2014年11月22日

『インターステラー』レビユー|「2001年宇宙の旅」を超えた大傑作!



『インターステラ』
原題 INTERSTELLAR
製作年 2014年
製作国 アメリカ
配給 ワーナー・ブラザーズ映画
上映時間 169分
上映方式 2D

<スタッフ>
監督 クリストファー・ノーラン
脚本 ジョナサン・ノーラン 、 クリストファー・ノーラン
撮影 ホイテ・ヴァン・ホイテマ
音楽 ハンス・ジマー
編集 リー・スミス

<キャスト>
マシュー・マコノヒー
アン・ハサウェイ
ケイシー・アフレック
ジェシカ・チャステイン
ウェス・ベントレー
マッケンジー・フォイ
ジョン・リスゴー

レビュー☆☆☆☆☆


最初に言っておきたいが、
これからこの映画を見る人のために
いつものようにネタバレなしで書いているのと、
この映画は絶対映画館で観るべき傑作だということ。


10年に1度、いや、オイラ的には、
SF映画のカテゴリーに限って言えば
スタンリー・キューブリック監督の
『2001年宇宙の旅』『コンタクト』以来
のハードなSF映画の傑作だと思う。


この映画は、当初スピルバーグが
監督する話もでていたと
いうのをwikiで読んで、
クリストファー・ノーランが監督に
抜擢されて本当に良かった思ったよ。


スピルバーグが撮ったら安っぽい
父と娘の愛の物語とかなりかねないからね。

別にスピルバーグは嫌いじゃないが、
変に観客を意識したどうでもいい見せ場とか、
陳腐な愛だか、そんなのが出てこないのがいいし、
ブラックホールやワームホールや
特異点や5次元とか、
ガチのSF考証が硬派なSF映画だ。


もちろん、クリストファー・ノーランは
エンターテインメントな見せ場を用意しながら、
人間の深い感情を描いてる。

これをやれる監督は、そう多くはない。


それにクリストファー・ノーランの
抑制の効いた演出がこの映画のテーマにはピッタリ。

たとえば、娘との辛い別れのシーンに、
ロケット発射のカウントダウンとボイスオーバーさせて
一気にロケットの発射シーンにもっていくあたりが、
たまんなくイイ(・∀・)b


物語は、世界人口が激増した、近い未来。
地球が荒廃して、砂嵐が頻発し、
植物や作物が疫病にやられて、
人類は滅亡の危機に瀕している。

元NASAのパイロットで二人の子供と暮らす、
農夫のクーパー(マシュー・マコノヒー)は、
何か不思議な力に導かれて、
新たに発見された
宇宙のワームホールを利用して、
居住可能な新たな惑星を探す
プロジェクトに参加することになる。


物語の主軸になるのは、
父と娘の別れとか、繋がりとか、
人類の未来とかだが、
テレビや安っぽい映画で
使い古されているような
陳腐な愛などではない。

もっと厳格で厳しいものだ。


『2001年宇宙の旅』や『コンタクト』では、
未知の計り知れない”何か”に導かれて、
人類が宇宙の果てに行ったのに対し
『インターステラー』は孤独だ。

『2001年宇宙の旅』や『コンタクト』は、
何かわからない存在が見守っていてくれるような
安心感みたいなものがあるが、
『インターステラー』の場合は、
誰も助けてはくれないし、
希望と呼べるものもちっぽけで、
あやふやで、もろい。


どこか知らない別の宇宙の彼方に
放り出された時、人は強烈に
「誰かを愛していたこと」や
「誰かに愛されていた」ことを
知るのではないだろうか?


もちろん、
そんなまどろっこしいことは
語られていないが、
宇宙の彼方で地球からの
ビデオメッセージを見るしかない
主人公に心を揺さぶられる。


光速で宇宙を旅する者の
宿命でもある”双子のパラドックス”で、
少女だった娘が自分と同じ歳になったことを知る父。


こんなことは、地球上では
ありえないことなので理解しがたいが、
実は子供育てたことがある人なら
誰でも感じている感情だ。

もちろんオイラも、
子供が生まれるまでそんなことは
思ってもみなかったある感情を
最近、発見した。


昔、思春期の頃、
オイラはオヤジのことが心底嫌いで、
悪態をついていた。


でも、オヤジをどんなに悪態をついても、
オイラを気にかけ、余計な心配をいたり、
ヤキモキしたり、オロオロしたりしていた。


今、息子が反抗期になって、
昔のオイラのようにイッパシな
生意気な口をきいたりする。


その時、昔のオヤジの気持ちが分かったのだ。
この感情は子供を育ててみないと
絶対に わからない感情だろう。

親は子供の今を見ているのではない。
子供が生まれてから全ての出来事の総体として
子供をみているのだ。

オイラが生まれたばかりの赤ん坊の
息子の目を見たときに
『この世にはこんな美しいものがあったのか!』
と驚愕したこととか、
熱を出して心配で眠れなかった夜のこととか、
初めて自転車に乗れた日のこととか、
あらゆることが今と同時に存在して、
それを感じ、それを見ているのだ。

これを一言で表せる言葉をオイラは知らない。

話を映画に戻そう。

父親にとって、
娘はどんな時空の彼方にいようとも
たとえ、
娘が自分より歳をとったとしても
誰よりも特別な存在なのだ。


二十数年経っても
まだ、宇宙の彼方にいる父に
見捨てられたと思い込んでいる娘からの
ビデオメッセージを見るしかない
クーパーのもどかしさや
せつなさがに胸に迫る。

何気ないシーンだが
たまらなく
せつないシーンだ。


もっと、書きたいが
これ以上はネタばらしになるので
あまり語れる部分はない。


ただし、SF的な知識は勉強して
観に行った方がより解釈の幅も広がる。

ブラックホールやワームホールや
相対性理論の双子のパラドックスあたりは、
最低押さえておきたい。

あと、SF映画に付き物のロボットだが、
インターステラーのロボットは、
今まで観たSF映画に出てきた
ロボットの中で一番いいね(・∀・)b


最初はただの四角い
面白みに欠ける奴だと思ったけど、
段々、『相棒!』と呼びたくなるほど、
頼り甲斐があって頼もしい奴だ。

ウエットに富んだ海兵隊仕込みのAI設定が最高!


しかも、この映画SF映画にもかかわらず
CGをほとんど使わずに撮ったらしい。

地球のシーンの広大なトウモロコシ畑も
種から育てたそうだし、
砂嵐のシーンも巨大な扇風機みたいなやつで
風を起こして再現している。

さらに今時、35mmフィルム(一部IMAX)で
撮っているっていうんだから、
もう、最後の職人気質の監督だね。

そういう話を聞くと
もう一度改めてみたくなるよ。ホント

この映画(この映画だけに限らないが)は、
見る人の知識や環境や年齢によって
大きく評価が変わるだろうね。

でも、これほどの傑作はそうはないぜ!
本当、2、30年に1度の傑作SF映画だ!
あくまでもオイラ的に。。。

今度は思春期で反抗期の息子を誘って
日本語吹き替え版でも
もう一度観に行こう!

オススメの1本(・∀・)b  

Posted by アイスH at 18:40Comments(0)☆☆☆☆☆レビュー

2014年04月23日

『LIFE!』レビュー

『LIFE!』
原題 THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY
製作年  2013年
製作国  アメリカ
配給 20世紀フォックス映画
上映時間 113分
上映方式 2D/字幕版・吹き替え版

<スタッフ>
監督・製作: ベン・スティラー
脚本・製作: スティーヴン・コンラッド
製作: ジョン・ゴールドウィン
製作: サミュエル・ゴールドウィンJr.
製作: スチュアート・コーンフェルド
製作総指揮: G. マック・ブラウン
撮影監督: スチュアート・ドライバーグ
プロダクション・デザイナー: ジェフ・マン 他

<キャスト>
ベン・スティラー、
ショーン・ペン、
クリステン・ウィグ、
シャーリー・マクレーン、
アダム・スコット、
パットン・オズワルト、
キャスリン・ハーン、

レビュー☆☆☆☆☆

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ひとつの決断でその後の人生のすべてが変わる。


昔、サラリーマン時代に同じチームメンバーと一緒に

昼飯を食っていたのだが

社員食堂の『日替わりAランチ』しか食べない男がいた。


日替わりランチにはABCの種類があって

その男が毎日迷わずAランチを食べていた理由は

Aランチが一番安いからだった。


そいつは、毎日なんの迷いもなくAランチをオーダーしていた。


日替わりと言っても、4週間目にはまた同じメニューになる。


まあ、何を食べようが人の勝手だが、

内心オイラをそいつをバカにしていた。


昼飯くらい、もっとダイナミックに食べたい物を

自由にダイナミックに食おうぜ!ベイビー!



そして、ハッとした。


10代の頃の自分が今のオイラを見たら

なんと言うだろうか?


世界中を旅をして、

誰も見たことのない光景を見て

冒険に満ちた人生を送るのだ

と夢想していた。


アラスカの氷原でオーロラを見て

砂漠を砂嵐の中横断し、

地中海でイルカと泳ぐ。



しかし、現実はほぼ同じことの繰り返しの毎日で

10代に夢想したことは何ひとつやっていない。


オイラは、サラリーマンを辞めて長い旅に出た。

+ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー+

雑誌「LIFE」のネガを管理する部で働くウォルター(ベン・スティラー)は、

想いを寄せる会社の同僚の女性に声を掛けることもできず

SNSで彼女にメッセージを送ることすら、

思い切れないほどの小心者の男である。


彼はいつも妄想している。

妄想の中では、勇敢で自信に満ちあふれて

意中の女性も妄想の中のウォルターに夢中だ。


しかし、現実は、世界的に有名な雑誌「LIFE」の中でも

同僚と二人だけのネガ管理部で地道に働いている。


しかも、時代の流れで、紙媒体の「LIFE」が廃刊となり

デジタル版に移行している最中だ。


つまり、「ネガを管理する」という

彼の仕事自体がなくなるかもしれない。


そんな時に、”未だにフィルムで写真を撮っている”

カメラマンのショーン(ショーン・ペン)から、フィルムのネガが届く。


ショーンは、長年に渡り雑誌「LIFE」の写真を撮り続けているカメラマンだ。

ショーンは世界中を飛び回っている冒険家で

男がほれる男の中の漢だ。


まあ、ウォルターとは全くの正反対。


でも、ショーンはウォルターの仕事に絶対的な信頼を持っている。

(ただし、二人は一度も会ったことがない)


こういうつながりって、グッとくるね。


そいつが本当に信用できる奴なのかは

仕事ぶりをみれば判る。


間違ってもFacebookでいいね!とか

そんな軽薄でくだらないことに夢中になっている奴らには判るまい。



ショーンはウォルター宛に

血が付いたネガ(銃で撃たれた傷を縫っている時についた)と

「LIFE」のスローガンが入った財布と

あるメッセージを送っていた。


そのメッセージには「LIFE」の最終号の表紙には、

No.25のネガを使って欲しいと書かれていたが、

送られて来たネガのロールにはNo.25はない。


残りの24枚のメガを焼いてみると

水面を撮った写真や誰かの親指のアップ、

それになんだか判らない写真。


ウォルターはその写真を手がかりに

ショーンを探す決断をする。


ここからが、素晴らしい。


この映画には、謎があり、冒険があり、
人生の”核”が詰まっている。


冒険の旅に踏出したショーンの背景に流れる
ライフ誌のスローガンがいい。

「To see the world,
Things dangerous to come to,
To see behind walls,
To draw closer,
To find each other and to feel.
That is the purpose of life.」

「世界を見よう
危険でも立ち向かおう
壁の裏側を覗こう
もっと近づこう
もっとお互いを知ろう
そして感じよう
それが人生の目的だから」


変化を恐れ、空想の中に生きていた
平凡で小心者の男の人生が一変する。

なんてワクワクするシーンだろう!


特に笑ったのが、グリーンランドの場末のバーで
カラオケを歌ってクダを巻いている酔っ払いに絡まれて
あわや割れたビール瓶で顔をさされそうになったウォルターが
謎の”親指の写真”の持ち主を発見するシーン。


これだよ。これ(・∀・)b


安全な場所にいてGoogleで検索したって

絶対に真実にはたどり着けない。



浮気がばれた彼女にふられてグデングデンに

酔っ払ったパイロットの操縦するヘリコプターに飛び乗った瞬間

ウォルターの本当の冒険が始まる。


夢想しているだけの虚しい人生とはオサラバだ。


北極海にへりから飛び込み、サメに襲われ

火山の噴火から命からがら逃げて

ショーンを探しに、アフガニスタンの奥地に入る。



この映画の脚本の特に好きなところは

ストーリーの端々に出てくる

出会い系サイトの担当者とのやりとり。


これがなんともいえずいいんだ。


ウォルターが探していたのは

No.25のネガだけではないってことに気がつく。


もっと、大事な人生の”何か”だ。


多くの人はそれに気がつかずに人生を終えるかも知れない。

インターネットの中には真実はない。

テレビを見て気を紛らわすだけの日々になんの意味があるのか?


人生は謎に満ちて、
その謎を探す冒険に出た者だけが
その真実を知る。

”なんだか判らない写真”が実は
自分の身近にあるものだった
ってところも、この映画の脚本の憎いところだ。


そして、ウォルターが命がけで探した

「LIFE」の最終号の表紙を飾った

No.25の写真が胸を打つ。




世界を見よう

危険でも立ち向かおう

壁の裏側を覗こう

もっと近づこう

もっとお互いを知ろう

そして感じよう

それが人生の目的だから






  

Posted by アイスH at 00:59Comments(0)☆☆☆☆☆レビュー

2014年01月23日

『ゼロ・グラビティ』レビュー

『ゼロ・グラビティ』
原題 GRAVITY
製作年  2013年
製作国  アメリカ
配給 ワーナーブラザーズ
上映時間 91分
上映方式 2D/3D

<スタッフ>
監督 アルフォンソ・キュアロン

<キャスト>
サンドラ・ブロック
ジョージ・クルーニー

レビュー☆☆☆☆☆

『ゼロ・グラビティ』は10年に1度の革新的な映画だ。


『マトリックス』以降、CGでどんな映像表現も可能となり

滅多な事では驚かなくなったが

『ゼロ・グラビティ』には度肝を抜かれた。


一体どうやって撮ってるんだ!?(@_@;)

あまりの衝撃に2Dと3Dの両方で2回観た。

圧倒的な地球の美しさと荘厳な宇宙の闇。

宇宙空間に放り出された人間のちっぽけな存在


登場人物は、サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニー
演じる二人の宇宙飛行士のみ。

交わされる会話ひとつひとつに重みがある。

サンドラ・ブロック演じるライアン博士が言う
『娘は4歳の時に死んだ』
それから、毎朝起きては、仕事に行く繰り返しだと。。。


『ザ・ムーン』というアポロ計画で月へ向かった
10人の宇宙飛行士たちが当時の体験を語る
ドキュメンタリー映画の中で
ある宇宙飛行士が語った
言葉が忘れなれない。

ある日、彼は宇宙から帰還後
家族とショッピングに出かけた。

彼はショッピングモールの中で
行き交う人々を眺めていたら
言葉では言い表せないような
幸福感を感じたのだという。

何気ない、なんでもない日常が
奇跡のように感じられたのだと。

この世界は奇跡の塊のようなものだ。

凍える宇宙船の中で
自分の死を覚悟した彼女が
言葉の通じない、どこかの国の名も知れない男と
無線でやりとりするシーンは圧巻だ。

犬の鳴き声や赤ん坊の声 
一度も聞いた事のない子守唄。

宇宙のたったひとり取り残された彼女にとって
それら、すべてが奇跡の塊のようなものだ。

『ゼロ・グラビティ』を見た人にしか解らない
奇跡はコチラ⇒http://www.youtube.com/watch?v=0zcYkuIzzy8




  

Posted by アイスH at 23:30Comments(0)☆☆☆☆☆レビュー

2013年12月16日

『悪の法則』レビュー

『悪の法則』
原題 The Counselor
製作年  2013年
製作国  アメリカ
配給 20世紀フォックス映画
上映時間 118分
上映方式 2D

<スタッフ>
監督 リドリー・スコット
原作/脚本 コーマック・マッカーシー

<キャスト>
マイケル・ファスベンダー
ペネロペ・クルス
キャメロン・ディアス
ハビエル・バルデム
ブラッド・ピット

レビュー☆☆☆☆

本物の悪には決して近づくな!

『オレはワルだぜ!』と言わんばかりに、
意気がっているのような、姑息な悪人は
すぐに見分けがつくが、
本物の悪は、簡単には見分けが付かない。

むしろ、善人にも見えたりするから厄介なんだ。

そう簡単に見分けられる訳ではないが
本当の悪は、どんなに人の好い笑顔で
近づいて来ても、決して目が笑っていない。

何かに退屈し切った、恐ろしく冷たい目をしている。

本物の悪は、
食物連鎖の頂点にいる肉食獣のように
退屈しのぎに、弄ぶ獲物を絶えず探すような
醒めきった目をしている。

オイラは、そんなぞっとするような
目をした悪女と何回か遭遇したことがある。

映画『悪の法則』のキャメロン・ディアス演じる
2頭のチーターを放し飼いにしている
美女マルキナを観て思い出した。

+ーーーーーーーーーーーーーーーーーー+

十数年前、結婚して直ぐにオイラは嫁と
マレーシアのクアラルンプールから
国内線で1時間程の島のリゾートにホテル
1週間ほど滞在していた。

昼間は、ダイビングをしたり、
プールサイドで昼寝をしたりして
すっかりリラックスして、最終日の夜、
夕食後、軽くカクテルでも飲もうということになった

バーラウンジに行くと、仄暗い照明の下で
東洋人と白人のハーフの女性シンガーが
長髪の男のギターリストの演奏をバックに
ボサノバを歌っていた。

オイラと嫁がバーに入るとそのハーフの女が
歌いながら嫁に軽く手を振った。

オイラは、さほど気にとめずに
カクテルをオーダーして嫁と話をしていると
いつの間にか、隣のテーブルに
ハーフのシンガーの女とロンゲのギターリストが
出番を終えて、酒を飲んでいた。

彼女は、なんとなく嫁の方を見ながら
ギターリストの男とは無言で酒を飲んでいた。

しばらくすると、彼女が嫁に英語で何か話しかけてきた。

嫁は彼女と笑顔で二言、三言話をした。

オイラは気になって嫁に聞いてみると
『「これからパーティーをするから部屋に遊びに来ない?」って誘われたの』
『なんて答えたの?』
『残念だけど、ハネムーンで来ているのって言ったら、「楽しいから行こう」って』

オイラは、ゾッと悪寒のようなものを感じた。

『こいつは本物のワルだ』

確信に近い推測でしかないが、この女はレズビアンだ。

そして、彼女は狙った獲物を”落とす”絶対的な自信を持っている。

女は、オイラを一度もチラリとも見もしなかった。

彼女にとって、ハネムーンで一緒に来ている
夫であるオイラの存在なぞは、まるで透明人間のように
視界にすら入らない程の、取るに足らないものでしかないのだ。

彼女は、しばらく退屈そうに、ギターリストの男と酒を飲んでから
席を立って、嫁に笑顔で挨拶してバーを出て行った。



映画『悪の法則』で、キャメロン・ディアス演じる悪女マルキナとって
フィアンセのローラ(ペネロペ・クルス)の為に
警告を無視して悪に手を染める
弁護士のカウンセラーを追いつめることは
チーターがウサギを狩るのを見るのと同じように、
退屈さから逃れるためのゲームのようなものでしかない。


南の島のリゾートホテルのバーで会った
シンガーの女は、悪女マルキナと同じような
退屈そうな冷たい目をしていた。

この映画の弁護士カウンセラーは
ほんのできごころで、決して後戻りのできない世界に
足を踏み入れてしまった。

数々の忠告を無視して。。

もし、嫁が彼女の誘いにのっていたら...

本物の悪には決して近づくな!

  

Posted by アイスH at 01:02Comments(0)☆☆☆☆レビュー

2013年11月01日

なぜ誰も止めなかったのか? 松本人志 『R100』レビュー

『R100』
製作年 2013年
製作国 日本
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 100分

上映方式 2D

<スタッフ>
監督 松本人志
プロデューサー 竹本夏絵、小西啓介
共同プロデューサー 奥山和由
製作総指揮 白岩久弥

<キャスト>
大森南朋
大地真央
寺島しのぶ
片桐はいり
冨永愛
前田吟
渡部篤
YOU

レビュー:金返せ!(`Д´) !


松本人志監督作品  『R100』があっと言う間に
打ち切りになるというので、最終日の
朝8時半上映の回に観に行った。

観客はオイラを含めて二人( ̄ε ̄)

オイラは、最近、色んな事がありすぎて
精神的に落ち込んでいたが、
松本人志最新作大コケとか
散々、ネットで叩かれているので
見ない訳にはいかない。

でも、上映開始20分でメチャクチャ後悔した。

精神的に落ち込んでいるのに
朝の8時半から、ワザワザ観る映画じゃないよ。

なんだこれは?
不条理ではあるが、ただ、ただ、不気味で気持ち悪い。

コメディーでは、もちろんないし
人間の心の闇を表現しているにしては
あまりにも稚拙だし、吐き気をするほど
つまらなく、意図も不明なストーリーが延々と続く。

テーマがSMとはハッキリわかるが
SMプレイを延々と朝の8時半から見せられるのは
正直つらい(@_@;)

この映画を観ること自体がSMプレイなのか!?ヾ( ̄o ̄;)オイオイ

松本監督は、なにやらメタファーらしきものを
散りばめているつもりかも知れないが
そんなものは、もはやどうでもよく
ただ、ただ、下劣で不気味で
凶悪につまらない映画は
まさに拷問であった(>_<)

もう、ツッコミを入れる気力もない。

久々に『金返せ!』と言いたくなる映画だった。

オイ!!誰か止めてやれよ!
大金を掛けて、映画撮らせた奴らに呆れるよ。

いくら、ネームバリューで集客はできたとしても
もっと、ましな映画撮れる奴は、その辺に
ゴロゴロいるだろう!


しかし、ひとつ( ̄ー ̄)ニヤリとしたシーンがあった。

それは、映画の途中で、突然、このとてつもなく
つまらない話は、実は100歳の大監督の最後の作品で
それを映画の試写室で観ているという設定になるのだ(;´д`)トホホ…

その試写会の途中で評論家たちが
『あ〜無理。なんだよ、この映画』と
散々こき下ろすシーンがある。

まさに、リアルでこの映画を観ている観客の気持ちを
そのまま、映画の中で代弁しているではないか( ´⊿`)y-~~

しかも、評論家たちの批判に
助監督の男が
『それは監督の意図は◯◯でして』
とか、映画の中で言い訳しているではないか。

なに?それ?
自分の映画の中で、言い訳するな!

しかし、
あ〜これの映画自体が、ドM松本監督の
観客と制作会社を巻き込んだ
壮大なSMプレイなのだなと
思わず( ̄ー ̄)ニヤリ

つーか、俺の貴重な時間と金返せ!! ヽ(`Д´)ノ

  
タグ :R100


Posted by アイスH at 22:06Comments(0)金返せ!(;´Д`)

2013年06月16日

『オブリビオン』レビュー

『オブリビオン』
原題 OBLIVION
製作年 2013年
製作国 アメリカ
配給 東宝東和
上映時間 124分

上映方式 2D

<スタッフ>
監督 ジョセフ・コシンスキー
製作総指揮 デイヴ・モリソン 、ジェシー・バーガー 、ジャスティン・スプリンガー
原作ジョセフ・コシンスキー
脚本カール・ガイダシェク 、マイケル・デブライン

<キャスト>
トム・クルーズ
オルガ・キュリレンコ
モーガン・フリーマン
アンドレア・ライズブロー
ニコライ・コスター=ワルドウ
メリッサ・レオ

レビュー☆☆☆☆

時々奇妙な夢をみる。

夢の中でオイラは、見知らぬ街にいる。

その街は、どこか故郷の街にも似ているが、

一度も訪れたこともない街だ。

でも、そこには夢の中にしかいない昔からの友達がいて

夢の中にしかない生活がある。

夢の中のその街はいつも夜だ。

海辺の対岸に別の街の光がぼんやりと見える。

夢の中の出来事は、特に何かが起きる訳ではないが

朝、目覚めた後、ぼーっとしながら、

『また、あの街の夢。。。』かと思う。


夢の記憶の中にあるその街にオイラは何度も訪れている。



最近の脳科学の研究の結果、

人間の記憶というのは、脳の中に格納された断片的な記憶を

脳が勝手に再構築して実際の出来事とは違うストーリーを

創り出しているらしいことが判って来た。


オイラの夢の中の街も、オイラの経験や記憶を脳が勝手に

再構築しているだけかもしれない。

でも、夢で見る夜の街は確実にオイラの夢の中に存在する街だ。




2077年の地球の空には、エイリアンの攻撃で壊滅された月が浮かんでいる。

ジャック(トム・クルーズ)は、妻ヴィクトリアと共に、

高度1000mの上空のガラス張りの基地に暮らして

地球を監視する任務をしている。

ジャックはいつも奇妙な夢みる。

夢には必ず見知らぬ女が現れる。

心の奥底に何か澱のような、ぼんやりとした感情に襲われるが

それが何なのか彼には判らない。

ジャックも妻も、任務の前に記憶を消されている。

あと2週間の任務が完了すれば、土星の衛生に移住できることになっている。


任務の期限が近づいたある日、地上に宇宙船が墜落する。

墜落現場に調査に向かったジャックは、スリープポッドに眠る女を発見する。

彼女は時折、ジャックの夢に出てきた女だった。。。。。。


なんの予備知識も持たないで観た『オブリビオン』は結構楽しめた。

無機質で機能的な住居や、細部にこだわったデザインのパトロール機や

アクションは見応えがあった。

最後のストーリーの詰めがちょっと甘いのは歪めないが、

何も考えずに観るには、最高の映画だ。

予備知識がないほうが楽しめるので

面白いも、つまらないも今回は批評はなしということで、
悪しからず(´∀`)

おすすめ!☆☆☆☆


  

Posted by アイスH at 22:28Comments(0)☆☆☆☆レビュー

2012年10月20日

『アウトレイジ ビヨンド』レビュー

『アウトレイジ ビヨンド』
製作年 2012( 日本)112分
カテゴリー:バイオレンス、アクション、ヤクザ映画
スタッフ:
監督・脚本・編集: 北野武
プロデューサー: 森昌行、吉田喜多男
撮影: 柳島克己
映倫区分 R15+

キャスト:ビートたけし、西田敏行、三浦友和、加瀬亮、中野英雄、松重豊、小日向文世
     高橋克典、桐谷健太、新井浩文、塩見三省、中尾彬
レビュー(☆)

前作のアウトレイジのレビューでも書いたが、

オイラは映画監督 北野武の大ファンである。。。(-。-)

しかしながら、前作のアウトレイジのレビューでも、

散々”何のひねりもないヤクザ映画”と、こき下ろした映画の

続編である『アウトレイジ ビヨンド』は

”何のひねりもないヤクザ映画”をさらに陳腐なストーリーで

意外性のカケラもない駄作としか言いようがない。


(これは単に個人の意見です)←と書いてみたが、

オイラはプロの映画評論家でもなんでもないが、

プロの評論家は本当に大変だと思うよ( ̄‥ ̄) = =3


どんな駄作でも、本音でボロカスに書き過ぎると

試写会にも呼ばれなくなるどころか

仕事が来なくなってしまうからね。

誰も本気の評論なんてしていない(;´д`)トホホ…


日本映画で、しかも世界の北野作品ならなおさらだ。(ーー;)



オイラが思う北野作品の最大の魅力は、”省略”と”寡黙さ”だと思う。

初期の作品ではムダなシーンはすべて吹っ飛ばしてしまう心意気と

意味のない説明的なセリフなどない寡黙さが

作品全体に緊張感を与えていた。


寡黙なアウトローの男がジッと見つめる視点に、

観客は予期せぬバイオレンスや”死の匂い”を感じるのだ。


特に初期のバイオレンス3部作

『その男、凶暴につき』、『3-4X10月』、『ソナチネ』を観たことがある人なら

北野武の衰弱ぶりに絶望的にすらなってしまうと思う。


生活がかかっているプロの評論家たちは、

前作に比べてストーリー性があるだとか、役者がいいとか

無理やりほめているけど、誰かハッキリ言ってやれよ。

北野武には、もう暴力映画なんか無理だと(≧∀≦)



『バカヤロー(#`Д´)』『テメー ( ̄□ ̄メ)コノヤロー』とか

いくら喚いても、そんなモノは暴力でもなんでもない。

大体いまどき、あんなに簡単にバンバン人殺すヤクザなんていないし。。。


唯一前作で興味深いキャラクターだった加瀬亮演じるインテリヤクザも

急にIQが下がって、『テメー!ブッコロスぞΣ(`□´ ;)!!』って

キャンキャン吠える頭の悪い人になってるし(笑)


特にダメなのが、小日向文世演じる刑事が”狂言回し”になって

西と東のヤクザを操って無理やり抗争を起こして、

予定調和的にヤクザが大量に殺される

何のひねりもないストーリーだ。

いくらなんでも、みんな頭悪過ぎだろー( ̄□ ̄;!!


セリフも映像も説明的で、初期の作品の斬新さなど影も形もない。

と、また、散々こきおろしてしまったが、

北野武ももう歳なんだから、滑舌も悪くなって

凄みがなくなるのは仕方ないよなあ。。。(-。-)


もし、次にヤクザ映画を撮るなら

↓この原作でやってもらいたいよ。

ジジゴク(1) (アクションコミックス)

新品価格
¥690から
(2012/10/20 14:27時点)




この『ジジゴク』は、70、80を越えた現役の老人ヤクザもんの日常を描いた

ヤクザ社会の高齢化をテーマにした最高に笑えてシニカルな話が満載のマンガだ。


無理やり暴力映画作ろうとするより、

ピッタリな話だと思うけどなあ(○ ̄∀ ̄)ノ

アウトレイジ ビヨンド  映画パンフレット 監督 北野武 キャスト ビートたけし、西田敏行、三浦友和、加瀬亮、中野英雄、松重豊、小日向文世

新品価格
¥1,400から
(2012/10/20 15:27時点)


  

Posted by アイスH at 14:37Comments(0)☆レビュー

2012年09月16日

『アベンジャーズ』レビュー

『アベンジャーズ』
原題 Marvel's The Avengers
製作年 2012年
製作国 アメリカ
配給 ディズニー
上映時間 144分
映倫区分 G
上映方式 2D/3D

<スタッフ>
監督ジョス・ウェドン
製作ケビン・フェイグ
製作総指揮アラン・ファイン アビ・アラド ジョン・ファブロー

<キャスト>
ロバート・ダウニー・Jr.
クリス・エバンス
マーク・ラファロ
クリス・ヘムズワース
スカーレット・ヨハンソン

レビュー☆☆

『アベンジャーズ』3D日本語吹き替え版を嫁と息子と3人で観に行った。

昭和生まれでテレビっ子のオイラは、
70年代のアメリカのアニメーションを
結構熱心に見ていた。

フィリックスとかロードランナーとコヨーテとか
怪力アント、キングコング、アボットとコステロ、スーパーマン
ウッドペッカー、スパーダーマン、バットマン、マイティマウス
などなど。

当時は日本のアニメもその何十倍も見ていたけど、
アメコミのアニメはなんだか判らないおもしろさがあった。

今考えるとキャラクターの独自性かな。

フィリックスなんかは、面白いギャグがあるわけでもなく、
スーパーヒーローでもないネコがすったもんだして
毎回、最後に腹を抱えて大笑いするのがオチだったりして
その辺がなんとも言えないホノボノ感があった。

日本の片隅の田舎の住んでいた割には、アメコミをアニメーションを
見まくっていたオイラだが、なぜか超人ハルクや
アイアンマン、キャプテンアメリカを観た事はなかった。

ハルクとアイアンマンは実写映画で初めてその存在を知ったんだけど
子供の頃にアニメやマンガで見ていたら
今回の『アベンジャーズ』の思入れも違っていたんだろうね(○ ̄∀ ̄)ノ


『アベンジャーズ』は何が凄いんだか、凄くないんだか判らないけど
とにかくアメリカのヒーローが結集した映画だ。

もし『虎ノ門』で井筒監督が自腹で観たら
「こんな子供の映画を俺に見せるな!!」と
すごまれるのが必至の内容なのだが
そこが子どもには、たまらなく。゚+.σ(・∀・)゚+.゚カッコイイ!!のだ。

うちの嫁の感想は「ゴージャスで面白い!」
って大満足だったらしい。

オイラは、とにかく
『ハルク強ぇ〜っ!!( ̄□ ̄;!!』

『アイアンマンカコイイ—゚.+:。ヾ(≧▽≦)ノ゙☆゚・*:。.:—ッ!!』
って言うくらいで
他のキャラクターが良く解らなくて
イマイチ乗れなかった。

まあ、ファミリーやデートムービーとしてなら
5つ☆かも知れない。

実は続編の『アベンジャーズ2』制作も決まっていて
公開予定は2015年5月1日だって(○ ̄∀ ̄)ノ


さらに『アベンジャーズ』の各キャラクターの主演作も公開予定

・『アイアンマン3』が2013年5月公開予定
・『ソー:ザ・ダーク・ワールド』が2013年11月公開予定
・『キャプテン・アメリカ:ザ・ウィンター・ソルジャー』が2014年4月公開予定
・『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』が2014年8月に公開予定

もうこれ聞いただけでお腹いっぱい(* ̄3 ̄)=3 げぷぅ

『アベンジャーズ2』には是非とも
スパーダーマンとバットマンとグリーンホーネットも
参加させて欲しいね( ̄∀ ̄)


  

Posted by アイスH at 11:55Comments(0)☆☆レビュー

2012年09月09日

『ダークナイト ライジング』レビュー

『ダークナイト ライジング』
原題 The Dark Knight Rises
製作年 2012年
製作国 アメリカ
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 165分
映倫区分 G

<スタッフ>
監督クリストファー・ノーラン
製作エマ・トーマス
クリストファー・ノーラン
チャールズ・ローベン
製作総指揮ベンジャミン・メルニカー

<キャスト>
クリスチャン・ベール
マイケル・ケイン
ゲイリー・オールドマン
アン・ハサウェイ
トム・ハーディ

レビュー(☆☆☆☆)

『ダークナイト ライジング』は、もちろんアメコミのヒーローものの

バットマンの映画ではあるが、バットマンではない。


(゚Д゚)ハァ?
一体なにいってるの?(@_@)


前作の『ダークナイト』でクリストファー・ノーランは

バットマンというアメコミのヒーローものの範疇を見事に越え、

人間の心の奥底にある、恐怖、不安、弱さ、憎しみ、醜さを剥き出しにした。


今回の『ダークナイト ライジング』では、さらにそんな要素が強められ

秘密兵器を搭載したバットモービルで飛び回り悪を懲らしめるはずの

正義のヒーローであるバットマンも、自己の弱さを見つめ深く内省する

いわば”修行”のような場面に映画の大半の時間が費やされる。


今回の敵のベインとの戦いも、お互いにアメコミ的な武器など一切使わず

ただの殴り合い( ̄□ ̄)

コノヤロ! o(#-`Д-)=○)>д<).。ぐはぁっ!
ウルァッ! (((((;`Д´)≡⊃)`Д)、;'.・

このベインっていう男がまた、強いのなんのって(≧∀≦)


お坊ちゃん育ちの大富豪ブルース・ウェインこと
バットマン(クリスチャン・ベイル)とは”芯”の強さが違い過ぎる。


ベインは本当の絶望というものを知っている。

ベインの強さは、巨大な塊のような憎しみであり、怒りである。

バットマンとベインとでは”芯”の強さの質が違うのだ。

そしてベインに徹底的に叩きのめされたバットマンは
奴がかつていた絶望に突き落とされる。


バットマンとスパーダーマンは誰にも頼まれた訳でもないのに
身を削って悪に立ち向かう共通点があるが、
バットマンにはスパーダーマンのような超人的な力を持っていない。

生身の体で、もう一度立ち上がり、自らの限界を越えるしかないのだ。



クリストファー・ノーランが手がけるバットマンシリーズの
3部作の完結編の『ダークナイト ライジング』は”寡黙”な作品だ。

”見せ物”的なムダな爆破シーンや意味のない
ど派手なアクションなど一切ない。


怒りや憎しみや恐怖などのネガティブで強い感情は、

抑制の効いた演出でコントロールされ

行き場をなくしたエネルギーは内側にドンドン溜まって

さらに増幅され巨大な力となる。

まるで核爆弾のように。


どうしても完成度の高い前作との比較をしたくなるし

なにか物足りなさを感じるが

今回の『ダークナイト ライジング』は

シリーズ最終章に相応しい終わり方だったように思う。




  

Posted by アイスH at 12:51Comments(0)☆☆☆☆レビュー

2012年09月02日

『凍える太陽』レビュー

『凍える太陽』
原題:THE GREY
製作年: 2012年
製作国: アメリカ
日本公開:2012年8月18日
上映時間:1時間57分

<スタッフ>
監督・脚本: ジョー・カーナハン
製作: トニー・スコット / リドリー・スコット
撮影: マサノブ・タカヤナギ
原作: イーアン・マッケンジー・ジェファーズ

<キャスト>
リーアム・ニーソン
ダーモット・マローニー
ジェームズ・バッジ・デール
フランク・グリロ
ダラス・ロバーツ
ジョー・アンダーソン
ノンソー・アノジー
ベン・ブレイ



レビュー(☆☆☆☆)

リーアム・ニーソン主演の『凍える太陽』は”男”の映画だった。

オイラはいつものとおり『リーアム・ニーソン主演映画にハズレなし!』

と言いたいところだが今回の『凍える太陽』は、

ちょっと微妙かな( ̄^ ̄;)ウーン



もちろん、主演のリーアム・ニーソンがかもし出す男の中の男!

っていう雰囲気は最高なんだけど、

オオカミがしつこい過ぎる(笑)

オオカミ怖!(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル…


ストーリーは、

オットウェイ(リーアム・ニーソン)の仕事は、極寒地で石油発掘調査隊を襲おうとする

オオカミを狙撃する石油発掘会社に雇われたスナイパー。

彼は愛する女を失い、人生に何の意味も見いだせずにいた。


ある日、石油掘削現場で勤務する男たちを乗せ、

アラスカのツンドラ地帯を飛んでいた飛行機が墜落。

オットウェイ(リーアム・ニーソン)ら、

7人の男が生き残るが、そこは周囲がすべて雪に覆われる極寒の地。

生き残った彼らを、オオカミの群れが容赦なく襲う。



この映画は単純なサバイバル映画ではない。

自らの生と死を深くみつめる映画である。



ある者は、一瞬に命を奪われ、ある者は幸運にも生き残った。

しかし、生き残った者たちには更に過酷な試練が待ち受ける。


人はなぜ生きているのか?

それとも、生かされているのか?

それは何のタメなのか?

そもそも生きる理由など存在するのか?


少なくとも飛行機が墜落する前には、

オットウェイには、生きる理由などひとつもなかった。

最愛の人を失い、彼の人生は何もなかった。

完全に空っぽ。。。。(-_-)


しかし、”何”かが彼に命令する。

『戦え』

と。。。。。


誰の心の中にも、大切な人が生き続ける。


映画の後半、死んで行った無骨な男達の財布の中から

彼らの大切な人の写真を取り出すシーンに心打たれる。


人は死の直前、精一杯生きなかったことを悔いる。

勝ち負けなどは、重要ではない。

どれほど懸命に生きたのかが重要なのだ。


寡黙なリーアム・ニーソンの鋭い眼光が

そうオイラに語りかける。
  

Posted by アイスH at 11:57Comments(0)☆☆☆☆レビュー

2012年09月01日

『トータル・リコール』レビュー

『トータル・リコール』
原題 Total Recall
製作年 2012年
製作国 アメリカ
上映時間 118分
映倫区分 G

<スタッフ>
監督 レン・ワイズマン
原作 フィリップ・K・ディック

<キャスト>
コリン・ファレル
ケイト・ベッキンセール
ジェシカ・ビール
ブライアン・クランストン
ボキーム・ウッドバイン

レビュー(☆☆)


1990年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で映画化された

「トータル・リコール(1990)」を22年振りにリメイクした

「トータル・リコール(2012)」を観た。


当然、22年前のシュワちゃんの方は観ているので、

ストーリーも知っているが、予告編を観たら

何か新しい”味付け”がされているような気がして

ちょっと期待していたのだが、その期待も

作品のほぼ前半であっさりと裏切られてしまう。


今回のリメイクは基本的なプロットは同じようだが、

設定も映画の”仕掛け”も全くの別物だ。



映像的には、今回の「トータル・リコール」は

『ブレイドランナー』的な荒廃した近未来を見せてくれるが

退屈なカーチェイスとか延々と見せられ、

とにかく、元鬼嫁がしつこいのなんのって|д´)チラッ

正直、SFモノのワクワク感がまったくと言っていい程ない。


いったい、何を狙ってリメイクしたのか理解に苦しむ。 ( ̄‥ ̄) = =3

ハリウッドは、余程ネタがないのかねえ。。。


「トータル・リコール(1990)」の

『大根役者シュワちゃんの方が味があっていいぜ』

なんて言ってると、ジジイくさいが、

この映画の見どころは一体どこなんだろうね。。。(-。-)コホン




  

Posted by アイスH at 12:00Comments(0)☆☆レビュー

2012年08月26日

『プロメテウス』レビュー

『プロメテウス』
原題 Prometheus
製作年 2012年
製作国 アメリカ
上映時間 124分
映倫区分 PG12
上映方式 2D/3D

<スタッフ>
監督/製作 リドリー・スコット
脚本 ジョン・スパイツ/デイモン・リンデロフ
撮影 ダリウス・ウォルスキー

<キャスト>
ノオミ・ラパス
マイケル・ファスベンダー
ガイ・ピアース
イドリス・エルバ
ローガン・マーシャル

レビュー(☆☆☆☆)


「エイリアン」「ブレードランナー」の巨匠リドリー・スコットの

SF大作『プロメテウス』を2Dで観た。

『プロメテウス』は、リドリー・スコット初の3Dだそうだが、

先日観た『アメイジング・スパイダーマン』で3Dには

もう食傷ぎみのオイラにとって『プロメテウス』は

2Dでも十分に面白かった。


ストーリーは、地球上の古代遺跡で発見された人類の起源にかかわる

重大な手がかりをもとに、謎を解明するため科学者チームが

宇宙船プロメテウス号に乗り、未知の惑星を訪れる。


そこには、我々人類の創造主がいた............

っていう話だが、

スタンリー・キューブリックが撮ったら哲学的な内容になったはずのテーマだが、

リドリー・スコットの手に掛かると、人類が神と呼んでいる創造主でさえ

笑っちゃうくらい軽々しい存在に描かれ、

熱心なキリスト信者には決して観せられないような話で、

やっぱりその辺が良くも悪くも『エイリアン』の

リドリー・スコットだよね(≧∀≦)

って、映画だ。


なぜなら人類の起源の探求というテーマにも関わらず、

この映画の登場人物すべてが軽いんだよね(ё_ё)


2年以上もコールドスリープで何億キロもの彼方の惑星に

創造主に会いに行った科学者たちは人類の代表であるはずなのだが

この映画のシナリオは、あまりにも彼らを通俗的なキャラクターで

軽薄な行動を取らせる。

つまり、ツッコミどころ満載のストーリーなのだ(笑)


例えば、惑星に到着して変な洞窟に探査に行った時に

「酸素はあるよ」とか言って

いきなり宇宙服のヘルメットは脱ぐし(; ̄ω ̄)ノ オイオイ…

変な見たこともないヘビみないな未知の生物と接触しても

「こっちにおいで」とか言って、襲われて「ギャー!痛てー」とか

とんでもないことになっちゃうしヾ(-_-*) オイオイ

オイラは思わず『おまえら本当に人類の代表で行っている自覚あるの?』と

何度もツッコミを入れたくなってしまったよ。( ̄‥ ̄) = =3


しかも、通俗的なキャラクター設定は

人類の創造主である”エンジニア”にも容赦なく適用され

何億キロの旅をして、わざわざ会いに行ったにも関わらず

(#゚Д゚)凸ゴルァ!!って感じで無下に扱われるし、

結局”エンジニア”が何のために人類に創造したのかも

判らずじまいで、『2001年宇宙の旅』的な深淵なテーマを

期待していたオイラは、ちょっとガッカリ Σ┌(_∀_;)┐ ギャフンッ!


まあ、「エイリアン」のリドリー・スコットが

そんな映画を撮るわけないか(○ ̄∀ ̄)ノ


そんなツッコミどころ満載の映画だが、

巨匠リドリー・スコットの久々のSF大作は

最近のおこちゃまSFに辟易していたオイラには

十分に楽しめる映画だった。


最後のシーンで、ウッ(; ̄д ̄A …そういうことか。。。

って妙に納得しちゃったけど( ̄∀ ̄)

続編も制作予定だそうで、そっちも今から楽しみ!

オススメです!!





  

Posted by アイスH at 11:44Comments(0)☆☆☆☆レビュー

2012年07月15日

『アメイジング・スパイダーマン』レビュー

『アメイジング・スパイダーマン』
原題 The Amazing Spider-Man
製作年 2012年
製作国 アメリカ
上映時間 136分
映倫区分 G
上映方式 2D/3D

監督 マーク・ウェブ
原作 スタン・リー
スティーブ・ディッコ
脚本 ジェームズ・バンダービルト

キャスト
アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、リス・エバンス、デニス・リアリー 、キャンベル・スコット
レビュー(☆☆)

『アメイジング・スパイダーマン』は、どう考えても

サム・ライミ版のスパーダーマンを越える事はないし、

旧作に比べて何も新しい視点も意外性もない作品だった。


しかも、今回のスパイダーマンのクモの糸は、

ピーター・パーカーが発明した変な装置から出るし、

サム・ライミ版の第2作目が最高傑作と思っているオイラには

『なんだ( ̄_J ̄)。。。これ!?』

って、感じだった。


オイラが求めるヒーローは、

内気で平凡な主人公が特殊な力を手に入れ

誰にも正体を知られず、孤独に苛まれながら

悪と戦うカッコ良さなのだ。


主演のアンドリュー・ガーフィールドも、それなりには見えるが

サム・ライミ版のトビー・マグワイアの方がやはり

しっくりとくるなあ。。。(-。-)


映像的にはそれなりに楽しめるが、

サム・ライミ版の第2作目がベストのオイラには

今回の『アメイジング・スパイダーマン』は、

見る価値のない映画だった。


でも、そんなこだわりのない人には、結構楽しめる作品だと思う。



↓オススメはこっちのほうだけどね(○ ̄∀ ̄)ノ


  

Posted by アイスH at 09:06Comments(0)☆☆レビュー

2012年06月20日

『メン・イン・ブラック3』レビュー

『メン・イン・ブラック3』
原題:Men in Black III
製作国:2012年アメリカ
上映時間:105分
上映方式 : 2D/3D
映倫区分: G

監督 :バリー・ソネンフェルド
原作 ローウェル・カニンガム
脚本 イータン・コーエン
キャスト: ウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズ、ジョシュ・ブローリン、ジェマイン・クレメント、マイケル・スタールバーグ

レビュー(☆☆☆☆)

『メン・イン・ブラック3』3D吹き替え版を観た。

いつも思う事だけど、3Dの映画は吹き替えが楽でいいね。

吹き替えの声もバッチリ合っていたし、安心して観られる娯楽作品だった。


ストーリーは、かつてK(トミー・リー・ジョーンズ)が逮捕して

月面のルナマックス銀河系刑務所に投獄した凶悪なボグロダイト星人・ボリスが脱獄し、

タイムスリップして若き日のKを殺す。


Kが存在しない地球にボグロダイト星人が侵略を開始するが

J(ウィル・スミス)は、それを阻止する為に、過去にタイムスリップする。


ずいぶん前に、MIB1だか2の予告編を観て、面白そうだったから

本編を観に行ったら、予告編が以上の面白さはなくて、

なんか損をしたような気分になったことがあるが、

今回のMIB3は、J(ウィル・スミス)の生い立ちや

Kとの関係が明かされるというドラマもあり、決して奇抜なアイデアだけに

終わっていないところがいいね(・∀・)b


それと作品全体に、何気なくシニカルな笑いが散りばめられているところもいい。


ファクトリーのアンディー・ウオーホールが

『ネタがなくて、スープの缶の絵を書いている』

って言うのはには爆笑したが、笑っていたのは

オイラとうちの嫁だけだった(≧∀≦)

客の半分が小学生だったから、意味判んないよね。


お気軽な娯楽作品ながら、CGに頼っただけじゃない、

中身のある映画だった。


家族で楽しめます。

特に吹き替え版がおすすめ!!



  

Posted by アイスH at 23:54Comments(0)☆☆☆☆レビュー

2012年05月18日

『ファミリー・ツリー』レビュー

『ファミリー・ツリー』
原題 The Descendants
製作年 2011年
製作国 アメリカ
上映時間 115分
映倫区分 G

<スタッフ>
監督 アレクサンダー・ペイン
製作 アレクサンダー・ペイン/ジム・テイラー/ジム・バーク
原作 カウイ・ハート・ヘミングス
脚本 アレクサンダー・ペイン
ナット・ファクソン
ジム・ラッシュ
撮影 フェドン・パパマイケル

<キャスト>
ジョージ・クルーニー
シャイリーン・ウッドリー
アマラ・ミラー
ニック・クラウス
ボー・ブリッジス


レビュー(☆☆☆)


ジョージ・クルーニー主演でハワイで暮らすある家族に起こる出来事を描いた

第84回アカデミー賞で脚色賞を受賞した『ファミリー・ツリー』は、

「サイドウェイ」「アバウト・シュミット」のアレクサンダー・ペインの

監督作品とあって、ちょっと期待をして観た。


「サイドウェイ」「アバウト・シュミット」ともなんとも言えない

”味のある”作品だったが、『ファミリー・ツリー』も

オフビートな雰囲気でオイラの好きなタイプの映画だった。


ストーリーは

祖先の土地を受け継ぎ、ハワイで妻と2人の娘とともに暮らす

マット・キング(ジョージ・クルーニー)の妻のエリザベスが、

ある日、ボートの事故でこん睡状態に陥ってしまう。

さらに、エリザベスには不倫の相手がおり、

離婚まで考えていたことが発覚。

友人や長女もその事実を知っていたことにがく然。
ヽ(Θ゚Д゚)ノマジスカァァ


この映画は、大仕掛けな設定は一切ないが、

登場人物たちがいいね。


ジョージ・クルーニーが、昏睡状態の妻の不倫を知り

必死になってドタドタ走る様がなんともあわれで笑ってしまう。


家族のためにと、必死になって働いてきたと思っていたら

自分だけが”蚊帳の外”状態。

そりゃ、へこむわな。。。。凹(/_;)




あと、娘のボーイフレンドの男が”いい味”出してるね。

家族でもないのに、どこまでもくっついてきて

いつの間にか馴染んでいるのが面白い。


人生は、いつも予想外で自分の思惑通りにはいかない。

人はちっぽけで、ただ、周りの出来事に右往左往してるだけかもしれない。


でも、決して譲れないものや、本当に大切なものを見つけることができたら、

あとは何もいらない。

それに気がつけた人は幸せだ。

この映画の主人公マッドのようにね(○ ̄∀ ̄)ノ


  

Posted by アイスH at 10:00Comments(0)☆☆☆レビュー

2012年03月19日

『ドラゴン・タトゥーの女』レビュー

『ドラゴン・タトゥーの女』
原題:The Girl with the Dragon Tattoo
製作国:2011年アメリカ
上映時間:158分
映倫区分: R15+
監督: デビッド・フィンチャー
原作: スティーグ・ラーソン
脚本: スティーブン・ザイリアン
撮影: ジェフ・クローネンウェス
音楽: トレント・レズナー、アティカス・ロス

キャスト: ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、
ステラン・スカルスガルド、スティーブン・バーコフ、ロビン・ライト、他

レビュー(☆☆☆☆)


「セブン」「ソーシャル・ネットワーク」のデビッド・フィンチャー監督が

スティーグ・ラーソンの世界的ベストセラーを映画化したスウェーデン映画

「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」(2009)のリメイク、

ミステリーサスペンス『ドラゴン・タトゥーの女』を観た。


オープリングのツェッペリンの「移民の歌」をトレント・レズナーが

カバーしたバージョンをGBMにタイトルバックのCGが超クール!!

まったく予備知識もなしに観たので、オドロオドロしい

タイトルバックに、期待が盛り上がる。


ストーリーは、経済誌「ミレニアム」の代表で

経済ジャーナリストのミカエル(ダニエル・クレイグ)が、

資産家のヘンリック・バンゲルから40年前に起こった

彼の孫娘ハリエットの失踪事件の真相追究を依頼されことで始まる。


北欧の吹雪の極寒の風景は、何か得体の知れないようか不安みたいなものを

表現するのには、これ以上のものはないと思わせる程、この映画に雰囲気にマッチして

デビッド・フィンチャー監督がスエーデンロケにこだわった理由が良く解る。


タイトルの『ドラゴン・タトゥーの女』とは、

ミカエルが、調査の為に雇った、背中にドラゴンのタトゥを入れた

天才ハッカーのリスベット(ルーニー・マーラ)の事なのだが、

映画の中盤までは、事件の真相とは全く無関係なリスベットの

悲惨な生活が描かれ、しかも、資産家のヘンリック一家の複雑な人間関係に

ストーリー展開のモタツキのような焦れったさを感じたが、

ミカエルとリスベットが出会って、調査を協力しだしてから

物語のスピードは増して行く。


そしてこの映画は突然に、まどろっこしい謎解きにアッサリと終止符をうつ。


それはミカエルとリスベットが一人の少女の失踪事件を追ううちに、

各地で起こった凄惨で猟奇的な少女殺人事件との因果関係が解き明かされる瞬間でもある。


ここからがデビッド・フィンチャーの真骨頂というか、

突然、現れた真犯人の"凄み"に観客は驚愕する。

観客を低能扱いしたドンデン返しの意外性だけの展開ではない。


ミカエルの絶望に、慈悲の目で哀れんでさえするその真犯人の

冷静で冷淡で、底のない闇に背筋が凍るような”凄み”があるのだ。

本物の悪とは、こういうものだ。


少し前に観た映画で、レビューを書く気にもなれなかった園 子温監督の

『冷たい熱帯魚』ででんでんが演じ作り物の悪とは

天と地との差ほど、悪の凄みが違うのだ。

(アホな評論家がスゲーって絶賛してたけどね。。(;´д`)トホホ…)


話を戻そう。


全身ピアスで全身タトゥーのリスベットには、なかなか共感しがたいが、

彼女のプロフェッショナルな仕事ぶりは、カッコ良過ぎるぜ(≧∀≦)


『ソーシャル・ネットワーク』で温いデビッド・フィンチャー作品に

ガッカリしたけど、『ファイトクラブ』以来の納得の一本と言える作品!





  


Posted by アイスH at 12:00Comments(0)☆☆☆☆レビュー

2012年02月04日

「ブルーマン」リピーターの感想

六本木のインボイス劇場に「ブルーマン」を観に行きました。

ブルーマンは今回で2回目なんだけど、

息子の誕生日に「バースデープレゼント何がいい?」って聞いたら

「プレゼントよりもブルーマンをもう一度観たい!!」

って言うんで、今回はポンチョ席をゲット!


「ブルーマン」とは、1980年代後半にニューヨークのストリートで生まれた

音楽、アート、笑いをミックスしたパフォーマンス。

六本木インボイス劇場は、世界初のブルーマン専用劇場だけあって

照明、舞台装置、音響も超〜CooL!!


特に、配管をつなげたような"不思議な楽器"が奏でるサウンドが
最高にカッコイイ!!( ≧▽≦)
あのgroove感にゾクゾク!!( ̄□ ̄)
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

息子もブルーマンのなんとも言えない無言の"間"に大爆笑!
((ノシ≧∀≦)ノシ_彡☆ バンバンッ!

ブルーマンは、パフォーマンス、光と影、アート、grooveが融合した
最高のエンターテイメントだ!!

しかも、100分間ノンストップで子供から大人まで
観客も一体になって楽しめるのが(・∀・)イイ!!ね。

特に今回は前から5列目のポンチョ席だったので迫力が違った(・∀・)b
ブルーマンの目ヂカラが半端ない!
全くまばたきをしないフルーマンに、ガン見(笑)されます(@_@)

そんなブルーマンも2012年3月31日で千秋楽。

もう、観られなくなるのは残念。。。クスン…(/_<。).:゚+



ブルーマンの大ファンの息子は、ブルーマンがライブで実際に使った

ドラムスティックをおみやげに買ってきて、

『今年の夏休みの工作でブルーマンの(不思議な)楽器を作るんだ』と

今からハリキッてマシュマロを空中に放り投げて食べる練習をしている(笑)


息子よ。キミは一体何を目指しているんだい?( ̄‥ ̄) = =3


BLUE MANのデビューアルバム「Audio」を
Amazonで購入して聞いてみた。

このCDには、ライブで演奏する全ての楽曲が収録されていて
パーカッシブルなグルーブが超CooLな一枚。


合わせて、「ハウ・トゥ・ビー・ア・メガスター・ライヴ!〔CD+DVD〕 」も購入したが、
これを観て改めて思ったのが、六本木のインボイス劇場の公演が
いかに洗練されているかってことが解った。
つまり、日本のパフォーマンスは、面白さが凝縮されてムダがない。
[CD] ブルー・マン・グループ/ハウ・トゥ・ビー・ア・メガスター・ライヴ!(来日記念盤/CD+DVD)


↓更にコアなBLUE MANファンにはこちらもお勧め!


  


Posted by アイスH at 15:43Comments(0)エンターテイメント

2012年01月08日

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』レビュー

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
原題: Mission: Impossible – Ghost Protocol
製作国:2011年アメリカ
上映時間:132分
監督:ブラッド・バード
ジャンル:アクション
キャスト:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、ポーラ・パットン、サイモン・ペッグ、ジョシュ・ホロウェイ
ヴィング・レイムズ、レア・セドゥー 、トム・ウィルキンソン 、ミカエル・ニュークヴィスト、ウラジミール・マシコーフ
レビュー:☆☆☆☆


昔は良かったなどと言うつもりはないが、CGの登場以来

アクション映画はなんだかつまらなくなった。

と、いうよりも、どんなスゴいアクションシーンを見ても、

『どうせ、CGで作ってんだろ( ´⊿`)y-~~』と昭和生まれのオイラは

心のどこかで斜に構えて観ているからかもしれない。


その点、昭和37年生まれ(笑)のトム・クルーズは、アクション映画の肝(きも)って
いうものを解っているよ(○ ̄∀ ̄)ノ

例えCGで全く同じシーンが作れたとしても、スタントなしでドバイの超高層ホテルの壁を
変な吸盤のグローブを着けてよじ登る必要がある。

なぜなら、それがアクション映画のヒーローの責務だからだ( ̄□ ̄)

(実際は、CGでやるか実写でやるかの判断は、撮影コストの比較で決定されることが多い)


今回のm:iシリーズ最新作『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』の見所は、
そんな生身のアクションと、奇想天外のスパイギア(フェイクスクリーン、粘着グローブ etc..)と
娯楽大作の割には、ちゃんと説得力のあるプロットだ。

スパイアクション映画の金字塔といえば、「007シリーズ」や最近では「ボーンシリーズ」があるが、
前者は荒唐無稽な娯楽作品で、後者はリアルなストーリーとアクション(殺し屋との格闘シーンは特に凄い)が
特徴だけど、今回の『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』は、
その中間に位置する作品と言ったところか( ̄ε ̄)

それに、今回のストーリーの骨子は、
ロシアのクレムリンで爆破事件の容疑を掛けられた
イーサン・ハント(トム・クルーズ)とそのチームが孤立無縁で、
核ミサイルの発射システムを乗っ取り核戦争で人類の滅亡を夢見るマッドサイエンティストを
追いつめるというシンプルな構造で、所々( ̄ー+ ̄)ニヤリ…。とするような”仕掛け”があって
リラックスして楽しめるのがいいね(・∀・)b


『ミッション:インポッシブル』は、昭和の時代にテレビでやっていた
アメリカのスパイドラマ『スパイ大作戦』(笑)が元ネタで、
イーサンが本部の指令を公衆電話で聞いたあとに、
「なお、この指令は自動的に消滅する」っていうのは、
昔の『スパイ大作戦』そのまんまの設定で、
昭和生まれのオイラは、思わず( ̄ー+ ̄)ニヤリ…。








  


Posted by アイスH at 13:55☆☆☆☆レビュー

2011年08月22日

『ツリー・オブ・ライフ』レビュー

『ツリー・オブ・ライフ』
原題:The Tree of Life
製作国:2011年アメリカ
上映時間:138分
監督/脚本:テレンス・マリック
制作:サラ・グリーン、ビル・ポーラッド、ブラッド・ピット
撮影:エマニュエル・ルベツキ
映倫区分:G
キャスト:ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステイン

レビュー:☆☆☆☆

映画は、言葉では表現しきれない何かを映像で見せることができる。

それは、もちろん目に見えるものである。

しかし、優れた映像作家は目に見えない”何か”さえ、
映し出す”マジック”を持っている。

テレンス・マリックは、数少ないマジックを使える監督だ。

別に、勿体ぶって言っているわけではない。

その目に見えない”何か”とは、言葉にしてしまえば、とても陳腐で、
日常に埋もれ、見えなくなっているものかもしれないし、
実は誰もが身近に持っているありふれたものかもしれない。

テレンス・マリックが切取り、積み重ねた短いカットの
木漏れ日や風や虫の音、心のつぶやき、あきらめ、慈しみの中に
その目に見えない”何か”は、確実に存在する。

その”何か”とは、観る者によって違う意味を持つ。
いや、目に見えないものだから、感じるしかない。
この映画はそういう種類の映画だと思う。


主人公の中年の男(ショーン・ペン)の魂は彷徨っている。
自分の本当の居場所は、”ここ”ではない、どこかにあるのではないか
というような憂いを抱えて生きている。

ただし、そういったセリフはない。
オイラがそう感じただけだ。

男は、少年時代を回想する。


厳しかった父(ブラッド・ピット)。
優しく凛とした美しさを持った母(ジェシカ・チャステイン)。
そして、若くして死んでしまった弟。

これは、ある家族の平凡な物語のようで、実はそうではない。

ストーリーは、古い記憶のように断片的だ。

物語は、主に男の少年時代の視点で語られる。
しかし、この映画が一筋縄でないのは、もう一つの
もっと高いところからの俯瞰の視点、別の言い方をすれば神の視点のように、
ある家族の平凡な出来事を描きながら、もっと高い次元の本質を描こうとしているように感じる。


映画の序盤、突然、地球の誕生から生命の進化、
そして恐竜が登場し、隕石の衝突、小さな命の誕生と、
あまりに唐突な『2001年宇宙の旅』のような映像に
大抵の人は、混乱するかもしれない。

解釈は、いろいろあると思うが、この壮大な叙事詩のような映像がなければ、
ただの平凡な家族の回想の物語になってしまうとオイラは思う。
生命の進化への言及があるからこそ、何気なくやり過ごしてしまう
ちっぽけな家族の営みさえ、本当は奇跡的なことなのだと認識できる。

生命が誕生して、進化した人間が、時には憎しみあい、愛しあい、慈しみあったりするのは、
実はたった一瞬の奇跡のような出来事なのだ。



『ツリー・オブ・ライフ』のブラット・ピット演じる父親が、
赤ん坊の小さな足を見つめるシーンがある。

オイラも自分が人の親になるなどとは、想像すらしたことがなかったのに、
息子が生まれて、初めて息子を抱いた時、
あまりにも、小さな足と小さな手に、生命の畏敬を感じ、
『そうか、俺は人の親になったのだ』という思いに、胸が一杯になった。

1年前には、確実に存在していなかった命が、
そして、昨日まで嫁のお腹の中にいた生命が
オイラの腕の中で『オギャー』と泣いているのだ。

オイラは、生まれたばかり赤ん坊の、恐ろしいほどに澄んだ目を見て
『この世にはこれほど美しいものがあったのか』と驚愕した。

大げさではなく、人生観がガラリと音を立てて変わった瞬間だった。

あの瞬間から何気ない日常の中に
心を奪われる事ようなことが溢れていることに気がついた。

それは、夏の終わりの夕暮れの空の色だったり、
スーパーの駐車場で息子と手をつないで見上げた飛行機雲だったり、
とても、些細な出来事だ。
オイラは、特定の宗教は信じていないが、
何か言葉では表現できない様なものを感じて、
なんだか泣きたいような、せつない気分になった。

一瞬一瞬が流れ去り、あらゆるものが変化していく。

そして、若い頃、あれほど憎んでいた”ちっぽけな幸せ”に
『何事もやってみないと判らないものだな』と思える今日この頃(´。`)

『ツリー・オブ・ライフ』を観てそんな事を思い出した。
この映画は、難解な映画ではない。
ただ、感じればいいのだ。

と言いつつ、言葉にできないような”何か”を描いた映画と紹介したのに
グダグタと言葉を並べるのは、粋じゃねーな・・(┌(;_◇_)┐ ぎゃふん

頭でっかちな映画通ぶった奴らの解説は無視して、ただ、感じろ。
何も、感じなかったら、黙って寝ていろ(笑) ネム〜 ヘ( ´ρ`).。o○



  


Posted by アイスH at 12:00Comments(0)☆☆☆☆レビュー

2011年07月12日

”超B級映画”『スカイライン 征服』レビュー

『スカイライン 征服』
原題:Skyline
製作国:2010年アメリカ
上映時間:94分
映倫区分:PG12
監督:コリン・ストラウス、グレッグ・ストラウス
脚本:ジョシュア・コーデス、リアム・オドネル
撮影:マイケル・ワトソン

キャスト:エリック・バルフォー、スコッティ・トンプソン、ブリタニー・ダニエル、デビッド・ザヤス、ドナルド・フェイソン

レビュー(☆)


昔、”二番館”と呼ばれる映画館があった。
封切り館での公開が終わった作品を安い料金見る事ができる映画館のことで、
東京辺りだと名画座とも呼ばれる所で、今でも
”目黒シネマ”、”早稲田松竹”、”下高井戸シネマ”、”三軒茶屋シネマ”等があるが、
絶滅危惧種(@_@;)だ。


地方の映画館は、封切り館なんてものが無い場合が多く、公開からしばらくたった作品を
3本立てで上映していて、金がなくて暇を持て余していたオイラには、最高の場所だった。
(本当はそんなに暇だった訳ではないのに、1日中二番館で映画を観ていた(;´д`)トホホ…)


二番館の3本立てのプログラムの多くは、割とヒットした2本と、
なんだかよく解らないB級映画の組み合わせだった。

映画にA、B、Cなんてカテゴリーはないが、”B級映画”は確かにある。

”B級映画”のちゃんとした定義なんてものは無いが、
オイラが思う正しい(笑)”B級映画”は、

・キャストが無名の役者で
・低予算で
・ストーリーが薄っぺらで、
・必ずどうでもいいようなセリフを大げさにカッコつけて話す
ような映画だ(・∀・)b


”B級映画”とは、東京12チャンネルで、
平日の昼間にやっているような映画で
浪人生が予備校サボって、昼頃に起きて、シケモクを吸いながら
ボ〜〜( ̄。 ̄)〜〜ッと観るのにピッタリの映画だ。
(妙な表現だが、本当にこれ以上のシチュエーションはない)


”B級映画”が低予算のダメ映画なのかと言えば、そうでもない。

クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスが撮った、
『プラネット・テラー in グラインドハウス』と『デス・プルーフ in グラインドハウス』は
70〜80年代の”B級映画”へのオマージュだ。

クエンティン・タランティーノの映画観ていると『片腕ドラゴン』なんかの
あの辺のB級映画のパクリだらけヾ( ̄o ̄;)。

そう言えば、確か『プラネット・テラー in グラインドハウス』の話の途中で、
フィルムトラブルで突然、フィルムが止まって、熱で溶けるシーンがあって、
その後にテロップで『フィルム焼失』とインサートされ、
なんの脈絡もなくストーリーが飛ぶシーンがあったが、あれには爆笑したよ(≧∇≦) ガハハハ!

当時の二番館では本当に、映写機が止まって、フィルム溶けるなんてのは、よくあった。
いつの時代の話って感じがするが...(^_^ゞ
(関係ないけど、その頃の地下鉄銀座線は、一瞬停電とかしてたなあ。。。)


で、なんでこんなに長々と”B級映画”について、語っているかと言うと、
『スカイライン 征服』は最近まれにみる、見事な”B級映画”だったからだ(・∀・)b

しかし、CGの登場で本当の意味でも、”B級映画”は存在しなくなった。
『スカイライン 征服』は”B級”ではなく、”超B級映画”ってところか?(´。`)


ストーリーは、ワザワザ書くのも面倒くさいが、
ロサンゼルス上空に突如として巨大宇宙船が現れ、人間たちが宇宙船に吸い上げられていく。
って話で、”B級映画”らしく、登場人物5、6人が、半径30メートルあたりを
右往左往するだけの、全く内容の薄い話だ。

B級に”超”が付くのは、CGのおかげだが、
どうでもいいセリフを格好つけで話すオッサンが登場したりして、
B級らしさは、外していない(笑)

まあ、こういう映画も、あと5年後にでも、
平日の昼過ぎに起きて、東京12チャンネルで
ボ〜〜( ̄。 ̄)〜〜ッと
観たら結構、面白いと思う。
さすがに、シケモクは吸わないけど( ´⊿`)y-~~




  

Posted by アイスH at 11:55☆レビュー