督というのは、

日本映画界では異端で希有な存在なため気になるのだ。


しかし、『 愛の予感』を見た時には、小林監督演じる男が、

ただただ飯を食って、工場で働く映像が延々と繰り返されて

『こんなの映画じゃねー』とムカついて、

もう、この人の作品は見ないと思っていたが、

『春との旅』は仲代達矢主演で、脇役も豪華キャストだというので、

気になって、映画館に足を運んだ。



ストーリーは、仲代達矢演じる忠男とその孫の春が、

足の不自由な忠男の身を寄せ先を探して、

長年疎遠になっていた兄弟の元を訪ねるロードムービーだ。



映画の冒頭から数分間は、セリフがなく、

忠男が不自由な足を引きずりながら、怒ったようにズンズン歩き、

そのあとを不安そうな表情で春がついて行くといったシーンが続き、

セリフではなく映像で表現しようという意気込みを感じる。


しかし、冒頭の辺りは、あまり上手くもない長回しや、

春のワザとらしいガニ股歩きが気になった。


今時、あんなイモ姉ちゃんが、この日本にいる訳がない。

大体、春が来ているような服はどこで売っているんだ?

30年前の話なら別だが。。。

演出だと思うが、あんなガニ股歩きは、ちょっとやり過ぎだよヾ( ̄o ̄;)オイオイ



まあ、それはいいとして、脇役のキャスト陣の豪華さと言ったらスゴイものがある。

何せ、小林薫なんか、忠男と春が訪ねてきたアパートの前で

スルメだかをつまみに酒飲んでいる漁師の役で、

カット割りなしのロングショットのワンシーンという贅沢さ(笑)



主演の”春”役の徳永えりも、あのガニ股歩きは、ちょっとやり過ぎだが、

『こんなイモ姉ちゃん、どこから連れてきたんだ?』と言うくらい、

なんとも言えない味を出していて良い(・∀・)!!


特に、何年も会っていな父親と再会して、号泣するシーンは、

言葉などではなく、父と娘が長年抱き続けた固い氷のような

わだかまりが溶けていくような、切なくてジンワリくるシーンだった。
クスン…(/_<。).:゚+

それは、最近の日本映画界に蔓延する軽薄でバカみたいなキーワード

”泣ける”などとは、一線を画す本物の感情が表現されたシーンだ。



最近の日本映画は、マンガが原作でテレビ局制作の

毒にも薬にもならないどうでも良いアイドルタレント映画か(+_+)、

誰かが死んで悲しくて泣けるとか(;´д`)トホホ…、

オイラは本当に情けなくて涙が出るくらい

バカバカしい映画ばかりだが、それでも、

1年あるいは数年に1本くらいは、魂の籠った本物の映画がある。



小林政広監督は、無骨ながらも、コマーシャリズムに毒されていない

本物の映画を撮ろうとする情熱を持ち、バカみたいな映画しか作れない

ダメダメ日本映画界に、活を入れるような、本気の映像作家だと思う。


『春との旅』は、ここ数年で最もお奨めの日本映画だと断言できる。






  
タグ :春との旅


Posted by アイスH at 12:25Comments(0)☆☆☆☆レビュー

2010年06月11日

トラボルタが暴れまくりの『パリより愛をこめて』レビュー

『パリより愛をこめて』レビュー
製作年 2010( フランス) 95分
カテゴリー:アクション
原題: From Paris with Love
監督: ピエール・モレル
製作: リュック・ベッソン

キャスト:ジョン・トラボルタ、ジョナサン・リース=マイヤーズ、エリック・ゴードン、リチャード・ダーデン、カシア・スムトゥアニク
レビュー(★★★☆☆)

製作リュック・ベッソン&ピエール・モレル監督のコンビによる「96時間」は、昨年のオイラのBest10に入る渋いアクション映画だった。

『パリより愛をこめて』は、製作リュック・ベッソン&ピエール・モレル監督で、主演がジョン・トラボルタと『 シェルター』で、多重人格者の卓越した演技が記憶に新しいジョナサン・リース=マイヤーズのスパイアクションということもあって、かなり期待して観に行った。

「96時間」のリアルさとは違って、ジョン・トラボルタ演じる捜査官(?)ワックスは、『こんな奴いねーよヾ( ̄o ̄;)オイオイ』っていう位の荒唐無稽なキャラクターで、とにかく彼の視野の中に入った悪党は、一人残らず射殺される(;´Д`)

ストーリー展開も、ありきたりで、深みなどは全くないが、ここまで吹っ切れていると、かえって清々しくさえ感じられる(笑)

「96時間」の様な渋さを期待したが、脚本に深みがない分、ジョン・トラボルタのコッテリ感と、カシア・スムトゥアニクのカワイさで、
大味だがお腹一杯っていう感じのアクションムービーだった。



  

Posted by アイスH at 23:21映画レビュー

2010年06月02日

『 グリーン・ゾーン』レビュー

『グリーン・ゾーン』
製作年 2010( アメリカ)154分
カテゴリー:戦争、アクション、サスペンス
監督:ポール・グリーングラス

キャスト:マット・デイモン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソン、エイミー・ライアン、ジェイソン・アイザックレビュー
レビュー(★☆☆☆☆)

2003年のイラク。アメリカが、大量破壊兵器を探すという大義名分で始めたイラク戦争後、偽情報に踊れされていたブッシュ政権の茶番劇とその後の顛末は、オリバー・ストーン監督の『ブッシュ』でも、たちの悪い冗談の様に描かれていたが、開戦前に世界中の誰も(ブッシュを支持するアメリカ人以外は)が、”大量破壊兵器の有無は別として”、この戦争は”アメリカのイラクへの侵略戦争だ”と言う事は認識していた。

あるはずのない大量破壊兵器は当然見つかはずもなく、ブッシュは宿敵のフセイン大統領を捕まえ死刑にした後、『大量破壊兵器は見つからなかったけれど、民主主義を広めることができたから、いいんじゃね?』と鼻の穴を広げて、オトボケ猿顔で演説した。

オイラは、あまりの厚顔ぶりに絶句した。

結果論で言っているのではない。

開戦前に、国連も、”ブッシュを2回も大統領に選んだアメリカ人”以外の世界中の心ある人々も、『大量破壊兵器を探す』なんていうのは、ただの大義名分だと知っていたからface15

『グリーン・ゾーン』はマット・デイモン演じる米陸軍のミラー准尉のチームが、大量破壊兵器を探すアクション・ムービーなのだが、一向に見つからない兵器と、誤情報を不審に思ったミラー准尉が独自に調査を始めるという政府の陰謀を暴くプロットは、こう言っては元も功もないが、『あり得ない作り話』でしかなく、アメリカ政府がブッシュが残した世紀の汚点を払拭しようとイメージアップを狙ったプロパガンダ映画のような気さえする(-_-メ)

つまり、ハリウッド映画の力を借りてアメリカ政府が、『侵略戦争したけど、誤情報に踊らされていただけなんだよぉ。本当は、心あるアメリカ人もいたんだよぉ。』というイメージを植え付けたいから、政府が陰で金出して作らせたような映画だなと穿った見方さえしたくなる。(;´Д`)

監督のポール・グリーングラスは、「ボーンシリーズ」でリアリティのある新しいアクションムービーの形を構築したが、マット・デイモンを主演にして、形だけ「ボーンシリーズ」をそのままに、イラクを舞台に1人のヒーローの活躍を描こういう思惑があったとしたら、それは見事に外している。

たかが娯楽映画でも、戦争という背景は、そんなショービズ界の勝手な思惑を簡単にはね除けるほど重いのだ。

あまりにもリアリティーのかけらも無く、底の浅いストーリー展開に
『映画なんて所詮作り話だが、ミラー准尉みたいな男がいるわけないじゃん』と、ムカムカしながら観ていた。


『恥を知れ!!!!』

日本車の車のプログラムがちょっと間違っていただけで言いがかりを付けて、何億円も制裁金をボッタクってないで、ブライアン・デ・パルマ監督の『リラクデット』や『告発の時』の様な映画作って猛省しろよ。アメリカ!!







  

Posted by アイスH at 23:42☆レビュー