2011年08月22日
『ツリー・オブ・ライフ』レビュー
『ツリー・オブ・ライフ』
原題:The Tree of Life
製作国:2011年アメリカ
上映時間:138分
監督/脚本:テレンス・マリック
制作:サラ・グリーン、ビル・ポーラッド、ブラッド・ピット
撮影:エマニュエル・ルベツキ
映倫区分:G
キャスト:ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステイン
レビュー:☆☆☆☆
映画は、言葉では表現しきれない何かを映像で見せることができる。
それは、もちろん目に見えるものである。
しかし、優れた映像作家は目に見えない”何か”さえ、
映し出す”マジック”を持っている。
テレンス・マリックは、数少ないマジックを使える監督だ。
別に、勿体ぶって言っているわけではない。
その目に見えない”何か”とは、言葉にしてしまえば、とても陳腐で、
日常に埋もれ、見えなくなっているものかもしれないし、
実は誰もが身近に持っているありふれたものかもしれない。
テレンス・マリックが切取り、積み重ねた短いカットの
木漏れ日や風や虫の音、心のつぶやき、あきらめ、慈しみの中に
その目に見えない”何か”は、確実に存在する。
その”何か”とは、観る者によって違う意味を持つ。
いや、目に見えないものだから、感じるしかない。
この映画はそういう種類の映画だと思う。
主人公の中年の男(ショーン・ペン)の魂は彷徨っている。
自分の本当の居場所は、”ここ”ではない、どこかにあるのではないか
というような憂いを抱えて生きている。
ただし、そういったセリフはない。
オイラがそう感じただけだ。
男は、少年時代を回想する。
厳しかった父(ブラッド・ピット)。
優しく凛とした美しさを持った母(ジェシカ・チャステイン)。
そして、若くして死んでしまった弟。
これは、ある家族の平凡な物語のようで、実はそうではない。
ストーリーは、古い記憶のように断片的だ。
物語は、主に男の少年時代の視点で語られる。
しかし、この映画が一筋縄でないのは、もう一つの
もっと高いところからの俯瞰の視点、別の言い方をすれば神の視点のように、
ある家族の平凡な出来事を描きながら、もっと高い次元の本質を描こうとしているように感じる。
映画の序盤、突然、地球の誕生から生命の進化、
そして恐竜が登場し、隕石の衝突、小さな命の誕生と、
あまりに唐突な『2001年宇宙の旅』のような映像に
大抵の人は、混乱するかもしれない。
解釈は、いろいろあると思うが、この壮大な叙事詩のような映像がなければ、
ただの平凡な家族の回想の物語になってしまうとオイラは思う。
生命の進化への言及があるからこそ、何気なくやり過ごしてしまう
ちっぽけな家族の営みさえ、本当は奇跡的なことなのだと認識できる。
生命が誕生して、進化した人間が、時には憎しみあい、愛しあい、慈しみあったりするのは、
実はたった一瞬の奇跡のような出来事なのだ。
『ツリー・オブ・ライフ』のブラット・ピット演じる父親が、
赤ん坊の小さな足を見つめるシーンがある。
オイラも自分が人の親になるなどとは、想像すらしたことがなかったのに、
息子が生まれて、初めて息子を抱いた時、
あまりにも、小さな足と小さな手に、生命の畏敬を感じ、
『そうか、俺は人の親になったのだ』という思いに、胸が一杯になった。
1年前には、確実に存在していなかった命が、
そして、昨日まで嫁のお腹の中にいた生命が
オイラの腕の中で『オギャー』と泣いているのだ。
オイラは、生まれたばかり赤ん坊の、恐ろしいほどに澄んだ目を見て
『この世にはこれほど美しいものがあったのか』と驚愕した。
大げさではなく、人生観がガラリと音を立てて変わった瞬間だった。
あの瞬間から何気ない日常の中に
心を奪われる事ようなことが溢れていることに気がついた。
それは、夏の終わりの夕暮れの空の色だったり、
スーパーの駐車場で息子と手をつないで見上げた飛行機雲だったり、
とても、些細な出来事だ。
オイラは、特定の宗教は信じていないが、
何か言葉では表現できない様なものを感じて、
なんだか泣きたいような、せつない気分になった。
一瞬一瞬が流れ去り、あらゆるものが変化していく。
そして、若い頃、あれほど憎んでいた”ちっぽけな幸せ”に
『何事もやってみないと判らないものだな』と思える今日この頃(´。`)
『ツリー・オブ・ライフ』を観てそんな事を思い出した。
この映画は、難解な映画ではない。
ただ、感じればいいのだ。
と言いつつ、言葉にできないような”何か”を描いた映画と紹介したのに
グダグタと言葉を並べるのは、粋じゃねーな・・(┌(;_◇_)┐ ぎゃふん
頭でっかちな映画通ぶった奴らの解説は無視して、ただ、感じろ。
何も、感じなかったら、黙って寝ていろ(笑) ネム〜 ヘ( ´ρ`).。o○
原題:The Tree of Life
製作国:2011年アメリカ
上映時間:138分
監督/脚本:テレンス・マリック
制作:サラ・グリーン、ビル・ポーラッド、ブラッド・ピット
撮影:エマニュエル・ルベツキ
映倫区分:G
キャスト:ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステイン
レビュー:☆☆☆☆
映画は、言葉では表現しきれない何かを映像で見せることができる。
それは、もちろん目に見えるものである。
しかし、優れた映像作家は目に見えない”何か”さえ、
映し出す”マジック”を持っている。
テレンス・マリックは、数少ないマジックを使える監督だ。
別に、勿体ぶって言っているわけではない。
その目に見えない”何か”とは、言葉にしてしまえば、とても陳腐で、
日常に埋もれ、見えなくなっているものかもしれないし、
実は誰もが身近に持っているありふれたものかもしれない。
テレンス・マリックが切取り、積み重ねた短いカットの
木漏れ日や風や虫の音、心のつぶやき、あきらめ、慈しみの中に
その目に見えない”何か”は、確実に存在する。
その”何か”とは、観る者によって違う意味を持つ。
いや、目に見えないものだから、感じるしかない。
この映画はそういう種類の映画だと思う。
主人公の中年の男(ショーン・ペン)の魂は彷徨っている。
自分の本当の居場所は、”ここ”ではない、どこかにあるのではないか
というような憂いを抱えて生きている。
ただし、そういったセリフはない。
オイラがそう感じただけだ。
男は、少年時代を回想する。
厳しかった父(ブラッド・ピット)。
優しく凛とした美しさを持った母(ジェシカ・チャステイン)。
そして、若くして死んでしまった弟。
これは、ある家族の平凡な物語のようで、実はそうではない。
ストーリーは、古い記憶のように断片的だ。
物語は、主に男の少年時代の視点で語られる。
しかし、この映画が一筋縄でないのは、もう一つの
もっと高いところからの俯瞰の視点、別の言い方をすれば神の視点のように、
ある家族の平凡な出来事を描きながら、もっと高い次元の本質を描こうとしているように感じる。
映画の序盤、突然、地球の誕生から生命の進化、
そして恐竜が登場し、隕石の衝突、小さな命の誕生と、
あまりに唐突な『2001年宇宙の旅』のような映像に
大抵の人は、混乱するかもしれない。
解釈は、いろいろあると思うが、この壮大な叙事詩のような映像がなければ、
ただの平凡な家族の回想の物語になってしまうとオイラは思う。
生命の進化への言及があるからこそ、何気なくやり過ごしてしまう
ちっぽけな家族の営みさえ、本当は奇跡的なことなのだと認識できる。
生命が誕生して、進化した人間が、時には憎しみあい、愛しあい、慈しみあったりするのは、
実はたった一瞬の奇跡のような出来事なのだ。
『ツリー・オブ・ライフ』のブラット・ピット演じる父親が、
赤ん坊の小さな足を見つめるシーンがある。
オイラも自分が人の親になるなどとは、想像すらしたことがなかったのに、
息子が生まれて、初めて息子を抱いた時、
あまりにも、小さな足と小さな手に、生命の畏敬を感じ、
『そうか、俺は人の親になったのだ』という思いに、胸が一杯になった。
1年前には、確実に存在していなかった命が、
そして、昨日まで嫁のお腹の中にいた生命が
オイラの腕の中で『オギャー』と泣いているのだ。
オイラは、生まれたばかり赤ん坊の、恐ろしいほどに澄んだ目を見て
『この世にはこれほど美しいものがあったのか』と驚愕した。
大げさではなく、人生観がガラリと音を立てて変わった瞬間だった。
あの瞬間から何気ない日常の中に
心を奪われる事ようなことが溢れていることに気がついた。
それは、夏の終わりの夕暮れの空の色だったり、
スーパーの駐車場で息子と手をつないで見上げた飛行機雲だったり、
とても、些細な出来事だ。
オイラは、特定の宗教は信じていないが、
何か言葉では表現できない様なものを感じて、
なんだか泣きたいような、せつない気分になった。
一瞬一瞬が流れ去り、あらゆるものが変化していく。
そして、若い頃、あれほど憎んでいた”ちっぽけな幸せ”に
『何事もやってみないと判らないものだな』と思える今日この頃(´。`)
『ツリー・オブ・ライフ』を観てそんな事を思い出した。
この映画は、難解な映画ではない。
ただ、感じればいいのだ。
と言いつつ、言葉にできないような”何か”を描いた映画と紹介したのに
グダグタと言葉を並べるのは、粋じゃねーな・・(┌(;_◇_)┐ ぎゃふん
頭でっかちな映画通ぶった奴らの解説は無視して、ただ、感じろ。
何も、感じなかったら、黙って寝ていろ(笑) ネム〜 ヘ( ´ρ`).。o○
Posted by アイスH at 12:00│Comments(0)
│☆☆☆☆レビュー
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。