2010年05月03日

久々の正統派SF『月に囚われた男』レビュー

『月に囚われた男』
製作年 2009( イギリス)97分
カテゴリー:SF
原題: Moon
監督・脚本: ダンカン・ジョーンズ
キャスト:サム・ロックウェル、ドミニク・マケリゴット、カヤ・スコデラーリオ、ケヴィン・スペイシー(声の出演)

レビュー( ★★★★☆)

恵比寿ガーデンシネマで正統派SF『月に囚われた男』を観た。
SF映画に正統派なんてジャンルはないが、CGが登場する以前の雰囲気を持ったSFと言う意味でオイラが勝手に書いてみた。
最近のCGやら、VFXてんこ盛りのSFには正直、食傷気味である。

「アバター」の3Dの映像は確かにスゴいが、名作「惑星ソラリス」(勿論タルコフスキー版。間違ってもソーダバーグ版のリメイクではない)のような、登場人物が数人しか出てこないような、人間の孤独やら、謎やらが詰まった静寂に包まれたような"正統派"のSF映画が観たくて堪らなかった。
たとえば「サイレント・ランニング」や「惑星ソラリス」(勿論タルコフスキー版)、「2001年宇宙の旅」みたいな映画face06

オイラが勝手に定義する"正統派のSF映画"とは、「哲学的なテーマ」「寂寞(せきばく)とした風景、あるいは別世界」「登場人物が10人以内」「派手なアクションがない」「しかも、どこか退屈ですらある」等々だが、『月に囚われた男』はこの全てを久しぶり満たした映画で、オイラはこの映画を、( ̄ー ̄うん(_ _( ̄ー ̄そうそう(_ _これこれ(´∇`)と思いながら観ていた。


『月に囚われた男』は、CGもエイリアンも登場しない、低予算で月が舞台の正統派SF映画である。
ストーリーは、3年間の契約で月にたった一人で滞在し、地球で必要なエネルギー源を採掘する仕事に就くサム(サム・ロックウェル)の話し相手は1台の人工知能コンピュータ(声のみ:ケヴィン・スペイシー)だけの環境だったが、任務が終了し地球に帰るまであと2週間というある日、サムは事故を起こしたことをきっかけに、そこにいるはずもない自分とそっくりの男と遭遇するといった内容だが、たった数行のあらすじだけでも、"正統派のSF映画"の匂いがプンプンするなあ(´∇`)

最近のVFXてんこ盛りもいいが、SFの神髄は地味でもなお面白い発想だと思う。
この映画で”地味でもなお面白い発想”がサムの唯一の話し相手、人工知能コンピュータのガーティだ。

人工知能コンピュータといえば、「2001年宇宙の旅」に登場するHAL9000みたいな、怖い奴を想い出すが、ガーティはSF映画史上、もっともお人好しで、正直者のコンピュータで、感情表現をディスプレイ上に、スマイルマークface02や、困った顔のフェイスマークface07で表示するチープなところが、ホノボノして実にいい( ̄∀ ̄)

あと、この手の正統派SF映画にありがちな勿体ぶった所が一切ないところが良い。

正統派SF好きの人は、マストの一本icon22
間違っても、「アルマゲドンが最高!!」と言う人は観るな!!

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Posted by アイスH at 11:45 │映画レビュー