2010年06月13日
『春との旅』レビュー
『春との旅』
製作年 2010( 日本)134分
カテゴリー:ドラマ
監督・原作・脚本: 小林政広
キャスト:仲代達矢、徳永えり、大滝秀治、菅井きん、小林薫、田中裕子、淡島千景、柄本明、美保純、戸田菜穂、香川照之
レビュー(★★★★☆)
監督の小林政広と言う人は、日本映画界では稀有な存在だ。
彼の映画は、小林監督自ら制作費を出して制作している自主制作映画で、
大抵は単館上映で低予算ゆえからか、キャストも主に無名な役者を起用していて、
ロカルノ国際映画祭でグランプリを獲得した『愛の予感』では、監督自ら主演をこなしている。
オイラは、小林政広作品は特に好きと言う訳ではないが、結構見ている。
自主制作で映画を作り続けている監督というのは、
日本映画界では異端で希有な存在なため気になるのだ。
しかし、『 愛の予感』を見た時には、小林監督演じる男が、
ただただ飯を食って、工場で働く映像が延々と繰り返されて
『こんなの映画じゃねー』とムカついて、
もう、この人の作品は見ないと思っていたが、
『春との旅』は仲代達矢主演で、脇役も豪華キャストだというので、
気になって、映画館に足を運んだ。
ストーリーは、仲代達矢演じる忠男とその孫の春が、
足の不自由な忠男の身を寄せ先を探して、
長年疎遠になっていた兄弟の元を訪ねるロードムービーだ。
映画の冒頭から数分間は、セリフがなく、
忠男が不自由な足を引きずりながら、怒ったようにズンズン歩き、
そのあとを不安そうな表情で春がついて行くといったシーンが続き、
セリフではなく映像で表現しようという意気込みを感じる。
しかし、冒頭の辺りは、あまり上手くもない長回しや、
春のワザとらしいガニ股歩きが気になった。
今時、あんなイモ姉ちゃんが、この日本にいる訳がない。
大体、春が来ているような服はどこで売っているんだ?
30年前の話なら別だが。。。
演出だと思うが、あんなガニ股歩きは、ちょっとやり過ぎだよヾ( ̄o ̄;)オイオイ
まあ、それはいいとして、脇役のキャスト陣の豪華さと言ったらスゴイものがある。
何せ、小林薫なんか、忠男と春が訪ねてきたアパートの前で
スルメだかをつまみに酒飲んでいる漁師の役で、
カット割りなしのロングショットのワンシーンという贅沢さ(笑)
主演の”春”役の徳永えりも、あのガニ股歩きは、ちょっとやり過ぎだが、
『こんなイモ姉ちゃん、どこから連れてきたんだ?』と言うくらい、
なんとも言えない味を出していて良い(・∀・)!!
特に、何年も会っていな父親と再会して、号泣するシーンは、
言葉などではなく、父と娘が長年抱き続けた固い氷のような
わだかまりが溶けていくような、切なくてジンワリくるシーンだった。
クスン…(/_<。).:゚+
それは、最近の日本映画界に蔓延する軽薄でバカみたいなキーワード
”泣ける”などとは、一線を画す本物の感情が表現されたシーンだ。
最近の日本映画は、マンガが原作でテレビ局制作の
毒にも薬にもならないどうでも良いアイドルタレント映画か(+_+)、
誰かが死んで悲しくて泣けるとか(;´д`)トホホ…、
オイラは本当に情けなくて涙が出るくらい
バカバカしい映画ばかりだが、それでも、
1年あるいは数年に1本くらいは、魂の籠った本物の映画がある。
小林政広監督は、無骨ながらも、コマーシャリズムに毒されていない
本物の映画を撮ろうとする情熱を持ち、バカみたいな映画しか作れない
ダメダメ日本映画界に、活を入れるような、本気の映像作家だと思う。
『春との旅』は、ここ数年で最もお奨めの日本映画だと断言できる。
製作年 2010( 日本)134分
カテゴリー:ドラマ
監督・原作・脚本: 小林政広
キャスト:仲代達矢、徳永えり、大滝秀治、菅井きん、小林薫、田中裕子、淡島千景、柄本明、美保純、戸田菜穂、香川照之
レビュー(★★★★☆)
監督の小林政広と言う人は、日本映画界では稀有な存在だ。
彼の映画は、小林監督自ら制作費を出して制作している自主制作映画で、
大抵は単館上映で低予算ゆえからか、キャストも主に無名な役者を起用していて、
ロカルノ国際映画祭でグランプリを獲得した『愛の予感』では、監督自ら主演をこなしている。
オイラは、小林政広作品は特に好きと言う訳ではないが、結構見ている。
自主制作で映画を作り続けている監督というのは、
日本映画界では異端で希有な存在なため気になるのだ。
しかし、『 愛の予感』を見た時には、小林監督演じる男が、
ただただ飯を食って、工場で働く映像が延々と繰り返されて
『こんなの映画じゃねー』とムカついて、
もう、この人の作品は見ないと思っていたが、
『春との旅』は仲代達矢主演で、脇役も豪華キャストだというので、
気になって、映画館に足を運んだ。
ストーリーは、仲代達矢演じる忠男とその孫の春が、
足の不自由な忠男の身を寄せ先を探して、
長年疎遠になっていた兄弟の元を訪ねるロードムービーだ。
映画の冒頭から数分間は、セリフがなく、
忠男が不自由な足を引きずりながら、怒ったようにズンズン歩き、
そのあとを不安そうな表情で春がついて行くといったシーンが続き、
セリフではなく映像で表現しようという意気込みを感じる。
しかし、冒頭の辺りは、あまり上手くもない長回しや、
春のワザとらしいガニ股歩きが気になった。
今時、あんなイモ姉ちゃんが、この日本にいる訳がない。
大体、春が来ているような服はどこで売っているんだ?
30年前の話なら別だが。。。
演出だと思うが、あんなガニ股歩きは、ちょっとやり過ぎだよヾ( ̄o ̄;)オイオイ
まあ、それはいいとして、脇役のキャスト陣の豪華さと言ったらスゴイものがある。
何せ、小林薫なんか、忠男と春が訪ねてきたアパートの前で
スルメだかをつまみに酒飲んでいる漁師の役で、
カット割りなしのロングショットのワンシーンという贅沢さ(笑)
主演の”春”役の徳永えりも、あのガニ股歩きは、ちょっとやり過ぎだが、
『こんなイモ姉ちゃん、どこから連れてきたんだ?』と言うくらい、
なんとも言えない味を出していて良い(・∀・)!!
特に、何年も会っていな父親と再会して、号泣するシーンは、
言葉などではなく、父と娘が長年抱き続けた固い氷のような
わだかまりが溶けていくような、切なくてジンワリくるシーンだった。
クスン…(/_<。).:゚+
それは、最近の日本映画界に蔓延する軽薄でバカみたいなキーワード
”泣ける”などとは、一線を画す本物の感情が表現されたシーンだ。
最近の日本映画は、マンガが原作でテレビ局制作の
毒にも薬にもならないどうでも良いアイドルタレント映画か(+_+)、
誰かが死んで悲しくて泣けるとか(;´д`)トホホ…、
オイラは本当に情けなくて涙が出るくらい
バカバカしい映画ばかりだが、それでも、
1年あるいは数年に1本くらいは、魂の籠った本物の映画がある。
小林政広監督は、無骨ながらも、コマーシャリズムに毒されていない
本物の映画を撮ろうとする情熱を持ち、バカみたいな映画しか作れない
ダメダメ日本映画界に、活を入れるような、本気の映像作家だと思う。
『春との旅』は、ここ数年で最もお奨めの日本映画だと断言できる。
Posted by アイスH at 12:25│Comments(0)
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