2010年10月11日
『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』レビュー
『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』
製作国: 2010年日本映画
カテゴリー:ドラマ
上映時間: 135分
監督・脚本: 石井隆
撮影: 柳田裕男、寺田緑郎
映倫区分: R15+
キャスト:
竹中直人、佐藤寛子、東風万智子、井上晴美、大竹しのぶ、宍戸錠
レビュー(☆☆)
『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』は、ここ数年でもっと期待外れな映画だった。
その理由は、鬼才・石井隆監督が1993年に発表した「ヌードの夜」の17年ぶり続編だったからだ。
17年前の「ヌードの夜」を見ていなかったら、今回の『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』にも
なんの期待もしていなかっただろう。
それほど、17年前の「ヌードの夜」は、重要な作品だった。
雨、夜の街、ネオンサイン、行き場をなくした男と女の孤独な魂。
当時、男と女の情念みたいなものを撮れる監督は、石井隆以外いなかった。(少なくとも日本映画界には。。)
オイラが新「ヌードの夜」に期待したのは、そんな石井隆ワールドだった。
しかし、17年の間に、韓国映画界で『スカーレットレター』や『オールドボーイ』のような
凄まじい情念の映画を撮る監督が現れたというのに、日本映画界には石井隆のような、
異彩放つような映画監督は現れず、そして現実の世界が映画の虚構を追い越してしまった。
つまり現実の世界で妻が夫をワインの瓶で殴り殺して、バラバラにして捨てるような事件が
まるでありふれた事件のようになり、かつて石井隆が描いた男と女情念の世界は
もう映画の中だけの話ではなくなってしまったということだ。
そんな現代に、あの奇才が17年前と同じタイトルで、なんでも代行屋の
紅次郎(竹中直人)を主人公に続編を撮ると聞けば否が応でも、
期待が大きくなるってもんだ( ̄‥ ̄) = =3
それにプロット自体も、保険金を目当てに殺人を繰り返す欲に塗れた親子やDV、
レイプ、殺人等人間の醜い欲や業を盛り込んだつもりかもしれないが、
現実世界で似たような事件が起きている現代では、映画のオドロオドロしさも
あまりに陳腐な絵空事のようで、ただ、単に仰々しいだけで、なんの現実味もない。
それに、竹中直人演じる紅次郎も、状況説明のセリフを独り言で愚痴っているような
ただの情けない男にしか見えず、前作でオカマに袋だたきにあっても、なお、
"ハードボイルド"な佇まいは微塵もなく、あまりにも中途半端でベタな脚本に、心底ガッカリした。
では、れん役の佐藤寛子はどうかと言うと、底の浅い雑誌の映画紹介などで熱演だったと
書いているのを目にするが、確かに元グラビアアイドルが、あそこまで大胆な濡れ場を演じた
心意気は認めるが、悲劇の主人公れんの感情を表現するのに、
裸になってセリフを大声で喚けばいいってもんじゃない。
本当に深い演技は、ヘアヌードの必要もなく、つぶやくようなセリフにこそ、
表現されてしかるべきではないか。
大体、佐藤寛子のヘヤヌードは、なんの必然性も感じられず、彼女のファン目当ての
客寄せの為のシーンではないのかという、穿った見方さえしたくなってしまった。
(もしそうなら、佐藤寛子ファンには最高のプレゼントだ!ヾ(・ε・。) オイオイ…)
前作と比べてどうこう言うのは、フェアじゃないが、雨の夜の街、ネオンサイン、
謎の美少女など、石井ワールドの『ヌードの夜』のアイコンが満載なのに
『ヌードの夜』ではない、この続編のほうが客を裏切っているのではないか?
いっその事、別のタイトルで、全く別の設定なら納得出来る。
なぜなら、何にも期待しないから。
『ヌードの夜』の続編としてなら、大竹しのぶも、井上晴美も、
女刑事も、保険金殺人も全ていらない。
謎の美少女に振り回されて、土砂降りの雨の中、夜の街を彷徨う
情けない、何でもない男の話だけでいいじゃないか。
そんなハードボイルドを見たかった。
と、長々と書いたが、これは前作『ヌードの夜』の熱狂的なファンの戯言だ。
映画なんて、個人の嗜好であり、ただの娯楽でしかない。
石井隆ワールド未体験の人は、おすすめ!
特に佐藤寛子ファンは必見!!(笑)
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製作国: 2010年日本映画
カテゴリー:ドラマ
上映時間: 135分
監督・脚本: 石井隆
撮影: 柳田裕男、寺田緑郎
映倫区分: R15+
キャスト:
竹中直人、佐藤寛子、東風万智子、井上晴美、大竹しのぶ、宍戸錠
レビュー(☆☆)
『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』は、ここ数年でもっと期待外れな映画だった。
その理由は、鬼才・石井隆監督が1993年に発表した「ヌードの夜」の17年ぶり続編だったからだ。
17年前の「ヌードの夜」を見ていなかったら、今回の『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』にも
なんの期待もしていなかっただろう。
それほど、17年前の「ヌードの夜」は、重要な作品だった。
雨、夜の街、ネオンサイン、行き場をなくした男と女の孤独な魂。
当時、男と女の情念みたいなものを撮れる監督は、石井隆以外いなかった。(少なくとも日本映画界には。。)
オイラが新「ヌードの夜」に期待したのは、そんな石井隆ワールドだった。
しかし、17年の間に、韓国映画界で『スカーレットレター』や『オールドボーイ』のような
凄まじい情念の映画を撮る監督が現れたというのに、日本映画界には石井隆のような、
異彩放つような映画監督は現れず、そして現実の世界が映画の虚構を追い越してしまった。
つまり現実の世界で妻が夫をワインの瓶で殴り殺して、バラバラにして捨てるような事件が
まるでありふれた事件のようになり、かつて石井隆が描いた男と女情念の世界は
もう映画の中だけの話ではなくなってしまったということだ。
そんな現代に、あの奇才が17年前と同じタイトルで、なんでも代行屋の
紅次郎(竹中直人)を主人公に続編を撮ると聞けば否が応でも、
期待が大きくなるってもんだ( ̄‥ ̄) = =3
それにプロット自体も、保険金を目当てに殺人を繰り返す欲に塗れた親子やDV、
レイプ、殺人等人間の醜い欲や業を盛り込んだつもりかもしれないが、
現実世界で似たような事件が起きている現代では、映画のオドロオドロしさも
あまりに陳腐な絵空事のようで、ただ、単に仰々しいだけで、なんの現実味もない。
それに、竹中直人演じる紅次郎も、状況説明のセリフを独り言で愚痴っているような
ただの情けない男にしか見えず、前作でオカマに袋だたきにあっても、なお、
"ハードボイルド"な佇まいは微塵もなく、あまりにも中途半端でベタな脚本に、心底ガッカリした。
では、れん役の佐藤寛子はどうかと言うと、底の浅い雑誌の映画紹介などで熱演だったと
書いているのを目にするが、確かに元グラビアアイドルが、あそこまで大胆な濡れ場を演じた
心意気は認めるが、悲劇の主人公れんの感情を表現するのに、
裸になってセリフを大声で喚けばいいってもんじゃない。
本当に深い演技は、ヘアヌードの必要もなく、つぶやくようなセリフにこそ、
表現されてしかるべきではないか。
大体、佐藤寛子のヘヤヌードは、なんの必然性も感じられず、彼女のファン目当ての
客寄せの為のシーンではないのかという、穿った見方さえしたくなってしまった。
(もしそうなら、佐藤寛子ファンには最高のプレゼントだ!ヾ(・ε・。) オイオイ…)
前作と比べてどうこう言うのは、フェアじゃないが、雨の夜の街、ネオンサイン、
謎の美少女など、石井ワールドの『ヌードの夜』のアイコンが満載なのに
『ヌードの夜』ではない、この続編のほうが客を裏切っているのではないか?
いっその事、別のタイトルで、全く別の設定なら納得出来る。
なぜなら、何にも期待しないから。
『ヌードの夜』の続編としてなら、大竹しのぶも、井上晴美も、
女刑事も、保険金殺人も全ていらない。
謎の美少女に振り回されて、土砂降りの雨の中、夜の街を彷徨う
情けない、何でもない男の話だけでいいじゃないか。
そんなハードボイルドを見たかった。
と、長々と書いたが、これは前作『ヌードの夜』の熱狂的なファンの戯言だ。
映画なんて、個人の嗜好であり、ただの娯楽でしかない。
石井隆ワールド未体験の人は、おすすめ!
特に佐藤寛子ファンは必見!!(笑)
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Posted by アイスH at 15:12
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